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序幕
【~昔語り~】
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ちょいと昔の話をしようかねえ。
いつの時代だったか、どこの場所だったのか。
記述はさっぱり残っちゃいねえが。
人の記憶に受け継がれ、語られ語られしてきた物語がある。
時代が進み、世の中便利になっちまってまあ。
伝聞や伝え語りなんてもなあ寂れちまって久しいんだがよう。
忘れちゃなんねえ事柄も、言い伝えにゃあ含まれてる。
忘れたが故に痛い目見ても、そりゃあ自業自得ってなもんだ。
さあてさてさて。
そんなこたぁさておいて。
ちょいと昔の話を……。
いやいや違った、いま此の時か、はたまた遠い未来か定かじゃねえが。
伝え語りにもならなかった話をしようかねえ。
月のない晩に、とある男がそりゃあ見目麗しい魔性と出会ったところからはじまる物語だ。
実に恐ろしきは人の欲。
美しい魔性は純粋なれど、人の欲は濁って醜い。
斯くて男は、麗しい魔性を我が物にせんとした人間どもに、よってたかって殺された。
庇護する男が死んじまえば、魔性は路頭に迷うに違えねえ。
行くあてを見失ったところを捕らえりゃいいと。
そう高を括ったんだろうがおあいにくさま。
良くも悪くも相手は魔性だ。
片割れをくびり殺されて、黙っているわきゃあない。
『さわらぬ神に祟りなし』
魔性だっておんなじだ。
いくら美しくとも。
どれほど麗しくとも。
魔性は魔性。
一度牙を剥きゃあ、ただ人なんぞに止められるもんかい。
幸いなるかな、怒り狂った魔性は、村人全部を引き裂くだけで、障りも祟りも残さなかった。
男に手をかけた者はもちろんのこと、親戚縁者。
赤子に至るまで、ひっとり残さず八つ裂きにしちまったが、そんだけだ。
祟られたのはむしろ、男の方だ。
永い永い刻の果てだろうと、魔性にゃあ時間なんてもの、関係ありゃしない。
男が生まれ直してくるのを、待って待って待ち続けた魔性は、ようようお目当ての人物を見つけたが――……。
はてさて、こっから先はどうなるのやら。
だあれも知らない物語のはじまりだ。
兄さん姉さん、坊やに嬢ちゃん。
旦那も奥方さんもご隠居も。
さあさ、新しい物語を、ちょいと一緒に覗いてみようじゃないかいなあ。
いつの時代だったか、どこの場所だったのか。
記述はさっぱり残っちゃいねえが。
人の記憶に受け継がれ、語られ語られしてきた物語がある。
時代が進み、世の中便利になっちまってまあ。
伝聞や伝え語りなんてもなあ寂れちまって久しいんだがよう。
忘れちゃなんねえ事柄も、言い伝えにゃあ含まれてる。
忘れたが故に痛い目見ても、そりゃあ自業自得ってなもんだ。
さあてさてさて。
そんなこたぁさておいて。
ちょいと昔の話を……。
いやいや違った、いま此の時か、はたまた遠い未来か定かじゃねえが。
伝え語りにもならなかった話をしようかねえ。
月のない晩に、とある男がそりゃあ見目麗しい魔性と出会ったところからはじまる物語だ。
実に恐ろしきは人の欲。
美しい魔性は純粋なれど、人の欲は濁って醜い。
斯くて男は、麗しい魔性を我が物にせんとした人間どもに、よってたかって殺された。
庇護する男が死んじまえば、魔性は路頭に迷うに違えねえ。
行くあてを見失ったところを捕らえりゃいいと。
そう高を括ったんだろうがおあいにくさま。
良くも悪くも相手は魔性だ。
片割れをくびり殺されて、黙っているわきゃあない。
『さわらぬ神に祟りなし』
魔性だっておんなじだ。
いくら美しくとも。
どれほど麗しくとも。
魔性は魔性。
一度牙を剥きゃあ、ただ人なんぞに止められるもんかい。
幸いなるかな、怒り狂った魔性は、村人全部を引き裂くだけで、障りも祟りも残さなかった。
男に手をかけた者はもちろんのこと、親戚縁者。
赤子に至るまで、ひっとり残さず八つ裂きにしちまったが、そんだけだ。
祟られたのはむしろ、男の方だ。
永い永い刻の果てだろうと、魔性にゃあ時間なんてもの、関係ありゃしない。
男が生まれ直してくるのを、待って待って待ち続けた魔性は、ようようお目当ての人物を見つけたが――……。
はてさて、こっから先はどうなるのやら。
だあれも知らない物語のはじまりだ。
兄さん姉さん、坊やに嬢ちゃん。
旦那も奥方さんもご隠居も。
さあさ、新しい物語を、ちょいと一緒に覗いてみようじゃないかいなあ。
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