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第86話 リニューアル
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ミドルズ公国の面々――第三王子と、護衛名目の青の勇者一行にニンジャマン。
それに数名の身の回りのお供を、俺の転移魔法でコーガス侯爵領の旧魔王城へと転移させる。
「皆様、ようこそコーガス侯爵領へ」
――そしてそれを出迎えたのが、エーツーだ。
魔王城での出迎えは魔王がするに限る。
その為だけの配置。
なんか文句ある?
「ここは旧魔王城となっております」
「魔王城!?」
「ここが!?」
俺がそれとなく直球を投げ込んでやると、その場にいた全員が目を丸める。
まさかかれらも魔王城に連れて来られるとは思わなかっただろう。
サプライズ大成功である。
くだらない?
俺もそう思う。
けど、何となく思いついて無性にやりたくなったんだからしょうがない。
俺は自分に素直だから。
「レイン様。聖女タケコ様は、ここで暮らされているのですよ」
「え!?」
魔王城と聞かされた第三王子――レインが怯えてローラにしがみ付いていたので、ちょっと刺激が強すぎたかと反省し、安心できる様に声をかけてやる。
元魔王城とは言え、今は聖女が暮らしていると聞けば安心する事だろう。
「タ、タケコ様がここで……」
「ええ。聖女タケコ様、それに当主代理のレイミー様にレイバン様がお待ちしておりますので、ご案内いたします」
実は、レイバンは最近引きこもりが治って来た。
まあ治って来たとは言っても、聖女の元に魔法を習う時だけ部屋から出る感じだが。
とは言え、今日の出迎えにも参加するのでいい傾向に進んでいる事は間違いない。
「しっかし、此処が魔王城か……100年以上前からある割に、随分と綺麗なもんだな」
エーツーが皆を案内する。
道中、興味深げに城内を見渡すタルクが俺に聞いて来る。
「徹底的に手直しいたしましたので。聖女様がお住みになられる訳でしたから」
魔王城は100年以上前の物で、俺が戻って来た時には相当傷んでいた。
呪いで生物的な浸食こそなかった物の、自然現象は普通に起こる訳だから、痛むのは当然の話である。
なので、タケコが暮らすにあたって徹底的に補修しておいた訳だ――大河が。
因みに、最初は神殿を立ててそこでタケコを済ませる予定だった。
だが魔王城に聖女が住む事で、より安全性をアピールできるのではないかというアクレインのアイデアを取り入れて、こうして聖女には魔王城に住んでもらっていると言う訳だ。
「ああ、成程。ていうか、何で聖女様はこんな場所で暮らそうなんて考えたんだ?」
「タルク、失礼でしょう」
ローラがタルクを窘めた。
やばいいわくつきとは言え、ここはコーガス侯爵領の保有する城で、そして侯爵家の客分である聖女タケコが住む場所だ。
そこを『こんな場所』呼ばわりなどするのは、当然失礼極まりない発言である。
「と、こいつは失礼。失言だ。すまなかった」
「お気になさらずに。聖女様は自らがこの城に住む事で、この地はもう安全だと身をもって示して下さっているのです」
「流石聖女様。アフターケアもバッチリって訳か」
「本当にありがたい事です」
「到着いたしました」
レイミー達の待つ場所に到着し、エイツーが観音開きの大扉をノックする。
この先は玉座の間になっている。
かつて魔王がふんぞり返っていた。
いやまあ、実際にふんぞり返っていたかは知らないが。
俺の時は城内の中央にある大ホールで待ち構えていたからな。
なのでただの想像である。
ま、実際どうだったかは後でエーツーに聞いてみるとしよう。
それに数名の身の回りのお供を、俺の転移魔法でコーガス侯爵領の旧魔王城へと転移させる。
「皆様、ようこそコーガス侯爵領へ」
――そしてそれを出迎えたのが、エーツーだ。
魔王城での出迎えは魔王がするに限る。
その為だけの配置。
なんか文句ある?
「ここは旧魔王城となっております」
「魔王城!?」
「ここが!?」
俺がそれとなく直球を投げ込んでやると、その場にいた全員が目を丸める。
まさかかれらも魔王城に連れて来られるとは思わなかっただろう。
サプライズ大成功である。
くだらない?
俺もそう思う。
けど、何となく思いついて無性にやりたくなったんだからしょうがない。
俺は自分に素直だから。
「レイン様。聖女タケコ様は、ここで暮らされているのですよ」
「え!?」
魔王城と聞かされた第三王子――レインが怯えてローラにしがみ付いていたので、ちょっと刺激が強すぎたかと反省し、安心できる様に声をかけてやる。
元魔王城とは言え、今は聖女が暮らしていると聞けば安心する事だろう。
「タ、タケコ様がここで……」
「ええ。聖女タケコ様、それに当主代理のレイミー様にレイバン様がお待ちしておりますので、ご案内いたします」
実は、レイバンは最近引きこもりが治って来た。
まあ治って来たとは言っても、聖女の元に魔法を習う時だけ部屋から出る感じだが。
とは言え、今日の出迎えにも参加するのでいい傾向に進んでいる事は間違いない。
「しっかし、此処が魔王城か……100年以上前からある割に、随分と綺麗なもんだな」
エーツーが皆を案内する。
道中、興味深げに城内を見渡すタルクが俺に聞いて来る。
「徹底的に手直しいたしましたので。聖女様がお住みになられる訳でしたから」
魔王城は100年以上前の物で、俺が戻って来た時には相当傷んでいた。
呪いで生物的な浸食こそなかった物の、自然現象は普通に起こる訳だから、痛むのは当然の話である。
なので、タケコが暮らすにあたって徹底的に補修しておいた訳だ――大河が。
因みに、最初は神殿を立ててそこでタケコを済ませる予定だった。
だが魔王城に聖女が住む事で、より安全性をアピールできるのではないかというアクレインのアイデアを取り入れて、こうして聖女には魔王城に住んでもらっていると言う訳だ。
「ああ、成程。ていうか、何で聖女様はこんな場所で暮らそうなんて考えたんだ?」
「タルク、失礼でしょう」
ローラがタルクを窘めた。
やばいいわくつきとは言え、ここはコーガス侯爵領の保有する城で、そして侯爵家の客分である聖女タケコが住む場所だ。
そこを『こんな場所』呼ばわりなどするのは、当然失礼極まりない発言である。
「と、こいつは失礼。失言だ。すまなかった」
「お気になさらずに。聖女様は自らがこの城に住む事で、この地はもう安全だと身をもって示して下さっているのです」
「流石聖女様。アフターケアもバッチリって訳か」
「本当にありがたい事です」
「到着いたしました」
レイミー達の待つ場所に到着し、エイツーが観音開きの大扉をノックする。
この先は玉座の間になっている。
かつて魔王がふんぞり返っていた。
いやまあ、実際にふんぞり返っていたかは知らないが。
俺の時は城内の中央にある大ホールで待ち構えていたからな。
なのでただの想像である。
ま、実際どうだったかは後でエーツーに聞いてみるとしよう。
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