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【短編】
古代魔術師の持つ本 (3)
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第三話 “封印の指輪”を付けることについて(上)
フィリップの屋敷にマグルは足を運び、またどこからか取り出した“静寂の魔道具”を作動させる。
二人は椅子に座り、深刻な表情で額を突き合わせていた。
「ヤバい、ヤバい、ヤバすぎるじゃん、バーナード」
マグルは頭を抱えつつ、ひどく混乱したように言う。
フィリップの顔もどこか青ざめていた。
「…………でも、話を聞くことができて良かったです。バーナードが“淫魔の王女”位を持つことは、絶対に内緒にしないといけないことがわかりました」
「見つかったらヤバすぎる。俺、“封印の指輪”をもっとたくさん作っておく。お前は切らさないようにして、日中は必ずバーナードに付けさせろよ。いや、日中どころじゃない。夜も付けさせろ」
「そうですね」
“淫夢”を見られなくなるのは惜しいが、バーナードの身の安全を考えると、そんなことは小さなものに思えた。
“封印の指輪”を付けて、他人の夢の中へ渡ることを一切禁じることがいいだろう。
ここしばらくの間、バーナードは“聖王国”の神子と親しくなり、夢を渡って交流している様子もあった。可哀想だが、今後はそれも取りやめてもらうことがいいだろう。
夕方、私服姿のバーナードがフィリップの屋敷に帰宅した。
その日は、バーナードも休日で、釣り仲間の友人達と久しぶりに会食したらしい。
“封印の指輪”を付けていると、酒も自由に飲めるということで、会食では酒も飲んで楽しい時間を過ごした様子だった。
ほろ酔い気分のご機嫌な様子で帰ってきたバーナード。
上着を受け取り、フィリップは壁にそれをかける。
「夕食はいかがなさいますか?」
「軽く食べてきたから、いい」
そう言って、バーナードはフィリップを近寄らせると、顎に手をやり口づけを求めた。
酔っているせいだろうか。
バーナードはトロリと欲のこもった眼差しでフィリップを見つめ、彼を求めてきた。
彼に求められるのが嬉しくて、フィリップも熱心に口づけを交わしていく。
ソファの上で互いの服を脱がし合いながら、口づけを続け、フィリップは彼の胸元に手を這わせていった。
「ここでいいですか?」
「ここでいい」
問いかけに、バーナードはすぐに答える。
背中に回した手を下ろし、後孔に手を触れさせると、そこはすでに濡れて潤んでいる。指を入れると、淫らな水音がして、彼は身体を跳ね上げさせる。
淫魔である彼は、感じやすく、発情も早かった。そこはすでに、男を受け入れるための準備が整っていた。
バーナードは熱く息を吐きながら、フィリップの顔を見上げた。
「フィリップ……早くしろ」
「せっかちですね」
彼の輝く茶色の瞳を見つめ、その唇に覆いかぶさるようにしながら、ゆっくりとその身を貫いていく。瞬間、ぎゅっと締め上げられるその感覚に、すぐにフィリップはその悦さに持って行かれそうになったが、なんとか耐えた。
「キツイです」
「ん…………あ」
奥へと腰を進め、そして彼の悦い所をかすめるように責めると、バーナードは喘ぎ、フィリップの背をきつく抱きしめた。
「ああ、ああああ」
ぐいと腰を掴んで、最奥まで貫くと、バーナードはのけぞった。
「フィリップ」
名を呼んで、見つめてくる彼が愛おしく、再度フィリップはその唇に唇を重ねた。
ゆるゆると腰を動かし、彼を責め続けると、たちどころに彼も果てて身を震わせる。
気持ちが悦くて悦くて、どうにかなってしまいそうだった。
その夜は遅くまで、愛し合ったのだった。
フィリップの屋敷にマグルは足を運び、またどこからか取り出した“静寂の魔道具”を作動させる。
二人は椅子に座り、深刻な表情で額を突き合わせていた。
「ヤバい、ヤバい、ヤバすぎるじゃん、バーナード」
マグルは頭を抱えつつ、ひどく混乱したように言う。
フィリップの顔もどこか青ざめていた。
「…………でも、話を聞くことができて良かったです。バーナードが“淫魔の王女”位を持つことは、絶対に内緒にしないといけないことがわかりました」
「見つかったらヤバすぎる。俺、“封印の指輪”をもっとたくさん作っておく。お前は切らさないようにして、日中は必ずバーナードに付けさせろよ。いや、日中どころじゃない。夜も付けさせろ」
「そうですね」
“淫夢”を見られなくなるのは惜しいが、バーナードの身の安全を考えると、そんなことは小さなものに思えた。
“封印の指輪”を付けて、他人の夢の中へ渡ることを一切禁じることがいいだろう。
ここしばらくの間、バーナードは“聖王国”の神子と親しくなり、夢を渡って交流している様子もあった。可哀想だが、今後はそれも取りやめてもらうことがいいだろう。
夕方、私服姿のバーナードがフィリップの屋敷に帰宅した。
その日は、バーナードも休日で、釣り仲間の友人達と久しぶりに会食したらしい。
“封印の指輪”を付けていると、酒も自由に飲めるということで、会食では酒も飲んで楽しい時間を過ごした様子だった。
ほろ酔い気分のご機嫌な様子で帰ってきたバーナード。
上着を受け取り、フィリップは壁にそれをかける。
「夕食はいかがなさいますか?」
「軽く食べてきたから、いい」
そう言って、バーナードはフィリップを近寄らせると、顎に手をやり口づけを求めた。
酔っているせいだろうか。
バーナードはトロリと欲のこもった眼差しでフィリップを見つめ、彼を求めてきた。
彼に求められるのが嬉しくて、フィリップも熱心に口づけを交わしていく。
ソファの上で互いの服を脱がし合いながら、口づけを続け、フィリップは彼の胸元に手を這わせていった。
「ここでいいですか?」
「ここでいい」
問いかけに、バーナードはすぐに答える。
背中に回した手を下ろし、後孔に手を触れさせると、そこはすでに濡れて潤んでいる。指を入れると、淫らな水音がして、彼は身体を跳ね上げさせる。
淫魔である彼は、感じやすく、発情も早かった。そこはすでに、男を受け入れるための準備が整っていた。
バーナードは熱く息を吐きながら、フィリップの顔を見上げた。
「フィリップ……早くしろ」
「せっかちですね」
彼の輝く茶色の瞳を見つめ、その唇に覆いかぶさるようにしながら、ゆっくりとその身を貫いていく。瞬間、ぎゅっと締め上げられるその感覚に、すぐにフィリップはその悦さに持って行かれそうになったが、なんとか耐えた。
「キツイです」
「ん…………あ」
奥へと腰を進め、そして彼の悦い所をかすめるように責めると、バーナードは喘ぎ、フィリップの背をきつく抱きしめた。
「ああ、ああああ」
ぐいと腰を掴んで、最奥まで貫くと、バーナードはのけぞった。
「フィリップ」
名を呼んで、見つめてくる彼が愛おしく、再度フィリップはその唇に唇を重ねた。
ゆるゆると腰を動かし、彼を責め続けると、たちどころに彼も果てて身を震わせる。
気持ちが悦くて悦くて、どうにかなってしまいそうだった。
その夜は遅くまで、愛し合ったのだった。
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