156 / 568
第十一章 聖王国の神子
第八話 新たな性癖の発見
しおりを挟む
赤ん坊の話ばかりするフィリップに、嫌気がさしたのか、バーナードはまったくフィリップの屋敷に寄りつかなくなっていた。
少し前までは、絶倫すぎるとやはり、寄りつかなくなった時期があった。
フィリップは悶々としてしまう。
フィリップは、バーナードとの子供が欲しいと願う気持ちは間違えていないと考えている。
ただ、ちょっとしつこく言いすぎた点は反省すべきかも知れない。
だから、仕事を終えて帰り支度をし始めるバーナードに向けて、フィリップはうなだれた様子で、声をかけたのだった。
「団長、もう子供のことは言いませんので、私の屋敷に来て下さい」
しょんぼりとしたそのフィリップの様子に、バーナードはため息をついた。
彼の金髪の頭に手をやって、掻き混ぜるようにする。
「わかった」
バーナードがフィリップの屋敷へ足を運ぶのは、実に一週間ぶりであった。
日中は封印の指輪をつけ、夜には王太子エドワードに淫夢を見せているために、飢えて苦しむことはない。
だが、それをまったく感じないわけではないのだ。
やはり、淫魔となった身。衝動的に精力が欲しくてたまらない時もある。
浴室で身を清めた後、どちらともなく服に手をかけ、もどかしげにそれを脱がせていく。
息も荒く、唇を重ねていく。
「バーナード、いいですよね」
がっつきすぎると嫌われる。
それを知っているフィリップが伺うようにバーナードを見ると、彼は頬を赤く染めながら言った。
「ああ」
まるで許しを得た犬のように、フィリップは喜び勇んで彼の身にのしかかる。
そして彼の耳から首筋にかけて、舌で舐めていく。
「くすぐったいぞ、フィリップ」
笑いながら言うバーナードの胸を舐め、その身体中を延々と、腕も背中も足もフィリップが夢中になって舐めていくことに、少しだけバーナードは戸惑った様子を見せていた。
「……舐めることが好きなのか?」
そこで、はたとフィリップは動きを止めた。
「…………す……………好きかも……知れません」
フィリップは自分の新たな性癖に気が付いたように、カーと顔を赤くしていた。
「すみません」
「そうか……舐めるのが趣味なのか」
「すみません!! その、団長は私の伴侶なので、ちゃんと自分のものだという意味で」
二人の脳裏にマーキングという言葉が浮かんで消えた。
「お前は、ケモミミが好きだったり、舐めるのが好きだったりと、ちょっと性癖を広げすぎじゃないか」
「……………私のことが、嫌いになってしまいましたか」
どこかすがりつくような目で見つめるフィリップに、バーナードは苦笑いした。
「お前を嫌いになることはない。ただ……」
その後の言葉は、口に出されなかったが、フィリップはなぜか感じ取っていた。
お前がどんどん変態になっているような……
「私は変態じゃないです!! 団長、嫌わないでください!!」
「変態だなんて言ってないだろう!!」
「いえ、そう聞こえました!!」
「それは被害妄想だ。俺はそんなことを言っていない」
「そんな、団長、嫌わないでください」
必死にしがみつくようにぎゅっとバーナードの身を抱きしめる。
そこでまた、馬鹿力で締め上げられるように感じたバーナードは、うめき声を上げた後、フィリップの背中を叩いた。
「なんでお前、そんなに強く俺を抱くんだ。死ぬだろう!!」
「すみません!! 団長」
バーナードの身体を無性に舐めたくなるのも、やたら馬鹿力になったことも、おそらく人狼の呪いを受けてのことだろうと、フィリップは考えていた。
以前になかったことだからだ。
でも、ケモミミについては、純粋に自分の趣味のような気がしていた。
性欲も強くなってしまって、団長には白い目で見られている。
彼と釣り合う身になれたことは、非常に嬉しかった。
だが、その代償に、何か大切なものを失いつつあるような気がしていた。
少し前までは、絶倫すぎるとやはり、寄りつかなくなった時期があった。
フィリップは悶々としてしまう。
フィリップは、バーナードとの子供が欲しいと願う気持ちは間違えていないと考えている。
ただ、ちょっとしつこく言いすぎた点は反省すべきかも知れない。
だから、仕事を終えて帰り支度をし始めるバーナードに向けて、フィリップはうなだれた様子で、声をかけたのだった。
「団長、もう子供のことは言いませんので、私の屋敷に来て下さい」
しょんぼりとしたそのフィリップの様子に、バーナードはため息をついた。
