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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編
第308話 回想 私の居場所はあなたのお側
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あの襲撃事件から、少し時間が経った。
フィリア騎士学園への襲撃などは、学園の歴史上幾度と起こってはいるそうだが…王族を襲うのは、そして真祖が現れたというのは衝撃を与え、王国内ではその話題で持ち切りだった。
火傷痕が背中にも増えてしまったが、それ以外に問題はなく、私はすぐに日常に戻れた。
しかし、問題は姫さまで…ルルムによるスライム調教は、日常生活にも影響を与えるほどで、姫さまはその治療を受けるために、少しの間入院することになった。
その間私は、姫さまの言いつけ通り…1人で学園の授業に出て、それが終わり次第彼女のお見舞いとお世話をする日々を過ごした。
そんな時だ、あの手紙がきたのは。
お前を護衛として使ってやるから、今すぐに俺のところに戻ってこい。
という内容で…その差出人は、私の父である貴族騎士だった。
なんで今更…私は理解ができなく、しかし手紙にどう対応していいのかわからなく…
こんなこと、治療で大変な姫さまには言えず…誰にも相談もできず、そして私は戻りたくもなくて…だから私が無視すると、奴は学園までやってきた。
「戻ってこないのであれば、燃えてしまった離れ屋敷の支払いをしてもらおう。
その支払いができないのであれば、俺の言うことに従え…今すぐに王都を出発するから、ついて来い。」
来て早々、奴はそう言ってきた。
いきなりそんな無理やりな脅しをしてくる辺り、必死さが伝わってくる…私に価値などないと言い放ったくせに、なぜそんなに私を連れ戻したいのか理解に苦しむ。
奴は、私の手を力強く握り引っ張ってくる…長年の支配圧から、私はそれを振り払えない。
こんな男のもとに戻るのは嫌だ…私は、姫さまと離れたく…そんな時、応接室の扉が開いた。
シオン「少し、いいでしょうか?」
そこに居たのは、汗をかき少し息を切らした姫さまで…入院されているはずなのに、なぜ姫さまがここに…?
「こ、これはシオン皇女殿下…この度はご無事で何よりで…。」
シオン「そんな挨拶など、どうでもいいのです…単刀直入に、あなたに確認したいことがあります。」
姫さまは、手に持った資料をテーブルの上に叩きつける…それを見た奴の顔は、血の気が引き真っ青になる。
シオン「あなたが自己の利権のために魔族と協力し、レムグラスト家襲撃事件に加担した貴族の1人…で間違いないですね?
さらには…レジーの母の存在を疎く感じていたあなたの正妻夫人が、傭兵を雇い盗賊に見せかけ、レジーの母の命を奪ったこともすでに調べがついています。」
レジー「っ!?」
姫さまの予想外の言葉に、私は驚きを隠せなくて…母が亡くなった原因もそうだが、あのレムグラスト家を襲撃した首謀者の1人って…。
「あ…ぁ…。」
シオン「レムグラスト家襲撃事件に関与した貴族たちの存在は『巧妙に隠されていた』ので…私からレジーを奪おうとしなければ、バレずに済みましたのにね。」
姫さまは…ミレナリオ兄さまやその彼女、そしてアルくんが協力してくれなかったら、そのことに気づけなかったとつぶやき。
シオン「あなたみたいな人に、レジーは渡しません! この男を連れて行きなさい!」
レジー「あっ…//」
私の手を取り、奴の腕から解放してくれ…姫さまはぎゅっと私の手を握ってくれ、そのまま姫さまの胸に抱き寄せられる。
私が頬を赤らめときめいていると、奴はそのまま連行されていった。
レジー「あ、あの…どうして姫さまがここに…? それになぜ、あの男のことを…?」
シオン「毎日私のお見舞いにきていたのですよ…そんなあなたの様子がおかしいことに、私が気付けないと思いですか? だからその原因を調べたのです。
あのランホア襲撃事件の騒ぎから、レジーが私のメイド兼近衛騎士をしているのを知って…レムグラスト家襲撃事件のこともあり、慌ててそれがバレないために私から引き離そうとしたのでしょう。
そうでなければレジーに興味がなかったのに、いきなり無理やり連れて行こうとはしません…色々と浅はかな男です。」
