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【1話目】
コレが一番大事な約束で、絶対にやぶっちゃいけない約束だ
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幼い頃からずっと、両親にはたくさんの約束をやぶられてきた。
明日一緒に買い物に出かけようだとか。
今日の夕食は三人そろって食べようだとか。
お土産に新発売のお菓子を買ってきてくれるだとか。
今度の休みは家族で出かけようだとか。
ひとつひとつは小さな約束だった。
だけど約束がやぶられる度、廉太郎はひどくみじめで悲しい気持ちになったのだ。
あんな思いを人にさせるくらいなら、出来ない約束はしない。
廉太郎はそう心に決めている。
「とりあえず、大事な約束はみっつだ」
廉太郎が、きちんと話を聞く姿勢を見せたからだろう。
しゃがんで廉太郎と視線を合わせたオジサンは、人差し指をピッと立てる。
「まずひとつ目。コレが一番大事な約束で、絶対にやぶっちゃいけない約束だ」
「うん」
頷いた廉太郎の目を見つめ、オジサンが重々しく口を開く。
どこまでも真剣なその表情に拳をにぎりしめて緊張していた廉太郎はけれど。
「『ネコのダイフクさんには逆らわないこと』」
真剣な口調で、まっすぐに目を見て告げられた予想外の言葉に、目をぱちくりさせる。
「ーー……え? え?? ネコ? ネコなのにダイフク?? っていうか、ネコに逆らっちゃダメってなに?」
思っていたのと違う、とか。
一番大事な約束事が、ネコに逆らってはいけないってなんだろう、とか。
面食らった廉太郎は、おそらくとても間抜けな顔をしていたのだろう。
「会えばわかる。ダイフクさんはこの共同住宅の一番の古株なんだ。だからイタズラしてはいけないし、逆らってもいけない。守れるか?」
オジサンが廉太郎を見つめながら目を細め、喉の奥で低く笑う。
でもそれは廉太郎をバカにした笑い方ではなく、廉太郎の反応を好ましいと感じてくれているのがわかる、優しい笑い方だった。
明日一緒に買い物に出かけようだとか。
今日の夕食は三人そろって食べようだとか。
お土産に新発売のお菓子を買ってきてくれるだとか。
今度の休みは家族で出かけようだとか。
ひとつひとつは小さな約束だった。
だけど約束がやぶられる度、廉太郎はひどくみじめで悲しい気持ちになったのだ。
あんな思いを人にさせるくらいなら、出来ない約束はしない。
廉太郎はそう心に決めている。
「とりあえず、大事な約束はみっつだ」
廉太郎が、きちんと話を聞く姿勢を見せたからだろう。
しゃがんで廉太郎と視線を合わせたオジサンは、人差し指をピッと立てる。
「まずひとつ目。コレが一番大事な約束で、絶対にやぶっちゃいけない約束だ」
「うん」
頷いた廉太郎の目を見つめ、オジサンが重々しく口を開く。
どこまでも真剣なその表情に拳をにぎりしめて緊張していた廉太郎はけれど。
「『ネコのダイフクさんには逆らわないこと』」
真剣な口調で、まっすぐに目を見て告げられた予想外の言葉に、目をぱちくりさせる。
「ーー……え? え?? ネコ? ネコなのにダイフク?? っていうか、ネコに逆らっちゃダメってなに?」
思っていたのと違う、とか。
一番大事な約束事が、ネコに逆らってはいけないってなんだろう、とか。
面食らった廉太郎は、おそらくとても間抜けな顔をしていたのだろう。
「会えばわかる。ダイフクさんはこの共同住宅の一番の古株なんだ。だからイタズラしてはいけないし、逆らってもいけない。守れるか?」
オジサンが廉太郎を見つめながら目を細め、喉の奥で低く笑う。
でもそれは廉太郎をバカにした笑い方ではなく、廉太郎の反応を好ましいと感じてくれているのがわかる、優しい笑い方だった。
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