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第8節 フィリア騎士学園本校地下・世界の深奥編

第251話 記憶刻む学園地下

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アイリス「さて、今わかってる情報としてはこれくらいかな。」

コトリ「そうなの? でもそれじゃあ結局のところ、キールさんがなんで魔王になるのかがわからないね…勇者と魔王のお話しとか、伝承とか調べてみるの?」

アイリス「それはあんまり意味ないかもね、歴史や物語として伝わっているのが、正確な情報とはいえないからね…7年前の大戦の話も『誰かの都合が良い方に書き換え』られて正確ではなかったでしょ?

だからそれが掴める『学園地下』へと向かおうと思っているの。」

コトリ「フィリア騎士学園の地下? 地下があるなんてそんなの聞いたことがないけど。」

学園に地下があるなんて知らなくて、私は首を傾げながら聞いてみる。


アイリス「それは当然だよ、学園地下の存在はマリスミゼル学園長と限られた人しか知らないから…ちなみに学園地下の存在を最初に発見したのは、私が学生時代の時から教官をしているフレイだよ。」

コトリ「えっ…フレイ教官って、アイリス教官より前からフィリア騎士学園で、教官をしていたんだ…何歳なんだろあの人。」

アイリス「マリスミゼル学園長が学生時代の時より前からも教官をしていたし、この学園では1番の古株だね。

話を戻すけど、騎士学園の地下には異空間の回廊が広がっていて…その回廊には『アカシックレコードっていう石板』というのがあってね、過去に起きたことや未来の『記憶』まで見ることができるものがあるんだ。」

コトリ「何それ…過去ならまだわかるけど、未来まで見えるなんて、千里眼か何かの類いなのかな?」

アイリス「原理自体はわからないんだけどね、記憶映像として頭の中に再生されるんだ。

パラドックスなら何か知ってそうなんだけど…あとは…もしかしたらフレイも…フレイの方は勘だけどね。」

学園地下についてフレイ教官が何かを知っていると、アイリス教官は睨んでいるようで…本当にフレイ教官って何者…正直、モニカに泣かされてるイメージしかなかったんだけど。


アイリス「それと地下には石板の他にも、騎士の開祖であるフィリア=オックスフォードが所有していたとされる『武器や力』が保管されてるそうだよ…そう回廊の管理者という人物から聞かされた。

実際に大戦時のキメラ戦で、私とリュネが見せた額の十字架…『双翼の退魔剣』が回廊の最奥で授かったものだからね。」

コトリ「あれはそういう経緯で手に入れたんだ…ということは教官は回廊を攻略したことがあるの? それに管理者って…何者?」

アイリス「管理者について詳しくはわからないかな…一度しか会ったことがないからね、でもフィリア=オックスフォードから管理を任されていると言っていたから、その関係者であるとは思う。

私は学生時代にリュネ、キール、マサキ、そして教官だったフレイと探索し、攻略したよ…その時の回廊は攻略後に外へ出たら、回廊の中身が『変化』してしまって、また『変化』した一回層から攻略しないとだめみたいだね…

管理者が『次に来る…騎士の未来を背負うもの』のために回廊を組み立て直したと言っていたから、あの回廊は一種の試練の場も兼ねているのかも…『夢と幻が集う試しの場…想いの狭間がひとつ、夢幻回廊』って言ってたし。」

コトリ「フィリア=オックスフォード…騎士の開祖で、このフィリア騎士学園の創立者…。」

いろいろと重要そうな情報が出てきて、私がそれを頭の中で処理していると、教官から爆弾発言が飛び出す。


アイリス「……それと…私はフィリア=オックスフォードの血筋だそうだよ、回廊の管理者が言っていたから、本当だと思う。

本人は『ある理由で未婚』だから…本人じゃなくて、フィリアの『姉』の血が流れてるそうだけど。」

コトリ「えっ…!? ア、アイリス教官のお母さんたちからは、そんな話はされて…?」

アイリス「されたことない…というか実をいうとね、お父さんとお母さんの記憶が曖昧なんだ…顔や姿がぼやけて思い出せないし、本人たちは行方不明なんだ…。

だから私はメイヴって人に『途中』から育てられたんだ…メイヴって人は詳しいことを知ってるんだと思うんだけど、『時が来たら教える』とそればっかりなんだよね。」

コトリ「……。」

教官が抱えていたひとつの事情を聞かされ、突然だったこともあり私は言葉を失う…そうしていると、アイリス教官は微笑みながら私の頭を撫でてきて。


アイリス「大丈夫だよ、リュネたちやメイヴって人が居たし…それに今はコトリもいるからさ。それでね…メイヴから話を聞くその時は、一緒に聞いてくれるかな? コトリが隣に居てくれると安心できるんだけどなぁ。」

コトリ「…はっ…! っ…う、うん! もちろんだよ! アイリス教官のことは…大好きな人のことは知りたいし、力になりたいから…!」

アイリス「ふふ…その時はよろしくね…♪」

力強く頷き約束すると、アイリス教官は穏やかに微笑んで…頼りにされているのが伝わってきて、私も同じく微笑んで。
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