どうやらなぜ急に私を連れて行こうとしたのか、その理由を徹底的に調べあげたようだ…奴の中では私が突然いなくなっても、王族の姫さまは気にもとめないと思っていたのだろう。
シオン「レジー、なぜ私にすぐ相談しなかったのですか?」
レジー「それは…姫さまは治療で大変なのに、ご迷惑をかけるわけには…。」
シオン「はっきり言いますが、そのせいで今回余計にかかったのでは?」
レジー「うぐ」
ジト目で見つめてくる姫さま…まったくその通りで、私は言い返せなく。
シオン「……レジーがすっごく無茶をすることも、そして1人で抱え込むのも、今回の一件でわかりました。
だから私が誰よりも強くなって、レジーを守ります…もう二度とその綺麗な身体に傷ひとつ、つけさせないためにも。
それと…1人で抱え込まず、まずは1番に私を頼りなさい。私はあなたのためならなんだってします…大切なあなたの幸せを1番に願っているのですから。」
レジー「……あ…姫…さま…。」
姫さまは繋いでいる手とは反対の手で、私の背中を優しく撫でる…自身のせいで、火傷痕を増やしてしまったと思っているのだろう。
姫さまの気持ちはすごく嬉しい…だけど、私だって姫さまのことを…。
レジー「ありがとうございます、姫さま。ですが…私だって守られてばかりは、あんな無力な思いはもう嫌です! 私だって姫さまのことを守れるだけ強くなりたいです!」
シオン「レジー…あなたの想いは伝わりました、なら共に強くなりましょう。そしてお互いを守り合って、お互いを支え合って…共に歩んでいきましょう。
だから…これからもずっと、私のそばにいてくださいね。」
レジー「はい、もちろんです! だって私が幸せを感じられる場所は、私の居場所は姫さまのおそばなのですから!」
姫さまの手の温もりは、姫さまの隣りは私をすっごく安心させて…生きる意味と居場所を見つけれた私は、とびっきりの笑顔で答えた。
バカ父が巧妙に隠しておける頭がないことで、ひとつだけ発覚したことがあった…
それはこの私の一件で、王国騎士団…または教会騎士団…またはその両方に、魔族とよからぬ企みをしている者が、王国内に存在している事実だった……。
………。
……。
エリシア(吸血鬼ランホア…まさかオフェリアさん以外にも、真祖がいるとはな…。)
コトリ(リュネの家の悲しい話…何か引っかかるような…本当に利権だけなのかな…?)
三姉妹(レムグラスト家の襲撃事件に関与した貴族たち…その背後にいたのは、おそらく…。)
また私たちは、本来では知り得ない情報を手にすることができ…まだ時間があるので、そのまま私たちは学園地下の回廊の探索を続ける…。
フィリア騎士学園への襲撃などは、学園の歴史上幾度と起こってはいるそうだが…王族を襲うのは、そして真祖が現れたというのは衝撃を与え、王国内ではその話題で持ち切りだった。
火傷痕が背中にも増えてしまったが、それ以外に問題はなく、私はすぐに日常に戻れた。
しかし、問題は姫さまで…ルルムによるスライム調教は、日常生活にも影響を与えるほどで、姫さまはその治療を受けるために、少しの間入院することになった。
その間私は、姫さまの言いつけ通り…1人で学園の授業に出て、それが終わり次第彼女のお見舞いとお世話をする日々を過ごした。
そんな時だ、あの手紙がきたのは。
お前を護衛として使ってやるから、今すぐに俺のところに戻ってこい。
という内容で…その差出人は、私の父である貴族騎士だった。
なんで今更…私は理解ができなく、しかし手紙にどう対応していいのかわからなく…
こんなこと、治療で大変な姫さまには言えず…誰にも相談もできず、そして私は戻りたくもなくて…だから私が無視すると、奴は学園までやってきた。
「戻ってこないのであれば、燃えてしまった離れ屋敷の支払いをしてもらおう。
その支払いができないのであれば、俺の言うことに従え…今すぐに王都を出発するから、ついて来い。」
来て早々、奴はそう言ってきた。
いきなりそんな無理やりな脅しをしてくる辺り、必死さが伝わってくる…私に価値などないと言い放ったくせに、なぜそんなに私を連れ戻したいのか理解に苦しむ。
奴は、私の手を力強く握り引っ張ってくる…長年の支配圧から、私はそれを振り払えない。
こんな男のもとに戻るのは嫌だ…私は、姫さまと離れたく…そんな時、応接室の扉が開いた。
シオン「少し、いいでしょうか?」
そこに居たのは、汗をかき少し息を切らした姫さまで…入院されているはずなのに、なぜ姫さまがここに…?
