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EP:46 誰を呼ぶ
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(心臓が煩いな)
1枚、2枚と衣類を脱いでいくも。
途中、途中で。
躊躇してしまい。
その手の動きも止まってしまう。
(分かってはいるんだ…こんな真似したらいけないってことは)
なのに、本能が理性を蝕んでいく。
(こんなんじゃ。僕も、あの馬鹿のことを言えないな)
そして、すべてを脱ぎ終えたフロイは。
大浴場の入り口の前に立った。
この先に。
生まれたままの姿をした――安住が居ると、喉を鳴らしながら。
◆
「いい風だなーはァ~~」
安住は大浴場の、その外にある露天風呂に居た。
そして、その風がゲイリーの噛み傷に当たり。
「――~~ッッ!」
安住の身体が大きく震えた。
「ぃ、ったったたた!」
そして、ゆっくりと。
露天風呂の中に浸かった。
ズキ。
ズキズキ。
「ぃ、って!」
ズク。
ズクズクズク――…ッ!
「本当に! 本噛みを止めてもらわないと! 身が持たないっ!」
お湯の中で、傷を擦る。
同時に。
違う箇所も、疼いてしまう。
「ぉ、俺はッ…変態とか、何かじゃあない! そうだよ! ないってのに…」
大きく独り言を、盛大に漏らしながら。
必死に、反らしたかった熱の箇所は。
「何だって。茎なんかが、勃ってんだよぉ~~俺ぇ」
泣き言で漏らし、首を項垂れてしまう。
敏感だとか、感度がいいわけではなく。
彼は初めての快楽に、神経が過敏になってしまっているに過ぎない。
「どーしょ。これ…でも、まーここ、俺だけだし?」
口元を緩めると、浴槽から上がり。
足だけを浸からせて。
「抜くっきゃない!」
そう安住は自身の茎を握り。
上下に扱き始めた。
「ン、ぅ゛…あ゛、ンんン゛ぅ゛~~」
いつものようにマスターベーションだというのに。
どうしてだが。
(もの、足りない…気が、する? かも??)
イクにいけないそんな気分に。
安住も、その原因が分からない。
「な、んでぇ? 早く、イかなきゃ…ぅ、っふ…ぁ」
ボロ。
ぼろぼろろーー……っっ!
「何でなんだよ~~」
◆
「イヤ。本当に…何が、何なんだよ???」
露天風呂に続く扉の越しに。
フロイが、安住の泣き言を聞いた。
しかし、湯気で一体全体として、何がどうなっているかが。
フロイの目には、さっぱり分からない。
「どー…しようかな。これは、この状況は…」
ドアに置いた指先が、そのまま硬直してしまう。
でも。
このドアの向こうに。
愛しい安住が居る。
会いたいような、会いたくないような。
何とも、言い難い心境でもある。
「よし! 行こう!」
◆
「でも! もう、もう少しっで! ンんン゛ぅうう゛ッ‼」
ぐちゅ。
ぐちゃ、じゅく。
「…こんな時間に、マスターベーション?」
「!?」
フロイに声をかけられた安住の身体が。
一気に、硬直してしまう。
「――~~……ッつ!?」
大浴場は人体熱の感知による、電気照明が点くようになっており。
耳まで真っ赤になってしまっている。
安住の顔が、フロイにはもろバレだった。
「ぇ、っと…の声は、い、イトウさん、かなぁ?」
恐る恐る、と声を出し。
安住は、その声主であるフロイに聞いた。
「ああ、そうだよ。アズミ」
ギ。
ギギギ、と安住の顔が上がると、フロイの顔を確認した。
「み、見ないでくれますぅ??」
「イヤ。見るよ」
「!? ぇ、な、何ですか??」
フロイはアズミの頭から腰、足からつま先まで。
じっくりと、見たが。
すぐに、ある個所に視線が戻った。
「この。噛み傷、誰がつけたんだ? アズミっ」
強張った表情と、フロイの声に。
中々、安住も返事を返すことが出来ない。
フロイも、苛立っていく。
「アズミッ! 言うんだッッ!」
1枚、2枚と衣類を脱いでいくも。
途中、途中で。
躊躇してしまい。
その手の動きも止まってしまう。
(分かってはいるんだ…こんな真似したらいけないってことは)
なのに、本能が理性を蝕んでいく。
(こんなんじゃ。僕も、あの馬鹿のことを言えないな)
そして、すべてを脱ぎ終えたフロイは。
大浴場の入り口の前に立った。
この先に。
生まれたままの姿をした――安住が居ると、喉を鳴らしながら。
◆
「いい風だなーはァ~~」
安住は大浴場の、その外にある露天風呂に居た。
そして、その風がゲイリーの噛み傷に当たり。
「――~~ッッ!」
安住の身体が大きく震えた。
「ぃ、ったったたた!」
そして、ゆっくりと。
露天風呂の中に浸かった。
ズキ。
ズキズキ。
「ぃ、って!」
ズク。
ズクズクズク――…ッ!
