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【短編】
合同会議 (4)
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会議が終わり、出席者達が王立騎士団の拠点建物を離れていく。
バーナード騎士団長は、エドワード王太子が王宮に戻っていく姿を見送った後、団長室に戻って来た。
フィリップ副騎士団長は、警備隊副隊長と細かな打ち合わせがあったため、参加者達の見送りには出席出来なかった。
団長室に戻って来たバーナード騎士団長は、デスクの椅子にどっかりと座り、どこか機嫌良さそうだった。
「殿下のご提案はなかなか面白いな」
その言葉を聞いて、フィリップはお茶を淹れる手を一瞬止めたが、そのままお茶を淹れる。そしてバーナードのデスクに静かに置いた。
「ありがとう」
すぐにお茶を口にするバーナード。
「ただ、あのご提案は殿下だから出来たことだな。私が提案しても、難しかっただろう。わざわざ殿下が会議にご出席された理由が分かる」
魔獣狩りを任務とする王立騎士団が、その魔獣狩りを停止して、一時的に王都の森に魔獣を溢れさせるという提案は、常識を外れたものである。例えバーナード騎士団長がそうしたいと言っても、なかなか受け入れ難い提案である。上に立つ王太子の口から出されたものだから、出席者達は受け入れる余地があったのだ。
「良かったですね、団長」
その声が冷ややかにならないようにしようとしても、難しかった。
そしてバーナードもすぐにそれに気が付いたようだ。
「フィリップ」
バーナードが手招きをしたので、フィリップはそばに近づくと、彼はその大きな手でフィリップの髪を掻き混ぜるようにどこか乱暴に撫でた。
「お前は、本当に可愛い奴だな」
「!?」
「俺と殿下が仲良くするのが嫌なんだろう」
図星すぎて、フィリップの唇が戦慄く。言葉が出ない。
恥ずかしくて、耳が熱い。顔も赤くなっているのが分かる。
デスクに座ったままのバーナードは、過度なスキンシップを禁止しているはずの団長室で、珍しくその禁を破った。
ぐいとフィリップの手を掴み、バーナードの膝の上にフィリップを座らせ、そして耳元で囁いた。
「お前が一番好きだって言っているだろう。馬鹿だな」
「……………」
「仕方ないから、何度でも言ってやる。俺はお前を一番愛しているよ」
フィリップの青い瞳が、そのバーナードの言葉に潤む。
「………………………おい、泣くほどのことか」
フィリップがごしごしと制服の袖で、目を擦ると、バーナードが止めさせた。
「傷になるぞ」
「嬉しくて……。女々しくてすみません」
よしよしというように、バーナードがフィリップの頭を乱暴に撫でる。もうフィリップの金色の髪は、くしゃくしゃに乱れていたが、フィリップは文句を言うつもりはなかった。いつまでもバーナードに頭を撫でて欲しかった。
そして、自分でも本当に現金なことだと思うが、あれほど嫉妬で荒れ狂っていた心は、バーナードの甘い言葉と、頭なでなでによって、嵐の後のように、すっかり穏やかに凪いでいたのだった。
バーナード騎士団長は、エドワード王太子が王宮に戻っていく姿を見送った後、団長室に戻って来た。
フィリップ副騎士団長は、警備隊副隊長と細かな打ち合わせがあったため、参加者達の見送りには出席出来なかった。
団長室に戻って来たバーナード騎士団長は、デスクの椅子にどっかりと座り、どこか機嫌良さそうだった。
「殿下のご提案はなかなか面白いな」
その言葉を聞いて、フィリップはお茶を淹れる手を一瞬止めたが、そのままお茶を淹れる。そしてバーナードのデスクに静かに置いた。
「ありがとう」
すぐにお茶を口にするバーナード。
「ただ、あのご提案は殿下だから出来たことだな。私が提案しても、難しかっただろう。わざわざ殿下が会議にご出席された理由が分かる」
魔獣狩りを任務とする王立騎士団が、その魔獣狩りを停止して、一時的に王都の森に魔獣を溢れさせるという提案は、常識を外れたものである。例えバーナード騎士団長がそうしたいと言っても、なかなか受け入れ難い提案である。上に立つ王太子の口から出されたものだから、出席者達は受け入れる余地があったのだ。
「良かったですね、団長」
その声が冷ややかにならないようにしようとしても、難しかった。
そしてバーナードもすぐにそれに気が付いたようだ。
「フィリップ」
バーナードが手招きをしたので、フィリップはそばに近づくと、彼はその大きな手でフィリップの髪を掻き混ぜるようにどこか乱暴に撫でた。
「お前は、本当に可愛い奴だな」
「!?」
「俺と殿下が仲良くするのが嫌なんだろう」
図星すぎて、フィリップの唇が戦慄く。言葉が出ない。
恥ずかしくて、耳が熱い。顔も赤くなっているのが分かる。
デスクに座ったままのバーナードは、過度なスキンシップを禁止しているはずの団長室で、珍しくその禁を破った。
ぐいとフィリップの手を掴み、バーナードの膝の上にフィリップを座らせ、そして耳元で囁いた。
「お前が一番好きだって言っているだろう。馬鹿だな」
「……………」
「仕方ないから、何度でも言ってやる。俺はお前を一番愛しているよ」
フィリップの青い瞳が、そのバーナードの言葉に潤む。
「………………………おい、泣くほどのことか」
フィリップがごしごしと制服の袖で、目を擦ると、バーナードが止めさせた。
「傷になるぞ」
「嬉しくて……。女々しくてすみません」
よしよしというように、バーナードがフィリップの頭を乱暴に撫でる。もうフィリップの金色の髪は、くしゃくしゃに乱れていたが、フィリップは文句を言うつもりはなかった。いつまでもバーナードに頭を撫でて欲しかった。
そして、自分でも本当に現金なことだと思うが、あれほど嫉妬で荒れ狂っていた心は、バーナードの甘い言葉と、頭なでなでによって、嵐の後のように、すっかり穏やかに凪いでいたのだった。
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