「こ、これはシオン皇女殿下…この度はご無事で何よりで…。」
シオン「そんな挨拶など、どうでもいいのです…単刀直入に、あなたに確認したいことがあります。」
姫さまは、手に持った資料をテーブルの上に叩きつける…それを見た奴の顔は、血の気が引き真っ青になる。
シオン「あなたが自己の利権のために魔族と協力し、レムグラスト家襲撃事件に加担した貴族の1人…で間違いないですね?
さらには…レジーの母の存在を疎く感じていたあなたの正妻夫人が、傭兵を雇い盗賊に見せかけ、レジーの母の命を奪ったこともすでに調べがついています。」
レジー「っ!?」
姫さまの予想外の言葉に、私は驚きを隠せなくて…母が亡くなった原因もそうだが、あのレムグラスト家を襲撃した首謀者の1人って…。
「あ…ぁ…。」
シオン「レムグラスト家襲撃事件に関与した貴族たちの存在は『巧妙に隠されていた』ので…私からレジーを奪おうとしなければ、バレずに済みましたのにね。」
姫さまは…ミレナリオ兄さまやその彼女、そしてアルくんが協力してくれなかったら、そのことに気づけなかったとつぶやき。
シオン「あなたみたいな人に、レジーは渡しません! この男を連れて行きなさい!」
レジー「あっ…//」
私の手を取り、奴の腕から解放してくれ…姫さまはぎゅっと私の手を握ってくれ、そのまま姫さまの胸に抱き寄せられる。
私が頬を赤らめときめいていると、奴はそのまま連行されていった。
レジー「あ、あの…どうして姫さまがここに…? それになぜ、あの男のことを…?」
シオン「毎日私のお見舞いにきていたのですよ…そんなあなたの様子がおかしいことに、私が気付けないと思いですか? だからその原因を調べたのです。
あのランホア襲撃事件の騒ぎから、レジーが私のメイド兼近衛騎士をしているのを知って…レムグラスト家襲撃事件のこともあり、慌ててそれがバレないために私から引き離そうとしたのでしょう。
そうでなければレジーに興味がなかったのに、いきなり無理やり連れて行こうとはしません…色々と浅はかな男です。」
どうやらなぜ急に私を連れて行こうとしたのか、その理由を徹底的に調べあげたようだ…奴の中では私が突然いなくなっても、王族の姫さまは気にもとめないと思っていたのだろう。
シオン「レジー、なぜ私にすぐ相談しなかったのですか?」
レジー「それは…姫さまは治療で大変なのに、ご迷惑をかけるわけには…。」
シオン「はっきり言いますが、そのせいで今回余計にかかったのでは?」
レジー「うぐ」
ジト目で見つめてくる姫さま…まったくその通りで、私は言い返せなく。
シオン「……レジーがすっごく無茶をすることも、そして1人で抱え込むのも、今回の一件でわかりました。
だから私が誰よりも強くなって、レジーを守ります…もう二度とその綺麗な身体に傷ひとつ、つけさせないためにも。
それと…1人で抱え込まず、まずは1番に私を頼りなさい。私はあなたのためならなんだってします…大切なあなたの幸せを1番に願っているのですから。」
レジー「……あ…姫…さま…。」
姫さまは繋いでいる手とは反対の手で、私の背中を優しく撫でる…自身のせいで、火傷痕を増やしてしまったと思っているのだろう。
姫さまの気持ちはすごく嬉しい…だけど、私だって姫さまのことを…。
レジー「ありがとうございます、姫さま。ですが…私だって守られてばかりは、あんな無力な思いはもう嫌です! 私だって姫さまのことを守れるだけ強くなりたいです!」
シオン「レジー…あなたの想いは伝わりました、なら共に強くなりましょう。そしてお互いを守り合って、お互いを支え合って…共に歩んでいきましょう。
だから…これからもずっと、私のそばにいてくださいね。」
レジー「はい、もちろんです! だって私が幸せを感じられる場所は、私の居場所は姫さまのおそばなのですから!」
姫さまの手の温もりは、姫さまの隣りは私をすっごく安心させて…生きる意味と居場所を見つけれた私は、とびっきりの笑顔で答えた。
バカ父が巧妙に隠しておける頭がないことで、ひとつだけ発覚したことがあった…
それはこの私の一件で、王国騎士団…または教会騎士団…またはその両方に、魔族とよからぬ企みをしている者が、王国内に存在している事実だった……。
………。
……。
エリシア(吸血鬼ランホア…まさかオフェリアさん以外にも、真祖がいるとはな…。)
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