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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編

第263話 回想 モニカとセイバー

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私たちは学園地下の夢幻回廊を進む。

第一層回廊には魔獣も現れるが…三姉妹さんも含めてこのメンバーなら問題なくて、余裕で殲滅しながら進んでいけ…

そして倒した魔獣は、すぅっと元々いなかったみたいに消える…アイリス教官の説明だと、世界の記憶から敵として再現されてるそうだ。


順調に私たちが進んでいると、回廊の途中で蒼く光る石板を発見し…

コトリ「アイリス教官、もしかしてこれが?」

アイリス「うん、それが記憶を見ることができるアカシックレコードっていう石板だよ。

石板に触れると、記憶の再生が始まるよ。」

コトリ「ん…やってみる。」

私は右手を石板にかざすと…蒼い光が強まり、記憶映像が私たちの頭の中に再生され始めた……。

ーー。

ーーー。

ーーーー。

モニカ「マサキさん、マサキさん!店内の掃除、終わりましたよ♪今夜はお客さん多くて苦労しましたけど、もうピッカピカのキッラキラです♪…あれ、何を書いてるんです?」

頼まれた店内の掃除が終わり私は自信を持って報告する。

このお店でマサキさんの誘いでお店を手伝い始めて暫くたつし、漸く慣れてきた。お仕事の要領もわかってきたし、モチベーションも上がるところ♪


マサキ「これは『勤務要領』だよ。このお店でモニカは働き始めて、日にちが浅いだろう?…これが有ればモニカも働き易くなるし、俺が居なくなってもある程度は勤務が出来るようになるはずだ」

モニカ「へぇー♪さすがマサキさん!私のためにどうもありがとうです♪でも、あんまり無理しちゃダメですよ!只でさえ普段からお酒呑んでますからっ。早く寝て下さいね♪」

そう言い笑顔を浮かべながら、マサキさんを見つめる。お客さんや、親しくない人が居る時は、テンションを上げることが多い彼女だが(私が働き始めた時もそうだったし)

ある程度付き合いがある人には素の…落ちついた、それでいて穏やかな態度を見せることが最近わかってきた。

現実的でお仕事に厳しい『店長』は銀色の髪を耳にかけ、そのルビー色の瞳を向け、口元に小さな笑みを浮かべる。


マサキ「ふぅ…わかったよ♪俺も今日はそこそこ疲れたからな。少し経ったら閉める。…モニカも疲れたろう?今日もありがとう。

さ、遅くならないうちに帰るといい。そろそろ門限だろう?」

モニカ「あー!ほ、ホントですっ。すみません!ダッシュで帰りますっ!お疲れ様でした♪」

バタバタと纏めていた荷物を抱え『sleeping cat』の扉を開ける。その背に『急ぎすぎて転ぶんじゃないぞ♪』と声を受けながら……

………。

モニカ「ふぇ……マサキさんの、ばかぁ……いつも子ども扱いしてぇ…♪……いい、です…セイバーちゃんに…いいことを……えへへ♪……むにゃ……」

閉店後の店内。深夜を時計の針が指すなか、カウンターに突っ伏してニヤニヤと笑いながらも、タキシード姿のままスヤスヤと寝息を立てている『店長代理』の姿が。

ーーーー

セイバー「…ふぅ…これでよし、今日も一日問題なく終わったわね。」

お店の外側の扉に準備中の札を掛け、私はぐぃっと背伸びをしてみせる。
モニカさんのお手伝いを始めて一週間くらい経ち 私もその仕事に少しは慣れてきていて。


セイバー「モニカさん こちらの戸締りも済みましたよ…モニカさん? って…あら。」

店内に戻ってきた私はモニカさんの名前を呼ぶが、それに返事はなく モニカさんの寝てる姿が目にとまり。
モニカさんと同じく私もタキシード姿で彼女に近づき。


セイバー「っ…// モ、モニカさんはいったい私に何をしてる夢を見てるのでしょうか……モニカさんになら…私は何をされても…
…んっ こほん…モニカさん 起きてください 風邪をひきますよ?」

