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第1章 ちびっこ怪獣三匹、異世界に降り立つ

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 金堂が、どこか悲鳴じみた声で叫ぶ。
 いつもぴかぴかの笑顔を浮かべている陽気な少年が、ぐしゃぐしゃに顔を歪めて泣いている姿は衝撃的しょうげきてきで。

 みんなびっくりして、どこかぽかんと金堂こんどうを見つめる。

 思いもよらないことを言われた。
 全員の顔に、そう書いてある。
 それはすなわち、誰も金堂のせいだなどと考えもしなかった証であるのだが、自責の念にかられている少年には、誰のことも見えてはいなかった。

「オレがッ。『助けて』って手を伸ばしたからッ。オレが悪いんだ……オレが……ッ、みんなを……ッ」

 普段の能天気な様子から一転。ボロボロと大粒の涙を流す金堂を見て、コズエが目を見張る。

 男の子が人前で大泣きするなんて、よほどのことだ。

「え、ちょっと待ってよ。違うよ。金堂のこと責めたんじゃないよ。なんかよくわかんないことばっかりおこるし、ちょっとふざけてみんなのテンションあげようって思っただけで……ッ」

 我慢がまん我慢がまんを重ねて、ついにはじけた。
 そんな泣き方をする金堂に、コズエは自身の不安をまぎらわそうとした軽口が、誰かを追いつめていたのだと知って狼狽うろたえる。

 魔方陣のようなモノに引きずり込まれたこともだが、空中落下も、知らない場所へ運ばれてしまったことも、コズエには恐怖でしかなかった。
 仲良しのカエデがいて、普段の様子とあまり変わらない六年三組名物のやんちゃ怪獣三匹もいて。
 先生たちもいた。
 それでコズエは、突然の出来事に混乱しながらも、なんとか恐怖心を飲み込むことができた。

 異世界転移だのなんだのと口にしたのは、飲み込んだ恐怖心が、再びこみあげてこないようにだ。
 無理にでもはしゃいでいれば不安もまぎれる。
 青白い顔をした一番の仲良し--親友のカエデを笑わせたかったし、弱々しくふらついている木本先生にも、いつもの調子に戻って欲しかった。
 だから、大きな石の板を見つけたとき、頑張ってはしゃいでいるフリをした。
 クラスで流行っているアニメのネタなら、みんなのってきてくれるだろうと考えて。

 その結果が、コレ。
 誰も笑顔を見せてはくれず、それどころか金堂を傷つけてしまった。

「オレだけ引きずり込まれてればよかったんだ。ごめん。みんなごめんよおぉお」

 ボロボロボロボロ。
 大粒の涙をこぼしながらの、しぼりだすような謝罪。

 コズエはもうなにも言えなくなり、黙ってうつむく。
 わけのわからない状況が怖かった。
 そんなの、みんな一緒だったのだと、いまさらながらに気づいたからだ。
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