上 下
7 / 148

EP:7 挑発青年と横暴青年

しおりを挟む
 ガチャ、ガチャと何かが動く音が鳴る。

(う…っ!?)

 安住の耳に聞こえた。
 もちろん、ゲイリーにも。

「ん? あれー?」

「な、何で来るんだよ!?」

 安住は、ゲイリーの胸倉を掴み、大きく揺らした。
「ボクがー知るわけないじゃないかー」
 ゲイリーも上擦った口調で安住に言い返すも、頭の中ではどうして? で一杯な状態で困惑もしている。
「っこ、こんなの嘘だー~~‼︎」
 声を押し殺して安住が泣き喚く。
「そんなのボクに言われてもー困っちゃんだよなー」
 ゲイリーも、少しだけ強張った声を漏らす。

「へぇ。二人とも…同性愛者、ゲイか」

 セスナがフレディから渡された手帳を見た。
 そして、その他。
 備考欄に、目を留めた。

「つまんないな」

 セスナは、フレディに手帳を放る。
「わ゛! っととと! 酷い!」
 暗視ゴーグルスコープで、目の前の鉄格子の奥で震える、安住とゲイリーを視る。

「開発済みの中古ユルマンか」

 安住の顔は青ざめていて身体を小刻みに震えさせていた。
 彼の言葉を否定するように顔を横に弱くも振る。

(――…ッッ‼)

 フロイは、中に居る囚人に愕然とした。
 思わず、フレディの顔を見たが、彼は口をへの字にさせ、小さく頷くとフロイに手帳を渡した。

(アズミ・フジマル!? 間違いなく、ア、アズミなのか!)

 信じられないとフロイの手帳を持っていた手に力が込めれ。

 ミシ!   と音が鳴った。

「?! っちょ! フロイさん、手帳を返して下さい!」

 慌ててフレディは、フロイから手帳を取り上げた。

 そんな二人を他所に、
「取り敢えず、試食するか」
 冷淡にもセスナがそう漏らした。

 安住が口をパクパクさせるのに対し。
 ゲイリーは口を突き出し睨み返した。

 フロイとフレディは、この状況に頭を悩ませていた。

 ると言い切ったセスナは獰猛に、食い散らかす。

 自重も、理性もなく――ただ、ただと弄ぶ。

 看守の特権とばかりに。

「日本人は、食べたことがねぇなァ!」

 セスナは暗視ゴーグルスコープから安住を見据えた。

「よし」

 安住に目をつけたセスナに、フロイも血の気が引けていく。

 ガシャン!

 セスナは、鉄格子を開け入って行った。
 そんな彼に、
「おい? 久しくご無沙汰じゃないかい? セスナさんよォ」
 ラバーが救いの手を伸ばす、が。

「ババか。手前は、また今度だ。自分でマスかくか、他の囚人に頼めよ。今日は手前の日じゃねぇんだよ」

 セスナが軽く弾き返し。
 ラバーも舌打ちをするのだった。

 なす術がない、と。

「ボ、ボクがー看守さんを満足させるよー」

「!? っげ、ゲイリー??」
 安住の奥に下げ、ゲイリーがセスナに言った。
 それに、セスナは。

「手前じゃ――」
「もしも、アズミが犯人じゃなかったらー国際問題になるねーいいの? 好き勝手出来なくなるけどー?」

 セスナの口端が、つり上がっていく。

「ふぅん? なら。満足させて貰おうかァ? 手前のユルマンでなァあ!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

かわいそうな看守は囚人を犯さなければならない。

紫藤なゆ
BL
好色な王は忠実な臣下エメラードに命じる。敗戦者スクを上手に犯して見せるように。 苦悩する騎士エメラードと、命があればそれでいいスクは、看守と囚人として毎日を過ごす。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

男は休憩も許されぬ身体を独房の中でくねらせる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

処理中です...