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31話 解放
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薄暗い地下に明かりが灯り。
広大な空間に、荘厳な建物が姿を現す。
此処は大聖堂の地下深くにある、封印の神殿。
人の手がもう数百年も入っていない場所にも拘らず、塵や誇り等一切なく。
中は静謐な空気で包まれていた。
「美しい」
流石神の力が眠る場所だけはある。
その様はとても神秘的で、私は思わずため感嘆の溜息を漏らす。
「やっとだ」
私の横に立つ。顔中に皺を刻み込んだ老齢な紳士が口を開いた。
彼は大司教ガーラ。
この教会の、現時点での最高責任者を務める男だ。
「遂にこの時が来た」
その声は心なしか上擦っている。
それもその筈、この先には神の奇跡が眠っているのだ。
彼の高ぶる気持ちは私にも良く分かる。
大司教ガーラははずっと以前から、神の炎の復活を望んでいた。
それこそ私の生まれるずっと前から。
しかし例え教会の最高責任者とはいえ、個人の独断で禁断の封印を破る様な強引な真似は許されない。
その為、彼はこれまで神炎に手出し出来ずに過ごしてきた。
だが今は違う。
私の聖母就任に伴い。
聖母となる私ならば、神の炎を制御できると周りを説得し。
全会一致とはいかなかったが、過半数の司教の賛同を得て今ここに至っている。
「行きましょう」
私は高揚する気分を押さえ、神殿へと歩みを進める
大司教もそれに続いた。
「ガーラ様」
「うむ」
神殿の門は巨大な扉によって閉ざされている。
大司教が扉に近づき。
扉に開いた窪みに、神玉を一つ一つ丁寧に嵌めていく。
「これで最後だ」
ガーラが6つ目を嵌めた時。
扉は白く輝き、音もなく、まるで大気に溶け込むかの様に消えていった。
「この先に……」
この封印の神殿だけが、神炎を呼び出す事の出来る唯一聖地。
その封印は解かれた。
後は、私が神の炎を呼び出し受け止めるだけだ。
遂に……遂に始まるのだ。
世界の改革が。
神の炎によって、私達は新たなステージに進む。
全ての罪人は浄化され。
世界は神の慈愛の元、穏やかな時を刻みだす。
「さあ進みましょう。理想の世界へと」
「ああ、世界を救済するのだ」
私達は神の炎を求め、神殿の奥へと進む。
広大な空間に、荘厳な建物が姿を現す。
此処は大聖堂の地下深くにある、封印の神殿。
人の手がもう数百年も入っていない場所にも拘らず、塵や誇り等一切なく。
中は静謐な空気で包まれていた。
「美しい」
流石神の力が眠る場所だけはある。
その様はとても神秘的で、私は思わずため感嘆の溜息を漏らす。
「やっとだ」
私の横に立つ。顔中に皺を刻み込んだ老齢な紳士が口を開いた。
彼は大司教ガーラ。
この教会の、現時点での最高責任者を務める男だ。
「遂にこの時が来た」
その声は心なしか上擦っている。
それもその筈、この先には神の奇跡が眠っているのだ。
彼の高ぶる気持ちは私にも良く分かる。
大司教ガーラははずっと以前から、神の炎の復活を望んでいた。
それこそ私の生まれるずっと前から。
しかし例え教会の最高責任者とはいえ、個人の独断で禁断の封印を破る様な強引な真似は許されない。
その為、彼はこれまで神炎に手出し出来ずに過ごしてきた。
だが今は違う。
私の聖母就任に伴い。
聖母となる私ならば、神の炎を制御できると周りを説得し。
全会一致とはいかなかったが、過半数の司教の賛同を得て今ここに至っている。
「行きましょう」
私は高揚する気分を押さえ、神殿へと歩みを進める
大司教もそれに続いた。
「ガーラ様」
「うむ」
神殿の門は巨大な扉によって閉ざされている。
大司教が扉に近づき。
扉に開いた窪みに、神玉を一つ一つ丁寧に嵌めていく。
「これで最後だ」
ガーラが6つ目を嵌めた時。
扉は白く輝き、音もなく、まるで大気に溶け込むかの様に消えていった。
「この先に……」
この封印の神殿だけが、神炎を呼び出す事の出来る唯一聖地。
その封印は解かれた。
後は、私が神の炎を呼び出し受け止めるだけだ。
遂に……遂に始まるのだ。
世界の改革が。
神の炎によって、私達は新たなステージに進む。
全ての罪人は浄化され。
世界は神の慈愛の元、穏やかな時を刻みだす。
「さあ進みましょう。理想の世界へと」
「ああ、世界を救済するのだ」
私達は神の炎を求め、神殿の奥へと進む。
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