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第85話 追跡者
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「よし、休憩だ!」
ダンジョンに入って既に一週間経つ。
奥に進むごとに敵のレベルが上がってくるが、今の所、姫ギルドの攻略は危なげなく順調に進んでいる。
「んまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんま」
休憩に入ると同時にマヨネーズを要求するぴよ丸に餌をやっていると、ギルドの女性陣——岡町こみ――がやって来る。
「可愛いわねぇ」
「本当ですねぇ」
女性は丸い物が好き。
その言葉を体現するかの様に、ぴよ丸の女性陣への受けはいい。
寄って来た女性陣は黄色い声を上げてぴよ丸をつついたり撫でまわす。
「げふぅっ」
「ああん、残念。食べ終わっちゃったぁ」
因みに、ぴよ丸を撫でまわす事が出来るのマヨネーズに夢中な食事中だけだ。
それ以外で触ろうとすると、罵詈雑言で相手を威嚇しだすから。
「ウザい。散れい小娘共!ワシに触れようなど100万年早いんじゃ!」
まあ最初はそうでも無かったんだが、女性陣がしつこく撫でまわしてブチ切れて以来そうなっている。
「悠よ」
女性陣が散った所で、アングラウスが声をかけて来る。
「全く気付いていないとは思うが……ずっとつけられておるぞ」
「ん?ずっとつけられてる?」
ひょっとして悪戯か何かで背中に張り紙でもされたのかと思い、一瞬手を伸ばそうかとしたがすぐにその手を止める。
そんな訳ないよな。
子供じゃあるまいし、こんな場所でそんな悪戯をして来るアホがいる訳ない。
「どういう意味だ?」
「何者かが我らの後を尾行して来ていると言っているのだ」
「尾行?SSランクダンジョンを進んでるのにか?」
この状況で誰かに尾行されるとか、普通に考えればあり得ない事だ。
しかしアングラウスが下らない嘘を吐くとも思えない。
「けど、田吾さんが定期的に周囲をサーチしているだろ。そんな相手がいるなら直ぐに気づきそうなもんだけど」
「あの眼鏡のスキルを騙す事ぐらい容易い事だ。強力な魔法か、隠密用のレジェンドスキルでも使えれば……な。まあ今回は魔法ではなくスキルの様だが」
「レジェンドスキル……」
レジェンドスキルを持ち、SSランクダンジョンで当たり前の様に追跡して来る様な相手。
ぱっと俺の頭に思い浮かんだのは異世界からの侵略者だ。
以前戦った百々目鬼レベルの相手なら、レジェンドスキルを持っていてもおかしくはない。
「ああ、言っておくが侵略者共ではないぞ。追跡者はこの世界の人間だ」
俺の考えを読んでか、アングラウスが違うと言って来る。
「人間か……」
一体誰が追って来ているのか?
こんな場所で追跡して来る以上、此方に好意があるとは到底思えない。
となると、敵対している相手な訳だが……
カイザーギルドか?
パッと思い浮かぶのがそこだ。
というか、そもそも俺はアソコとしか揉めてない。
百々目鬼の事を知らないから、俺がメンバーを始末したとお冠だろうし……その可能性は高そうだ。
まあ姫ギルドを敵視している奴の線も捨てきれないが。
何せ大手だし。
アイギス達を見る限り、人に恨みを買う様な事はしてなさそうに思える。
だが恨みつらみなんて物は、ちょっとした事で買ってしまう物だ。
何もしてなくとも、妬みが原因で揉めるなんてよくある話だしな。
「追跡者の数は20人程だ。SSランクレベルが4人にSランクが2人。残りはAランクだな」
「SSランクが4人!?」
「あくまでも、我のおおよその見立てだがな」
アングラウスの見立てが外れているって事は無いだろう。
つまり、追跡者の中にSSランクが4人もいるって事だ。
「……」
日本最大手と言われる大和ギルドでさえ、SSランクに分類されるプレイヤーは3人しかいない。
……相手は海外の大手ギルドの可能性が出て来るな。
そしてそんな所が態々日本までやってきて此方を追跡して来たとなると、考えられる可能性は――
「そうなると……レジェンドスキルの、デメリット突破方法を手に入れる為に俺を追ってるって考えるのが無難か」
「可能性はあるだろうな」
そんな物はないってのに。
果てしなく迷惑な話である。
「どうする?このまま放っておけば、必ずどこかで仕掛けて来るぞ」
アングラウスが俺に聞いて来る。
ぶっちゃけ、彼女がいる以上、どの状況で誰に仕掛けられようとも全く問題ない。
が、ケチはつくだろう。
姫ギルドは今、一丸となってSSランクダンジョンクリアに向かっているのだ。
俺のせいで余計な戦闘が発生して、気勢が削がれでもしたら申し訳ない。
「こっちから仕掛けよう」
「ならば姫ギルドの面子が気づかない様、幻影と心理的な結界を張っておいてやろう」