モニカさんの寝言を聞き 私は軽くえっちな想像をし、赤くなりながらも まんざらでもない様子をみせて…

エリシア教官と学園長の一件後、モニカさんと過ごすうち、明るく頑張り屋なモニカさんに密かに惹かれていて。

私は一息置いた後 モニカさんの身体を揺すって起こして。

ーーーー

モニカ「んにゃ……んー?……マサキさん……じゃない、セイバーちゃん……んんん、眠い…ふあぁ…」

ポヤーッとした表情を浮かべ、目元をゴシゴシと擦りながら背伸びをしつつおっきなアクビをする。


モニカ「ん……!セイバーちゃん、セイバーちゃん!……ゴメンね、いつの間にか寝ちゃってました!あわわ…はやく私もっ、ぁいた!ううぅ……オデコがぁ」

セイバーだけにお店のことを任せてしまってたことに気づいて慌てて立ち上がりカウンターに赴こうとするも、少し出っ張ってた戸棚の扉にオデコをぶつけて、涙目になりながらしゃがみ込む。

ーーーー

セイバー「モニカさん そんな慌ててたら…あっ…まったく だから言いましたのに…。
ほら こっち向いてください…ん…怪我はしてないようですね…片付けは私がやるので、はい これで冷やしてください。」

モニカに声をかけるが遅く おでこをぶつけたのを見て、私は まったく という表情をしながらも心配し、モニカが怪我をしてないか確認し、椅子に座らせてあげ、濡らしたタオルを彼女に手渡して。


セイバー「ん これでよし…モニカさん これで今日の作業終了しましたよ。
おでこの方 大丈夫ですか? もしまだ痛むようなら病院に…!」

全ての戸締りに片付けが済みモニカのもとに戻ってきて。
まだ痛むようなら病院に、と少し過保護のような様子もみせていて…それもモニカを大切に想ってるからで。

ーーーー

モニカ「あぅう…ありがとう、セイバーちゃん…♪」

涙を指で軽く拭い受け取った濡れタオルをぶつけた部分に押し宛てながら申し訳なさそうに謝りつつも、セイバーが心配してくれたことに感謝の言葉を伝える。


モニカ「んーん、大丈夫です!それより、ちょっとおしゃべりしましょう♪毎日が忙しいし、お店を引き継いだばっかりで、なかなかセイバーちゃんと二人っきりの時間って少なくなっちゃってたし…あ、もしセイバーちゃんが眠くなければですからね!

眠いなら、さあ帰りましょう♪」

最近のことを振り返りながら明るい調子で続けるも、自分の押し付けになってないか、気にしながらセイバーのリアクションを確認する。

ーーーー

セイバー「気にしないでください私とモニカさんは…と、友達…ですから…//」

モニカにありがとうと言われ、私は赤くなりながら友達だからと伝えて…今だに友達が少ないのもあり、友達という言葉は特別で。


セイバー「お喋りですか? …そうですね、一緒にいる時間は増えましたが、二人っきりというのは減りましたね。
眠くなんてありませんよ、むしろモニカさんと会話できるなら眠気も吹っ飛びます…あと 私に遠慮はしないでください、むしろ頼ってくださいね。
お茶にしながらお喋りしましょうか…♪」

モニカからのお誘いを嬉しそうにしながら受け、遠慮なんてしないでモニカの気持ちをいつでも言ってくださいねと伝え。

私は自作のお茶菓子を棚から取り出し、二人分の飲み物も用意して。

ーーーー

モニカ「ふふ…そーですね♪友達、友達♪」

友達という言葉を聞くと嬉しそうに彼女に笑いかけ、ご機嫌な様子を見せる。


モニカ「おー♪これはひょっとして、セイバーちゃんの手作りお菓子ですね!こうなったら夜で太るなんて言ってられません♪頂きますっ♪……ん~♪美味しい♪」

セイバーが棚から取り出したお菓子を見ると忽ち瞳をキラキラと輝かせ、すぐに頬張ると幸せそうな表情を浮かべながらもきゅもきゅと口を動かす。


モニカ「セイバーちゃんのお菓子は美味しいですっ♪ん~♪この甘過ぎず控えめな味つけにセイバーちゃんらしさを感じますし♪お菓子なら、マサキさんより全然美味しいですよ♪……あとと、私ばっかり食べちゃってた。ほら、セイバーちゃんの分ですよ♪あーん♪」