彼の金髪の頭に手をやって、掻き混ぜるようにする。
「わかった」
バーナードがフィリップの屋敷へ足を運ぶのは、実に一週間ぶりであった。
日中は封印の指輪をつけ、夜には王太子エドワードに淫夢を見せているために、飢えて苦しむことはない。
だが、それをまったく感じないわけではないのだ。
やはり、淫魔となった身。衝動的に精力が欲しくてたまらない時もある。
浴室で身を清めた後、どちらともなく服に手をかけ、もどかしげにそれを脱がせていく。
息も荒く、唇を重ねていく。
「バーナード、いいですよね」
がっつきすぎると嫌われる。
それを知っているフィリップが伺うようにバーナードを見ると、彼は頬を赤く染めながら言った。
「ああ」
まるで許しを得た犬のように、フィリップは喜び勇んで彼の身にのしかかる。
そして彼の耳から首筋にかけて、舌で舐めていく。
「くすぐったいぞ、フィリップ」
笑いながら言うバーナードの胸を舐め、その身体中を延々と、腕も背中も足もフィリップが夢中になって舐めていくことに、少しだけバーナードは戸惑った様子を見せていた。
「……舐めることが好きなのか?」
そこで、はたとフィリップは動きを止めた。
「…………す……………好きかも……知れません」
フィリップは自分の新たな性癖に気が付いたように、カーと顔を赤くしていた。
「すみません」
「そうか……舐めるのが趣味なのか」
「すみません!! その、団長は私の伴侶なので、ちゃんと自分のものだという意味で」
二人の脳裏にマーキングという言葉が浮かんで消えた。
「お前は、ケモミミが好きだったり、舐めるのが好きだったりと、ちょっと性癖を広げすぎじゃないか」
「……………私のことが、嫌いになってしまいましたか」
どこかすがりつくような目で見つめるフィリップに、バーナードは苦笑いした。
「お前を嫌いになることはない。ただ……」
その後の言葉は、口に出されなかったが、フィリップはなぜか感じ取っていた。
お前がどんどん変態になっているような……
「私は変態じゃないです!! 団長、嫌わないでください!!」
「変態だなんて言ってないだろう!!」
「いえ、そう聞こえました!!」
「それは被害妄想だ。俺はそんなことを言っていない」
「そんな、団長、嫌わないでください」
必死にしがみつくようにぎゅっとバーナードの身を抱きしめる。
そこでまた、馬鹿力で締め上げられるように感じたバーナードは、うめき声を上げた後、フィリップの背中を叩いた。
「なんでお前、そんなに強く俺を抱くんだ。死ぬだろう!!」
「すみません!! 団長」
バーナードの身体を無性に舐めたくなるのも、やたら馬鹿力になったことも、おそらく人狼の呪いを受けてのことだろうと、フィリップは考えていた。
以前になかったことだからだ。
でも、ケモミミについては、純粋に自分の趣味のような気がしていた。
性欲も強くなってしまって、団長には白い目で見られている。
彼と釣り合う身になれたことは、非常に嬉しかった。
だが、その代償に、何か大切なものを失いつつあるような気がしていた。
34
お気に入りに追加
1,152
あなたにおすすめの小説
完結・虐げられオメガ妃なので敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
無冠の皇帝
有喜多亜里
BL
「連邦」、「連合」に次ぐ銀河系内の第三勢力「帝国」。その宗主であった「連合」五星系の一つザイン星系は「帝国」の再植民地化をもくろみ侵攻しようとするも「帝国」宇宙軍と皇帝軍護衛艦隊に阻まれる。「帝国」の元皇太子アーウィンが司令官を務める皇帝軍護衛艦隊の鉄則はただ一つ。〝全艦殲滅〟。――なーんて感じの「なんちゃってSF」。コメディ寄りのボーイズラブ(自称)。大佐(変態だけどまとも)×元皇太子(ツンデレストーカー)。
----
◆BOOTH様で同人誌を通販しています。既刊4冊(https://aarikita.booth.pm/)。
◆表紙はかんたん表紙メーカー様で作成いたしました。ありがとうございました(2023/03/16)。
----
◆「第11回BL小説大賞」(2023)で奨励賞をいただきました。ありがとうございました。
◆「第12回BL大賞」(2024)で奨励賞をいただきました。ありがとうございました。
王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる