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【2話目】

誰かの助けになれればいいと思う

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 なのに、藤堂もダイフクも、廉太郎が困っていたら、当たり前みたいな顔をして助けてくれる。
 廉太郎が助けを求めたわけじゃなくても。
 廉太郎が迷惑をかけたあとでも。
 廉太郎が困っている。
 ただそれだけの理由で。

 それが、涙が出てくるほどうれしくて。
 もし住人の誰かがこまっていたら、今度は自分が同じことをしよう。
 廉太郎は、心ひそかにそうちかう。

 だって、なんだかんだとふたりが助けてくれたから、廉太郎は約束の時間より早く、待ち合わせ場所の公園へとたどり着くことができた。
 廉太郎ひとりならたぶん、着替えをしていなかったとしても、こんな時間に公園へ来ることはできなかっただろう。
 頑張って急いで。
 でも、遅れてしまってたぶん。
 みじめな思いをしていたはずだ。
 そうならなかったのは、ふたりが廉太郎を手助けしてくれたから。
 ダイフクと藤堂が、廉太郎のことを考えてくれたから。

 さりげなく差し伸べられた手がこんなにもうれしかったのだ。
 廉太郎だって誰かの助けになれば、きっとよろこんでもらえる。
 廉太郎にはたいしたことは出来ないだろうけれど。
 困っているときに差し伸べてもらえた手は、心にとても温かかったから。
 それだけでも、誰かの助けになれればいいと思う。

 廉太郎は、同年代の子供たちと比べると、体が小さい。
 背も低いし、胴体だって、小学校高学年の男の子にしては細すぎるくらいだ。
 オジサンや共同住宅アパートのみんなは、もう少し成長すれば他の子たちと変わらなくなると言ってくれるけれど。
 体が小さい分、どれだけ本人が急いでいるつもりでも、同年代の他の子供たちと比べたら、どうしても見劣りしてしまう。
 成長が足りていないのか、頑張っても頑張っても、廉太郎の手足は思うほどには動いてくれないのだ。
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