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【短編】
合同会議のその後 (5)
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バーナード騎士団長とフィリップ副騎士団長は、金色のふさふさとした仔犬二頭を連れて、王立騎士団の拠点にやって来た。十年以上前の、バーナード騎士団長の飼うフィリップという名の仔犬の姿を知っている王立騎士団の騎士達は、現れた仔犬の姿に驚いて「団長のフィリップの仔ですよね!!」「そっくりじゃないですか!!」「可愛いですね!!」と大喜びであった。そしてそんな騎士達の言葉に、バーナード騎士団長は嬉しそうな顔で腕を組んで、同意するよう頷いている。
「可愛いだろう。フィリップにそっくりだろう」
二頭の仔犬ディヴィットとクリストフは、騎士達に撫で回され、抱き上げられている。犬好きの騎士達の間で取り合いになっている様相もある。
「目の色が違うだけですね。本当にそっくりです」
「そうなんだ。そっくりなんだ」
「母犬も団長が飼っているんですか?」
そう尋ねる騎士の言葉に、バーナード騎士団長はとっさに口ごもる。
その問いかけに、フィリップ副騎士団長は騎士達にさんざん撫で回されている二頭の金色の仔犬を騎士達から取り上げながら、答えた。
「フィリップと仲良く暮らしているんですよ」
仔犬の一頭をバーナード騎士団長に渡し、もう一頭をフィリップ副騎士団長が抱く。ここでいうフィリップとは、バーナード騎士団長の飼う犬の名である。
「そうなんですか」
「…………まぁ、そうだな」
バーナード騎士団長がなんとなしに照れながらそう答えている姿に、フィリップは小さく笑った。それからそっとバーナード騎士団長の手に自分の手をのせ、言った。
「仲良しですから」
そのフィリップの言葉に、抱かれている仔犬達はその通りだと言わんばかりに「ワン」「ワン」と声を上げ、バーナード騎士団長はなんとなしに「まぁ、そうだな」とまたしても照れながら同意した。後からこの件について、フィリップ副騎士団長と二人きりになった時には、フィリップ副騎士団長から「バーナード、まぁ、そうだなって曖昧なあの答えは何ですか!!」と少しばかり怒られることになるのだった。
仔犬のディヴィットとクリストフは、王立騎士団の全員の騎士達からはバーナードの言っていた通りに、「夜睡草の匂いはしない」と答えた。その後、バーナード騎士団長とフィリップ副騎士団長は、王都の警備隊の詰め所で、夜睡草の使用者がいないか調べ(残念なことに王都警備隊では、片手の数ほどの使用者が、仔犬達から摘発された)、王都の街では夜睡草を密かに扱う店の摘発にも、大いに役立つことになったのだった。
また近衛騎士団においても、真っ黒い仔犬姿になったディーターが、近衛騎士ジェラルドに連れて行かれ、王宮内での夜睡草の摘発に活躍することになる。
ディーター、ディヴィットとクリストフの働きにより、夜睡草の販売ルートの摘発が進められ、時間をかけて、次第にアルセウス王国からこの夜睡草の流通が下火になっていったのだった。
なお、久方ぶりに現れた真っ黒い仔犬ディーターの姿に、近衛騎士団では大騒ぎになった。この仔犬をまたしても近衛騎士団に留めよう(実際に近衛騎士団で飼おうと言い出して、近衛騎士団長がディーターの首に王家のメダルを付けようとしていた)という騎士達が続出し、ジェラルドが大慌てしたのはまた別の話である。
「可愛いだろう。フィリップにそっくりだろう」
二頭の仔犬ディヴィットとクリストフは、騎士達に撫で回され、抱き上げられている。犬好きの騎士達の間で取り合いになっている様相もある。
「目の色が違うだけですね。本当にそっくりです」
「そうなんだ。そっくりなんだ」
「母犬も団長が飼っているんですか?」
そう尋ねる騎士の言葉に、バーナード騎士団長はとっさに口ごもる。
その問いかけに、フィリップ副騎士団長は騎士達にさんざん撫で回されている二頭の金色の仔犬を騎士達から取り上げながら、答えた。
「フィリップと仲良く暮らしているんですよ」
仔犬の一頭をバーナード騎士団長に渡し、もう一頭をフィリップ副騎士団長が抱く。ここでいうフィリップとは、バーナード騎士団長の飼う犬の名である。
「そうなんですか」
「…………まぁ、そうだな」
バーナード騎士団長がなんとなしに照れながらそう答えている姿に、フィリップは小さく笑った。それからそっとバーナード騎士団長の手に自分の手をのせ、言った。
「仲良しですから」
そのフィリップの言葉に、抱かれている仔犬達はその通りだと言わんばかりに「ワン」「ワン」と声を上げ、バーナード騎士団長はなんとなしに「まぁ、そうだな」とまたしても照れながら同意した。後からこの件について、フィリップ副騎士団長と二人きりになった時には、フィリップ副騎士団長から「バーナード、まぁ、そうだなって曖昧なあの答えは何ですか!!」と少しばかり怒られることになるのだった。
仔犬のディヴィットとクリストフは、王立騎士団の全員の騎士達からはバーナードの言っていた通りに、「夜睡草の匂いはしない」と答えた。その後、バーナード騎士団長とフィリップ副騎士団長は、王都の警備隊の詰め所で、夜睡草の使用者がいないか調べ(残念なことに王都警備隊では、片手の数ほどの使用者が、仔犬達から摘発された)、王都の街では夜睡草を密かに扱う店の摘発にも、大いに役立つことになったのだった。
また近衛騎士団においても、真っ黒い仔犬姿になったディーターが、近衛騎士ジェラルドに連れて行かれ、王宮内での夜睡草の摘発に活躍することになる。
ディーター、ディヴィットとクリストフの働きにより、夜睡草の販売ルートの摘発が進められ、時間をかけて、次第にアルセウス王国からこの夜睡草の流通が下火になっていったのだった。
なお、久方ぶりに現れた真っ黒い仔犬ディーターの姿に、近衛騎士団では大騒ぎになった。この仔犬をまたしても近衛騎士団に留めよう(実際に近衛騎士団で飼おうと言い出して、近衛騎士団長がディーターの首に王家のメダルを付けようとしていた)という騎士達が続出し、ジェラルドが大慌てしたのはまた別の話である。
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