「ああ頼む。ぴよ丸、行くぞ」
「ラジャ!アルティメットフュージョン!」
俺はアングラウスの案内で、後方にいる追跡者の元へと向かう。
ダンジョンに入って既に一週間経つ。
奥に進むごとに敵のレベルが上がってくるが、今の所、姫ギルドの攻略は危なげなく順調に進んでいる。
「んまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんまんま」
休憩に入ると同時にマヨネーズを要求するぴよ丸に餌をやっていると、ギルドの女性陣——岡町こみ――がやって来る。
「可愛いわねぇ」
「本当ですねぇ」
女性は丸い物が好き。
その言葉を体現するかの様に、ぴよ丸の女性陣への受けはいい。
寄って来た女性陣は黄色い声を上げてぴよ丸をつついたり撫でまわす。
「げふぅっ」
「ああん、残念。食べ終わっちゃったぁ」
因みに、ぴよ丸を撫でまわす事が出来るのマヨネーズに夢中な食事中だけだ。
それ以外で触ろうとすると、罵詈雑言で相手を威嚇しだすから。
「ウザい。散れい小娘共!ワシに触れようなど100万年早いんじゃ!」
まあ最初はそうでも無かったんだが、女性陣がしつこく撫でまわしてブチ切れて以来そうなっている。
「悠よ」
女性陣が散った所で、アングラウスが声をかけて来る。
「全く気付いていないとは思うが……ずっとつけられておるぞ」
「ん?ずっとつけられてる?」
ひょっとして悪戯か何かで背中に張り紙でもされたのかと思い、一瞬手を伸ばそうかとしたがすぐにその手を止める。
そんな訳ないよな。
子供じゃあるまいし、こんな場所でそんな悪戯をして来るアホがいる訳ない。
「どういう意味だ?」
「何者かが我らの後を尾行して来ていると言っているのだ」
「尾行?SSランクダンジョンを進んでるのにか?」
この状況で誰かに尾行されるとか、普通に考えればあり得ない事だ。
しかしアングラウスが下らない嘘を吐くとも思えない。
「けど、田吾さんが定期的に周囲をサーチしているだろ。そんな相手がいるなら直ぐに気づきそうなもんだけど」
「あの眼鏡のスキルを騙す事ぐらい容易い事だ。強力な魔法か、隠密用のレジェンドスキルでも使えれば……な。まあ今回は魔法ではなくスキルの様だが」
「レジェンドスキル……」
レジェンドスキルを持ち、SSランクダンジョンで当たり前の様に追跡して来る様な相手。
ぱっと俺の頭に思い浮かんだのは異世界からの侵略者だ。
以前戦った百々目鬼レベルの相手なら、レジェンドスキルを持っていてもおかしくはない。
「ああ、言っておくが侵略者共ではないぞ。追跡者はこの世界の人間だ」
俺の考えを読んでか、アングラウスが違うと言って来る。
「人間か……」
一体誰が追って来ているのか?
こんな場所で追跡して来る以上、此方に好意があるとは到底思えない。
となると、敵対している相手な訳だが……
カイザーギルドか?
パッと思い浮かぶのがそこだ。
というか、そもそも俺はアソコとしか揉めてない。
百々目鬼の事を知らないから、俺がメンバーを始末したとお冠だろうし……その可能性は高そうだ。
まあ姫ギルドを敵視している奴の線も捨てきれないが。
何せ大手だし。
アイギス達を見る限り、人に恨みを買う様な事はしてなさそうに思える。
だが恨みつらみなんて物は、ちょっとした事で買ってしまう物だ。
何もしてなくとも、妬みが原因で揉めるなんてよくある話だしな。
「追跡者の数は20人程だ。SSランクレベルが4人にSランクが2人。残りはAランクだな」
「SSランクが4人!?」
「あくまでも、我のおおよその見立てだがな」
アングラウスの見立てが外れているって事は無いだろう。
つまり、追跡者の中にSSランクが4人もいるって事だ。
「……」
日本最大手と言われる大和ギルドでさえ、SSランクに分類されるプレイヤーは3人しかいない。
……相手は海外の大手ギルドの可能性が出て来るな。
そしてそんな所が態々日本までやってきて此方を追跡して来たとなると、考えられる可能性は――
「そうなると……レジェンドスキルの、デメリット突破方法を手に入れる為に俺を追ってるって考えるのが無難か」
「可能性はあるだろうな」
そんな物はないってのに。
果てしなく迷惑な話である。
「どうする?このまま放っておけば、必ずどこかで仕掛けて来るぞ」
アングラウスが俺に聞いて来る。
ぶっちゃけ、彼女がいる以上、どの状況で誰に仕掛けられようとも全く問題ない。
が、ケチはつくだろう。
姫ギルドは今、一丸となってSSランクダンジョンクリアに向かっているのだ。
俺のせいで余計な戦闘が発生して、気勢が削がれでもしたら申し訳ない。
「こっちから仕掛けよう」
「ならば姫ギルドの面子が気づかない様、幻影と心理的な結界を張っておいてやろう」
「ああ頼む。ぴよ丸、行くぞ」
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