「本当に! 本噛みを止めてもらわないと! 身が持たないっ!」
お湯の中で、傷を擦る。
同時に。
違う箇所も、疼いてしまう。
「ぉ、俺はッ…変態とか、何かじゃあない! そうだよ! ないってのに…」
大きく独り言を、盛大に漏らしながら。
必死に、反らしたかった熱の箇所は。
「何だって。茎なんかが、勃ってんだよぉ~~俺ぇ」
泣き言で漏らし、首を項垂れてしまう。
敏感だとか、感度がいいわけではなく。
彼は初めての快楽に、神経が過敏になってしまっているに過ぎない。
「どーしょ。これ…でも、まーここ、俺だけだし?」
口元を緩めると、浴槽から上がり。
足だけを浸からせて。
「抜くっきゃない!」
そう安住は自身の茎を握り。
上下に扱き始めた。
「ン、ぅ゛…あ゛、ンんン゛ぅ゛~~」
いつものようにマスターベーションだというのに。
どうしてだが。
(もの、足りない…気が、する? かも??)
イクにいけないそんな気分に。
安住も、その原因が分からない。
「な、んでぇ? 早く、イかなきゃ…ぅ、っふ…ぁ」
ボロ。
ぼろぼろろーー……っっ!
「何でなんだよ~~」
◆
「イヤ。本当に…何が、何なんだよ???」
露天風呂に続く扉の越しに。
フロイが、安住の泣き言を聞いた。
しかし、湯気で一体全体として、何がどうなっているかが。
フロイの目には、さっぱり分からない。
「どー…しようかな。これは、この状況は…」
ドアに置いた指先が、そのまま硬直してしまう。
でも。
このドアの向こうに。
愛しい安住が居る。
会いたいような、会いたくないような。
何とも、言い難い心境でもある。
「よし! 行こう!」
◆
「でも! もう、もう少しっで! ンんン゛ぅうう゛ッ‼」
ぐちゅ。
ぐちゃ、じゅく。
「…こんな時間に、マスターベーション?」
「!?」
フロイに声をかけられた安住の身体が。
一気に、硬直してしまう。
「――~~……ッつ!?」
大浴場は人体熱の感知による、電気照明が点くようになっており。
耳まで真っ赤になってしまっている。
安住の顔が、フロイにはもろバレだった。
「ぇ、っと…の声は、い、イトウさん、かなぁ?」
恐る恐る、と声を出し。
安住は、その声主であるフロイに聞いた。
「ああ、そうだよ。アズミ」
ギ。
ギギギ、と安住の顔が上がると、フロイの顔を確認した。
「み、見ないでくれますぅ??」
「イヤ。見るよ」
「!? ぇ、な、何ですか??」
フロイはアズミの頭から腰、足からつま先まで。
じっくりと、見たが。
すぐに、ある個所に視線が戻った。
「この。噛み傷、誰がつけたんだ? アズミっ」
強張った表情と、フロイの声に。
中々、安住も返事を返すことが出来ない。
フロイも、苛立っていく。
「アズミッ! 言うんだッッ!」
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