セイバーにお菓子を差し出してニコニコ笑いながら口を開けるよう促して、彼女に迫る。

ーーーー

セイバー「っ…ぅ…//」

モニカは 友達 と言いながら笑いかけてくれ、私は頬を赤らめながらも嬉しそうにしていて。


セイバー「ふふ 大丈夫ですよ、ちゃんと味はそのままで太らないようにとか 健康面も工夫していますので。」

最近はいろいろと動いたりしてるため食べても太らないとわかってるけど、モニカの健康と味を両立してお菓子を作っていて。

モニカが美味しそうに頬張るのをみて、私も嬉しそうな表情をしながらモニカを眺めて。


セイバー「昔からエリシア教官との繋がりで、マリスミゼル学園にいろいろとお菓子などの作り方を教えてもらってましたからね…
その時は二人が恋人同士だったなんて知りませんでしたが…。

そうですか、それはよかっーーえっ? っ…い、いえ私は…は…ぅ…あ、あーん…//」

エリシアには戦闘を マリスミゼルには料理などを教えてもらってたと言い、自分が意外と鈍感なのかもと思ったりもしていて。

モニカからお菓子を差し出され、私は自分は大丈夫と言う…
が モニカは にこにこ しながら差し出し続けるため、私はかぁっと赤くなり 瞳を潤ませながら あーん っと口を開けて。

ーーーー

モニカ「はいっ♪お口閉じてください♪……おいしいですか?セイバーちゃんのお菓子だけど私の…セイバーちゃんへの感謝と友情と憧れと…んーと、んーと、とにかくたくさんの気持ちを込めてます♪」

頬を赤らめるセイバーと対照的に人懐っこい、それでいて明るい満面の笑みをニャッ♪と浮かべて彼女に笑いかける。


モニカ「あ、それは思いましたよセイバーちゃん!…や、や、やっぱり…!あの、学園長せんせーやエリシアせんせーは…恋人。つまり、やっぱりキス…キスとかしてるんでしょうかっ///」

夜のテンションなのかためらいなく…それでいて頬を赤らめたまま、いきなり興味津々といった様子で教官たちの恋愛話を持ち出してセイバーに質問する

ーーーー

セイバー「え、ええ…はむ…もぐもぐ…//
モ、モニカ…うん 美味しいですわ…あなたの気持ちで すごく…//」

微笑みながら気持ちを込めてくれたとモニカは言ってくれ、頬を赤らめながらも 私は美味しいと口にし、モニカの気持ちが嬉しいと微笑みをみせて。


セイバー「ふぇ…キ、キスですか…?//
それは…恋人同士なのだからしますでしょう…他にも…その…してましたし…//
縄で縛ったりや…胸を触ったりとか…でも…一番印象に残ってるのは…キスして幸せそうにしてる二人の顔…です…わね…//」

学園長の夕食会でエリシアにえっちなことをしていたことを思い出し、私はかぁっと耳まで真っ赤になってしまい。

いろんなえっちなことをしていたことを思い出すけど…キスしてる時の嬉しそうで幸せそうな二人の顔が思い出され。

ーーーー

モニカ「ひゃー//…でも、セイバーちゃんって意外とエッチなんですね…//普段は凛としててカッコいいのに…その分ギャップです♪」

ニャッ♪と笑いながら普段の騎士としての彼女と、自分の前での彼女を比較しながら、興味津々と言った様子でまじまじと見つめる


モニカ「だけど、学園でも有名なあの2人…クールなエリシア教官にミステリアスな学園長はお似合いです♪理想的ですよねー……強くて、カッコよくて、それでいて、人を守れる力がある。皆、それに習って強くなってる…私には遠すぎますよぅ」

素直に憧れの感情を告げるも、2人に憧れ、自分と異なり仲間の学生たちが日々強くなり、劣等感を抱いているような言葉を呟く。

ーーーー

セイバー「っ…// わ、私だって好きな人とのキス…えっ…ち…とか興味…ありますよ…//
それは…その…モニカさんの前だから いいところ…みせようと…//」

モニカの言葉に赤くなりながら、私は 好きな人と言って ちらりとモニカを見つめて。

普段から確かに強くあろうと頑張っているが、モニカの前ではより張り切っているようで。


セイバー「そんなことありませんよ、最近はあなたも普通に成績がいいじゃないですか ちゃんと成長していますよ。
それに なによりモニカは心が優しくて強いですよ…私が陰口を言われてる時は怒ってくれますし、人付き合いが下手な私とコトリさんを気にかけてくれますし。

……それに比べて私は弱いです…実戦形式の授業ではコトリさんに負け、モニカさんのように芯から強くありません…私 1人じゃそんなに強くないんです…。
…だけどそんな私が頑張れてるのはモニカさんのおかげです…モニカさんが側にいて応援してくれてるから…私はそんなモニカさんのことが……あっ…と、とりあえずモニカさんは強い騎士です 私が保証します!

