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第一章 俺の大好きな聖女ちゃんが腐女子で、現世まで追いかけてきた竜騎士とくっつけようと画策しているらしい

第26話 パスでお願いします

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 翌朝、学校へ着くなり俺は麗子ちゃんとゼノンに手を引かれ、階段のいつもの踊り場に連れて来られた。

「なんだよー、二人して」

「光君、昨日おじさまから連絡が来たの」

 踊り場の階段に座り込む。

「なんて?」

「番組の方に、東都大学から取材の申し込みが来たの。勇者君宛に」

「なんでまた、そんな大学から来るの?」

「……この間の“勇者君が岩を斬るよ”コーナー、見に来ていたのよ」

「それで?」

「あなた、彼らの前で収納庫から剣を取り出して、岩を斬ったでしょう!!」

「今までだってやってたじゃん」

 そう、今までだってユーチューブ番組の撮影で、スタッフの前で収納庫から剣を出して岩を斬っていた。
 今さら、改めて撮影したと言われても……

「ハイスピードカメラで撮られてたって話よ!!!!」

「何それ」

「とにかく、あなたの動きを超こまかーく撮ることができるカメラよ。それで、なんか……剣を取り出す時とか、斬るときとか、ちょっとおかしいんじゃないかという話になっているのよ。それで是非、あなたに会いたいって言ってるの」

 俺の首根っこを掴んで、麗子ちゃんはぐらぐらと揺すりながらそう言った。
 俺は言った。

「パスでお願いします」

「……おじさまも断ったわ」

「じゃあいいじゃん」

 なら、なんでそんな騒ぐ必要があるんだろう。俺がそう彼女を見上げると、麗子ちゃんは不機嫌そうに唇を尖らして言った。

「……おじさまも言っていたけど、ああいう大学の人達はしつこいって。次のコーナーの時にも絶対に来て、また撮影し始めるだろうって」

「その大学だけ見学不可で」

「…………」

「見学告知に、カメラ撮影は一切禁止と入れとけばいいんじゃないかな」

「ゼノン、賢い!! お前天才」

 俺がヨイショすると、ゼノンは嬉しそうに笑っている。

「それだけで済むといいけど」

「もう麗子ちゃんは心配性だなぁ」

 俺がそう言うと、麗子ちゃんはイラッとしたように言った。

「あなたがあまり考えないからでしょう!!」

 とりあえず、次の撮影は二週間後なので、その間は何もないだろう。
 俺はそう、のほほんと考えていた。

 だいたいそういうのも、フラグみたいなものだと、後々麗子ちゃんは言っていた。
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