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第十章 王宮副魔術師長の結婚
第二話 心の友
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「……というわけなんだよ。バーナード、君の力を借りたい。君は僕の親友で、心の友だよね」
王立騎士団の、団長室に入るなり、王宮副魔術師長マグルは椅子に座り込んでそう話した。
騎士団長のデスクについていたバーナードは、ため息をつく。
「そうきたか。教授は、お前の後ろに俺がいることもわかっているんだろうな」
「僕と君が親友なのは、有名な話だからね。当然わかった上で話していると思うよ」
マグルはドンとテーブルの上に手土産を置いた。
「バーナードが好きそうな菓子セットを持ってきた」
「俺は甘い菓子は好かん」
「そう言わないでくれよ~」
「だいたい、俺が好きそうな菓子と言っているが、全部お前の好みじゃないか。おい、フィリップ、団員に配ってやれ」
「あああああ、バーナード、その菓子は限定品なんだぞ。お前のところの騎士はその菓子の価値が分からないだろう!!」
「菓子に価値なんぞあるわけなかろう。フィリップ」
「はい」
フィリップが菓子セットを受け取り、引き戸の棚に仕舞いこむ。
少しばかりマグルはがっかりした様子だった。
「……それで、手伝ってくれる?」
上目遣いで見るマグルに、バーナードは頷いた。
悪戯っぽく目を輝かしながらこう言った。
「俺はお前の親友で、心の友なんだろう。当然だ」
「それで、カトリーヌの姉のセリーヌ嬢だけど、その駆け落ち先から探さないといけない」
そのマグルの言葉に、バーナードは首を傾げた。
「ん、お前はそれが分かっていた上で、俺に依頼したと思ったぞ」
「…………どういうこと? 僕は何も知らないよ。カトリーヌの姉のセリーヌは男と駆け落ちしたとしか聞いていない。お前に声をかけたのは、王立騎士団長だから、探しやすいと思ってのことだ」
バーナードは腕を組んだ。
「なんだ、知った上で話を持ちかけたのかと思ったのに。そう考えると、お前の義父になる教授はヒドイな。セリーヌ嬢の駆け落ち先は、妖精の国だ」
「………………?」
「だから、妖精の国へ行って、セリーヌ嬢に人間の国へ一度戻ってきてくれと頼めばいい話だ。そんな難しい話じゃないぞ」
「ちょっと待て。妖精の国? セリーヌ嬢は妖精の国にいるのか」
「お前の恋人もまだお前に話していないのか? まあ、話し辛いことだし、信じがたい話だからな。セリーヌ嬢は妖精の国の王子と恋に落ちて、妖精の国に嫁いでいるんだ」
「…………え?」
「明日にでも、打ち合わせをしよう。カトリーヌ嬢にも声をかけてくれ。そうだな、明日の夜の予定は空いているか」
すかさず副騎士団長のフィリップが、手帳を取り出してバーナード騎士団長の予定をチェックする。
「大丈夫です、団長。空いております」
「よし、明日、夕食を取りながら話し合おう。必ずカトリーヌ嬢も連れてくるんだぞ」
「…………わかった」
マグルは驚きながらも頷いたのだった。
王立騎士団の、団長室に入るなり、王宮副魔術師長マグルは椅子に座り込んでそう話した。
騎士団長のデスクについていたバーナードは、ため息をつく。
「そうきたか。教授は、お前の後ろに俺がいることもわかっているんだろうな」
「僕と君が親友なのは、有名な話だからね。当然わかった上で話していると思うよ」
マグルはドンとテーブルの上に手土産を置いた。
「バーナードが好きそうな菓子セットを持ってきた」
「俺は甘い菓子は好かん」
「そう言わないでくれよ~」
「だいたい、俺が好きそうな菓子と言っているが、全部お前の好みじゃないか。おい、フィリップ、団員に配ってやれ」
「あああああ、バーナード、その菓子は限定品なんだぞ。お前のところの騎士はその菓子の価値が分からないだろう!!」
「菓子に価値なんぞあるわけなかろう。フィリップ」
「はい」
フィリップが菓子セットを受け取り、引き戸の棚に仕舞いこむ。
少しばかりマグルはがっかりした様子だった。
「……それで、手伝ってくれる?」
上目遣いで見るマグルに、バーナードは頷いた。
悪戯っぽく目を輝かしながらこう言った。
「俺はお前の親友で、心の友なんだろう。当然だ」
「それで、カトリーヌの姉のセリーヌ嬢だけど、その駆け落ち先から探さないといけない」
そのマグルの言葉に、バーナードは首を傾げた。
「ん、お前はそれが分かっていた上で、俺に依頼したと思ったぞ」
「…………どういうこと? 僕は何も知らないよ。カトリーヌの姉のセリーヌは男と駆け落ちしたとしか聞いていない。お前に声をかけたのは、王立騎士団長だから、探しやすいと思ってのことだ」
バーナードは腕を組んだ。
「なんだ、知った上で話を持ちかけたのかと思ったのに。そう考えると、お前の義父になる教授はヒドイな。セリーヌ嬢の駆け落ち先は、妖精の国だ」
「………………?」
「だから、妖精の国へ行って、セリーヌ嬢に人間の国へ一度戻ってきてくれと頼めばいい話だ。そんな難しい話じゃないぞ」
「ちょっと待て。妖精の国? セリーヌ嬢は妖精の国にいるのか」
「お前の恋人もまだお前に話していないのか? まあ、話し辛いことだし、信じがたい話だからな。セリーヌ嬢は妖精の国の王子と恋に落ちて、妖精の国に嫁いでいるんだ」
「…………え?」
「明日にでも、打ち合わせをしよう。カトリーヌ嬢にも声をかけてくれ。そうだな、明日の夜の予定は空いているか」
すかさず副騎士団長のフィリップが、手帳を取り出してバーナード騎士団長の予定をチェックする。
「大丈夫です、団長。空いております」
「よし、明日、夕食を取りながら話し合おう。必ずカトリーヌ嬢も連れてくるんだぞ」
「…………わかった」
マグルは驚きながらも頷いたのだった。
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