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外伝 その王子と恋に落ちたら大変です 第七章 新たなる黄金竜の誕生
第十話 彼は、私の番だと釘をさす
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ルドガーは親のユーリスにべったりであった。朝から晩までユーリスの胸元で丸くなって過ごし、ユーリスの手から餌を貰い、甘えて「キュイキュイ」と鳴いている。そのままの状態で四か月ほど経過した時には、さすがにシルヴェスター王子も少しばかり心配になってきた。
いくらユーリスの胸元に居ることが、安心出来て心地が良いからと言っても、成長することを止めてずっとユーリスの胸元に居続けることは不自然だった。
シルヴェスター王子の懸念に、黄金竜ウェイズリーも同意するように力強く頷いていた。
(まったくその通りだ。こいつはさっさと大きくなって、親元からとっとと巣立ちして出ていくべきなのだ!!!!)
心の中で、シルヴェスター王子と黄金竜ウェイズリーは話し合うが、ルドガーをユーリスから引き離す方法が見つからない。
一方で、巣立ちを求める黄金竜ウェイズリーのことを、シルヴェスター王子は内心、勝手な奴だと思う。
そもそもユーリスに卵を産ませたいと望んだのは、この黄金竜ウェイズリーなのである。卵の中から現れた竜の子が、自分の番にベッタリなのを気に入らないからと言って、早く巣立ちしろとは自分勝手だ。
だが、小さな雛ルドガーが生まれてから、シルヴェスターが伴侶のユーリスに触れられたのは数えるほどしかない。愛し合うことさえ、ルドガーに阻止される。
シルヴェスターがユーリスを抱きしめ、口付けしようとすると、ルドガーはユーリスの胸元にべったりと張り付いて「キュイキュイキュルルルルゥキュウキュウ」と甘えるようにせわしなくユーリスに鳴いて、ユーリスがシルヴェスターに応えようとするのを阻止する。
自分の両親が愛し合うことさえ、止めようとするのだ。
だから、シルヴェスターは自身の子であるルドガーに言わなければならなかった。
「ルドガー、お前がいくらユーリスのことを好いていても、ユーリスは私の伴侶だ。お前の番にはなれない」
その時、ユーリスがいない部屋の中で、シルヴェスターはルドガーを膝にのせ、その小さな黄金竜の雛の目を見つめて静かに説いた。
「ユーリスは、最高に綺麗で可愛くて優しくて賢くて素晴らしい番だ。ユーリスほど素晴らしい若者を私は他には知らない。彼が私の番であることを私は誇りに思っている。それで、繰り返し言うが、彼は私の番だ」
熱く語るシルヴェスター王子の言葉に、心の中で黄金竜ウェイズリーも強く同意していた。
(ユーリスはまこと素晴らしい番だ。シルヴェスター、お前の言葉はまさにその通りだ!!)
黄金竜ウェイズリーとシルヴェスター王子の二人は、ことユーリスに関しては本当に気が合ったのである。同化していなければ不倶戴天の敵となったのは間違いなかった。同化しているからこそ三人の間に平和・平穏が保たれている。
膝の上に乗る、小さな黄金竜の雛、ルドガーは、不機嫌そうな様子を見せた後、言った。
「キュルルルゥ!!(知ってるよ!!)」
「そうか。彼が私の番であることも知っているんだな」
「キュルルルゥ……キュルル(知ってる……知ってるよ!!)」
「なら、いい加減、ユーリスの胸元で雛のままで過ごすのは止めるんだ」
「キュルルゥ!!!!(いやだ!!!!)」
小さな黄金竜の雛は、黄金色の両眼をキラキラと輝かせた後、次の瞬間、パッとシルヴェスター王子の膝の上から消えたのだった。
驚いているシルヴェスターに、ウェイズリーが呆れたような声で言った。
(あいつは“転移”してユーリスのところに行ったんだろう)
「“転移”魔法がもう使えるのか」
(小さくても、アレは黄金竜なのだ)
それからウェイズリーは(嗚呼、まこと厄介なことだ)と呟いていた。
いくらユーリスの胸元に居ることが、安心出来て心地が良いからと言っても、成長することを止めてずっとユーリスの胸元に居続けることは不自然だった。
シルヴェスター王子の懸念に、黄金竜ウェイズリーも同意するように力強く頷いていた。
(まったくその通りだ。こいつはさっさと大きくなって、親元からとっとと巣立ちして出ていくべきなのだ!!!!)
心の中で、シルヴェスター王子と黄金竜ウェイズリーは話し合うが、ルドガーをユーリスから引き離す方法が見つからない。
一方で、巣立ちを求める黄金竜ウェイズリーのことを、シルヴェスター王子は内心、勝手な奴だと思う。
そもそもユーリスに卵を産ませたいと望んだのは、この黄金竜ウェイズリーなのである。卵の中から現れた竜の子が、自分の番にベッタリなのを気に入らないからと言って、早く巣立ちしろとは自分勝手だ。
だが、小さな雛ルドガーが生まれてから、シルヴェスターが伴侶のユーリスに触れられたのは数えるほどしかない。愛し合うことさえ、ルドガーに阻止される。
シルヴェスターがユーリスを抱きしめ、口付けしようとすると、ルドガーはユーリスの胸元にべったりと張り付いて「キュイキュイキュルルルルゥキュウキュウ」と甘えるようにせわしなくユーリスに鳴いて、ユーリスがシルヴェスターに応えようとするのを阻止する。
自分の両親が愛し合うことさえ、止めようとするのだ。
だから、シルヴェスターは自身の子であるルドガーに言わなければならなかった。
「ルドガー、お前がいくらユーリスのことを好いていても、ユーリスは私の伴侶だ。お前の番にはなれない」
その時、ユーリスがいない部屋の中で、シルヴェスターはルドガーを膝にのせ、その小さな黄金竜の雛の目を見つめて静かに説いた。
「ユーリスは、最高に綺麗で可愛くて優しくて賢くて素晴らしい番だ。ユーリスほど素晴らしい若者を私は他には知らない。彼が私の番であることを私は誇りに思っている。それで、繰り返し言うが、彼は私の番だ」
熱く語るシルヴェスター王子の言葉に、心の中で黄金竜ウェイズリーも強く同意していた。
(ユーリスはまこと素晴らしい番だ。シルヴェスター、お前の言葉はまさにその通りだ!!)
黄金竜ウェイズリーとシルヴェスター王子の二人は、ことユーリスに関しては本当に気が合ったのである。同化していなければ不倶戴天の敵となったのは間違いなかった。同化しているからこそ三人の間に平和・平穏が保たれている。
膝の上に乗る、小さな黄金竜の雛、ルドガーは、不機嫌そうな様子を見せた後、言った。
「キュルルルゥ!!(知ってるよ!!)」
「そうか。彼が私の番であることも知っているんだな」
「キュルルルゥ……キュルル(知ってる……知ってるよ!!)」
「なら、いい加減、ユーリスの胸元で雛のままで過ごすのは止めるんだ」
「キュルルゥ!!!!(いやだ!!!!)」
小さな黄金竜の雛は、黄金色の両眼をキラキラと輝かせた後、次の瞬間、パッとシルヴェスター王子の膝の上から消えたのだった。
驚いているシルヴェスターに、ウェイズリーが呆れたような声で言った。
(あいつは“転移”してユーリスのところに行ったんだろう)
「“転移”魔法がもう使えるのか」
(小さくても、アレは黄金竜なのだ)
それからウェイズリーは(嗚呼、まこと厄介なことだ)と呟いていた。
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