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【2話目】
『遅刻しちゃう~』って焦ってたら送ってくれたんだ
しおりを挟む「マジか。バイクで送ってくれるとか、うらやましいんですけどー」
「そうかな」
「あたしん家なんて、遊びに行くから送ってって言っても、『忙しい』で終わられちゃうよ」
「でも、篠田さんが困ってたら助けてくれるでしょ?」
「そりゃそうだよ」
「オレも一緒。『遅刻しちゃう~』って焦ってたら送ってくれたんだ」
「なるほどー」
篠田さんは女の子なのに、平気で大口を開けてケタケタと笑う。
廉太郎が話しやすいと感じるのは、篠田さんのこういうところだ。
なんでもざっくばらんだし、裏表がないのがいい。
女の子らしくない女の子だから話していて楽しいとか言ったら、篠田さんに怒られるだろうか。
「つまり、廉太郎くんの家族はみんな仲がいいのね。うらやましいわ」
ケタケタ笑う篠田さんの後ろから、可愛らしい笑みを浮かべたミサキちゃんが、おっとりとした口調でほわほわと会話に加わる。
元気で活発な篠田さんに対して、ミサキちゃんは、物静かで可愛らしい女の子だ。
くりんと大きな目。
長くてふわふわの髪の毛。
手足がすらりと長くてスタイルもいいし、誰とでも仲良く出来る気さくな性格をしている。
物静かで可愛らしくて性格もいいとくれば、まさに理想の女の子像そのものだ。
だからだろう。ミサキちゃんを好きな子は、クラスだけでなく、学校中にたくさんいる。
一年生からの友だちはクラスが別れても親友だと言ってしょっちゅう遊びにくるし、一度でも同じクラスになったことのある子は男女問わず、いまでもミサキちゃんと仲良くしている。
面倒見がいいから、下級生にだってウケがいい。
たぶん、ミサキちゃんの言葉にいちいち反応している廉太郎の方が気にしすぎなのだとは思う。
思う、けれども。
ーー……ミサキちゃんの発言は、たびたび廉太郎の心の、柔らかい部分に突き刺さる。
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第五章 短針マシュマロと消えた写真
第六章 スカーフェイスを追って
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第九章 『5…4…3…2…1…‼』
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