エリシア教官たちだって誰かがいてくれるから より強くなれるんですよ…!」

モニカが劣等感を抱いていることに気づき、私はそれは違いますよと、モニカのいいところと 私のだめなところなどを言葉にしていき。

そして思わず告白しそうになるが、私はかぁっと赤くなって 視線を逸らしながら モニカが強いことを伝えて。

ーーーー

モニカ「ふふ…♪もう…セイバーちゃんは、相変わらずがんばり屋さんですね。でも、そんなセイバーちゃんがお友達で私は誇らしいですよっ♪」

頬を赤らめるセイバーの想いには気づいていない様子で優しい眼差しで友達を見つめる


モニカ「えへへ…実際は座学でごまかしてるだけなんですよ?なんとか「実践戦闘技術」の最低限単位ラインはとりましたけど…でも、そんなに褒められると照れちゃいますね♪…セイバーちゃん」

自分のことを遠慮がち語るもセイバーの真剣な様子に嬉しくなったのか小さく笑い、セイバーの両手をとりニッ♪と笑いかけ


モニカ「私がセイバーちゃんを守ります!ってゆうのは無理です…何しろ戦闘はビリなので。えへへ♪…だから代わりにセイバーちゃんの隣にいて、貴女の心にいっぱいいっぱい♪優しさを注ぎます♪それで、セイバーちゃんの心をあったかくします♪だから…♪」

手を放しカウンターに向かう。そこから、マサキの字でボトルに『レガーメ』と書かれたものを持ってきて、2つのグラスに注ぎ、1つをセイバーに差し出し乾杯をしようと促す


モニカ「このお酒…『絆』って意味らしいです♪マサキさんに教えてもらいました♪…これからも、よろしくです♪セイバーちゃん♪」

ーーーー

セイバー「私こそ…モニカさんと友達で誇らしいですよ…♪」

モニカとお友達で嬉しいと本心から思い、ちゃんと強くなれたら告白しようとも密かに私は決意していて。


セイバー「ごまかしてるなんて とんでもないです…モニカさんの頑張りがあってこそですよ、自信をもってください…♪」

戦闘が苦手と言いながらも頑張っていたのを知っているため、私は優しく彼女の頭を撫でてあげて。


セイバー「? モニカさん?
っ…モ、モニカさん…// あなたは…本当に…すごい人です…よ…//
こちらこそ…これからもよろしくお願いします モニカさん…♪」

私の心をあったかくする…
そう笑顔で伝えてくれ、私は真っ赤になりながらも嬉しそうな表情を見せていて…モニカさんの言葉と笑顔だけで もう私の心は満たされていて…私だけの太陽 お日様で…。

私はお酒を注いでくれたグラスを手に持ち、エリシアたちにすら見せたことのない、モニカにしか見せない…穏やかな微笑みを見せた……。

ーーーー。

ーーー。

ーー。

エリシア「……今のは…セイバーとモニカの記憶か…? 半信半疑ではあったのだが、本当に誰かの記憶を見れる代物が存在するとは…。」

セイバー「あれはまだ、お店を引き継いだばかりの頃の記憶ですね…懐かしいです。

しかし、それにしても…ふふ…その後も努力を続けて、私やコトリさんを守れるだけの力を身に付けたモニカさんは、やっぱり強くて自慢の仲間です…♪」

モニカ「ふふ…確かに強くはなりましたが、あの時の『約束』は今でも変わらないですよ…私がセイバーちゃんの心をあったかくするというのは…♪」

セイバー「あっ…モニカ…さん…//」


コトリ「ひゅーひゅー♪」

三姉妹「ひゅーひゅーです。」

セイバー「っ…//」

アイリス「こらこら、セイバーをからかうのもほどほどにね。」

今回はお目当ての記憶ではなかったが、私の心もあったかくなる記憶だった……。
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