上 下
222 / 349
第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第221話 ランとリーメイ①

しおりを挟む
広間には剣と剣で斬り結ぶ音が響き渡り…黒に染まりかけた光と、戦場と秘めたる想いで磨きし剣がぶつかり合い…衝撃で2人の足元の地面が耐えきれずに轟音を立て破壊され、歪む。

傭兵として戦場に出る経験が多かった私の方が、今まで『彼女』のサポートに徹してきたランより現時点では実力が上だった…しかし…


ラン「……どこの誰だか知らないけど、あなたが強いことだけはわかった…だけど『聖剣』を抜いた私の方が強い…全力で殲滅する…。」

リーメイ「っ…!」

ランが抜剣した聖剣が光ったと思ったら、目の前にいたはずのランが忽然と消えて…

そして消えたのと同時に私の後ろに現れ、背後を取ったランの剣が襲いかかり…その切先が私の頬を掠めて、血が伝う。


リーメイ(聖剣…教会騎士団の中でも選ばれた者にしか使えない創造神から授かりし力…実際敵となって使われると厄介極まりないわね。)

これがランの持つ聖剣の…『空間を入れ替える』聖剣の力…

ランが視認できる範囲の空間を任意で入れ替える能力…インターバルがあり連続使用ができないことや、視認という制限などがあるが…それはまさに瞬間移動と言っていいほどの力…

『彼女』から、彼女が持つ聖剣のことを聞いていたのと…ランがまだ聖剣の性能を完全に発揮できていないから、何とか対応できてるけど…油断したら一瞬で殲滅されてしまう。


己の魔力を弾丸として撃ち出す『魔導銃』に魔力を込め、私はその魔力弾を連続してランへと放って…それはランに躱されるが後退させることはでき、ランの剣が届かない距離を稼ぐ。

ラン「……ぎりぎりとはいえ、私の聖剣に対応するなんて…あの人…お母さんと知り合いというのは本当みたいね…でも…

お母さんがあなたとした約束…そして、あなたが私の姉…それだけは意味がわからない。」

リーメイ「なっ…くっ…!」

しかしランの聖剣の力で…ランに向かっていたはずの弾丸は、逆に私の方へと向かうように空間を入れ替えられて…

私は手に持つ剣でなんとかそれを弾いている隙に、ランは距離を詰め剣で斬りかかってくる…その剣を剣で受け止め鍔迫り合いをしながら、ランの質問に答えていく。


リーメイ「それは、あなたが赤ん坊の時に生き別れたからよ…戦いに巻き込まれてね。

離れ離れになってしまった私はあなたをずっと探していて、そこで彼女…あなたの育てのお母さんと出会ったの。」

ラン「……わからない…わからないわからない! そんな話信じられない! あなたが本当に私の姉なら! なんで今まで私の前に現れなかったの!? 私はいらない子だったから『川』に捨てられてたの! 私の家族はあの人…お母さんだけ!

……オーレリアを殺るのを邪魔をするあなた…私を惑わすあなたは…今すぐに消す!」

鍔迫り合いしていたお互いの剣が弾かれ合って距離ができ、ランは拾った小さな岩を私に投げつけてくる…その岩を聖剣の力で大きな岩と入れ替えて、質量で押し潰そうとしてくる。


リーメイ「……ええ、全くもってその通りだわ…あなたが川に流されてしまったのも、私が今まであなたに会わなかったのも…それが私の弱さであり…姉失格の『罪』なのよ…

そして、その私の選択や過ちが…それがあなたを1人にしてしまって、あなたを苦しませてしまった…あなたが今そうなってしまったのは私のせい、だから他の誰でもない私があなたを止めて…今度こそ守ってみせる…!」

ラン「なっ…!? くっ…!」

自身の全開魔力を込めた剣で大岩を切り裂く…そして、大岩を目隠しにして突っ込んで奇襲を仕掛けよとしていたランに対して、私は魔導銃で威力より速度を重視した弾丸を放ち…

その弾丸をかろうじて避け体勢を崩したランの隙を見逃さず、私はランの背中に発現した聖剣に触れて『想い』を流し込む…。


リーメイ「……本当はこんな形で伝えるつもりはなかった…あなたと向き合う覚悟ができてからと思っていたの…

でも結局それは言い訳…私はあなたから、そして自分の心の弱さから逃げていた…その先延ばしがあなたを追い込んだ…だから今伝える…

こんな伝え方になってしまって…最後までずるい姉で…ごめんね…。」

ラン「……!? この…ビジョンは…!?」

聖剣の力を介して『お互いの想いが共鳴』し合う…お互いの『強く秘めた想いや記憶が共有』されていく……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

(R18)ふたなりお嬢様の性活

HIIRAGI
恋愛
生まれつきふたなりの体で生活するお嬢様・白石結衣(しらいしゆい)はある日、買い物の帰り道で親に捨てられた松成汐里という少女を拾い自らの使用人として住み込みで雇い入れる。 順調に新たな生活が始まったように見えた2人だったが………。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

社長の奴隷

星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)

【完結】【R18百合】女子寮ルームメイトに夜な夜なおっぱいを吸われています。

千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。 風月学園女子寮。 私――舞鶴ミサが夜中に目を覚ますと、ルームメイトの藤咲ひなたが私の胸を…! R-18ですが、いわゆる本番行為はなく、ひたすらおっぱいばかり攻めるガールズラブ小説です。 おすすめする人 ・百合/GL/ガールズラブが好きな人 ・ひたすらおっぱいを攻める描写が好きな人 ・起きないように寝込みを襲うドキドキが好きな人 ※タイトル画像はAI生成ですが、キャラクターデザインのイメージは合っています。 ※私の小説に関しては誤字等あったら指摘してもらえると嬉しいです。(他の方の場合はわからないですが)

処理中です...