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【1話目】

ーー……だから別々の部屋?

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 オジサンから、ふたり暮らしをするには少しばかり部屋が狭いから、もうひとつ別の部屋を借りて、廉太郎はそちらで暮らすことになると聞いていた。だから、なんとなくボロくて小さな『アパート』を想像していたのだ。
 そうしたら、まさかのおしゃれな洋風の建物がきた。

「まあ、ここは『アパート』というよりは下宿に近い形態だからな。普通の『アパート』を想像していたのなら驚いただろう」

「下宿? 『アパート』じゃないの?」

「一応、共同住宅ではある。けど、掃除、洗濯、食事付きとくれば、ほぼ下宿みたいなもんだ」

「ーー……だから別々の部屋?」

 掃除をしてくれる人がいて、洗濯をしてくれる人もいる。ごはんだってついてくるなら、廉太郎でもひとりで生活できる。

 騒動を聞いて駆けつけてくれて。
 なんのためらいもなく廉太郎を引き取ってくれて。
 オジサンは、廉太郎を受け入れてくれたのだと思っていた。
 でもやっぱり、ここでも廉太郎は邪魔な存在だったのだろうかと不安になって見上げれば、オジサンはゆるゆると首を横にふる。

「いや。オジサンの部屋はモノが多すぎて足の踏み場もないというか、寝床を確保するだけでやっとの有り様なんだ。いまの部屋を物置にして、もう一部屋借りた方で一緒に暮らしてもいいんだが、共同住宅アパートの連中が口をそろえて『それは子供がかわいそうだ』と言うんでな」

 オジサンの話によると、オジサンの部屋は仕事道具が山と積み上げられているのだそうだ。
 一応、オジサンなりに整理はしてあって、どこに何があるのかはちゃんとわかっている。
 でも、足の踏み場もないというか、モノのすき間で生活しているようなものなのだそうで。
 前々から、物置用にもう一部屋借りようかどうか悩んでいたところへ、今回の騒動だ。
 ちょうどよく空いていた隣の部屋をあわてて借りたものの、廉太郎との同居は、オジサンの部屋を見たことのある人全員に止められたらしい。
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