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【1話目】
にぎゃぁうッ。うにゃにゃにゃ!
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『ネコのダイフクさんには逆らわないこと』というお約束はようするに、住人の快適な生活を保つためのお約束だ。
なぜならば、ダイフクは、共同住宅の管理人兼、料理人で、家憑きの大妖精だからだ。
健康管理から教育的指導まで。
ダイフクは面倒がらずに住人のお世話を献身的にみてくれるだけでなく、なんならちょっとした守護までしてくれる大事な存在である。
ダイフクにそっぽを向かれたら掃除も洗濯もしてもらえなくなるし、なにより。
日々の食事を作ってもらえなくなってしまう。
「にぎゃぁうッ。うにゃにゃにゃ(つべこべ言わないでとっとと着替えといでッ。しゃべってる間に着替えられるよ)!」
「はーい!」
しゃもじを振りかぶったダイフクに急かされ、廉太郎はあわてて階段を駆けのぼる。
約束の時間に遅れるのは嫌だけど、ダイフクに嫌われるもはもっと嫌だ。
だってダイフクの言葉は全部、廉太郎のためを思ってのものだからだ。
ダイフクに知らん顔されるようになったら、きっと後悔する。
この家に引っ越してきてすぐの頃は人見知りが表に出て、廉太郎は大きな声など出せなかった。
でもいまは、住人全員と顔見知りとなっている。
仲良くしてくれる人。
親切にしてくれる人。
子供が苦手なのか、ちょっととまどいながら接してくる人。
性別も年齢もいろんな人が住んでいて、いろんな考え方の人がいる。
けれど総じて、ここの住人は廉太郎に好意的だ。
親がダブル不倫の末離婚して、児童養護施設へ預けられそうになっていたところをオジサンに引き取られてきたのを、全員が知っているからだろう。
ときには実の両親よりも赤の他人の方が親身になってくれることもあるのだと、廉太郎はここへきて学んだ。
それもこれも、ダイフクが仲立ちしてくれたおかげである。
ダイフクは、住人のためにならない言葉は口にしない。
だからきっと本当に、着替えなければ子犬によくない影響があるのだ。
約束の時間に間に合うよう、なるべく急いで着替えよう。
そう思いながら、廉太郎は自分の部屋へと、勢いよく転がり込んだ。
なぜならば、ダイフクは、共同住宅の管理人兼、料理人で、家憑きの大妖精だからだ。
健康管理から教育的指導まで。
ダイフクは面倒がらずに住人のお世話を献身的にみてくれるだけでなく、なんならちょっとした守護までしてくれる大事な存在である。
ダイフクにそっぽを向かれたら掃除も洗濯もしてもらえなくなるし、なにより。
日々の食事を作ってもらえなくなってしまう。
「にぎゃぁうッ。うにゃにゃにゃ(つべこべ言わないでとっとと着替えといでッ。しゃべってる間に着替えられるよ)!」
「はーい!」
しゃもじを振りかぶったダイフクに急かされ、廉太郎はあわてて階段を駆けのぼる。
約束の時間に遅れるのは嫌だけど、ダイフクに嫌われるもはもっと嫌だ。
だってダイフクの言葉は全部、廉太郎のためを思ってのものだからだ。
ダイフクに知らん顔されるようになったら、きっと後悔する。
この家に引っ越してきてすぐの頃は人見知りが表に出て、廉太郎は大きな声など出せなかった。
でもいまは、住人全員と顔見知りとなっている。
仲良くしてくれる人。
親切にしてくれる人。
子供が苦手なのか、ちょっととまどいながら接してくる人。
性別も年齢もいろんな人が住んでいて、いろんな考え方の人がいる。
けれど総じて、ここの住人は廉太郎に好意的だ。
親がダブル不倫の末離婚して、児童養護施設へ預けられそうになっていたところをオジサンに引き取られてきたのを、全員が知っているからだろう。
ときには実の両親よりも赤の他人の方が親身になってくれることもあるのだと、廉太郎はここへきて学んだ。
それもこれも、ダイフクが仲立ちしてくれたおかげである。
ダイフクは、住人のためにならない言葉は口にしない。
だからきっと本当に、着替えなければ子犬によくない影響があるのだ。
約束の時間に間に合うよう、なるべく急いで着替えよう。
そう思いながら、廉太郎は自分の部屋へと、勢いよく転がり込んだ。
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