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第4章 ちびっこ怪獣三匹、仲間と協力して戦利品を吟味する

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「あー、そんな気にすんなよ、光太。オレらも、中途半端に安全かもなんて空気にしちゃったし」

「だねー。なんだかんだで光太ってば、ちゃんと周り見てるもん」

「うん。ワタシたちが余計なこと言わなかったらおとなしく『待て』してたでしょお?」

 金堂、コズエ、カエデの三人が、きれいな土下座を決めた光太を、苦笑しながら立たせる。

 光太は、無鉄砲なようでいて、一応は周りを見ている。
 止められたらちゃんと止まっているし、はっちゃけていい場面かどうか、周りの様子を見て判断しているところがある。
 今回だって、金堂たちが中途半端に発動した能力ちからの事を口にしなかったら、光太は身の安全を優先して、おとなしくしていたはずだ。
 安全が確保されていると思ってしまったから、好奇心を押さえきれなかっただけである。
 中途半端に能力ちからを発動させて安全だと誤解させてしまった側としては、光太を責める気にはなれなかった。

 いきなり戦闘になったのには驚いたけれど。
 光太の好奇心が、能力ちからを発動させる方法を見つけたのも確かなわけで。
 木本先生と大内先生にこってり叱られた光太は、すでにかわいそうなくらい落ち込んで反省している。

 自分たちがこれ以上責め立てるのは、違う気がした。

「そうやってみんなが甘やかすから、コウちゃんの暴走グセがなおらないんだけど」

 金堂たちになぐさめられて、早々に立ち直りかけていた光太の頭を、ユーゴが軽くはたく。
 真剣に反省しているのはわかるけど、立ち直るのがちょっと早すぎる。
 喉元過ぎればなんとやら、では困るのだ。

「まあ、今回は本人も予想外の出来事だったみたいだし、しょうがないんじゃないか?」

 てしてしてしてし、光太の頭をリズミカルにはたくユーゴを、ケースケが苦笑しながらなだめる。

 『神速』が発動した時、光太は本気でびっくりした顔をしていた。
 本人がやらかそうとしてしでかしたわけでないなら、あまり叱りすぎるのもよくないだろう。

「いや、マジで。今回はガチで反省してる! みんなを危険な目にあわせて、ホントごめん!!」

 光太とて、思わぬ能力ちからの発動にはびびったし、突っ込んだ先がトレントだったのにも、心底びびった。
 幸いだったのは、精霊が『神速』に耐えられる頑丈さを与えてくれていたことだ。
 そうでなければ、あんなスピードで巨木に突っ込んで、無事でいられるはずがない。
 それどころか。トレントが光太を取り込もうとしてきた時、あっさり押し潰されてしまっていたことだろう。
 なんだかんだでみんなが助け出してくれるまで光太が無事でいられたのは、精霊が集めてくれたたくさんの能力ちからのおかげだった。
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