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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第220話 集束砲撃魔法

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ユラミルティ「風の刃よ、我が敵を切り裂いてください。」

ユラミルティから刃上の風魔法が無数に放たれ、ブラッシュへと襲いかかる。


ブラッシュ「そんな直線的な攻撃は当たんねぇ…よっ!」

ブラッシュは左右にステップしながら魔法を回避すると、外れ避けた先にあった岩は刃に切り裂かれて。

避けるのと同時にブラッシュは手に手裏剣を持ち、それをユラミルティへと投擲する。


ユラミルティ「ウィンドブレッド。」

ブラッシュ「攻撃はまだ終わってねぇぞ。」

迫る無数の刃をユラミルティは、複数の風の球体を弾丸のように飛ばして撃ち抜き、砕く。

と同時にブラッシュはユラミルティとの距離を詰め、一息間を空けることなく手に持つクナイでユラミルティを斬りつける。


ユラミルティ「わかっておりますよ。」

ブラッシュ「…!?」

掌に高密度の風を作り出したユラミルティはそれでクナイを受け止めると、風の力によりクナイの刃は砕かれブラッシュは驚く。


ブラッシュ「そんな芸当ができんのか…それじゃあこいつはどうだ?」

ユラミルティ「札…?」

ブラッシュ「吹き飛びな。」

ユラミルティ「っ…!?」

ブラッシュは後ろに引くのと同時に札をユラミルティへと投擲する…するとブラッシュが魔力を込めた札は光り、直後爆発した。


ユラミルティ「ふぅ…まさか爆発するとは…先程から妙な武器ばかりを使いますがあなた、ただの奴隷商ではありませんね。」

ブラッシュが爆発させたところを見つめていると、煙の中から無傷のユラミルティの姿が現れて…風の盾…ウィンドシールドでブラッシュの攻撃から身を守っていた。


ブラッシュ「それはてめぇこそだろう…最初見た時から妙な違和感がありやがったし、さっきの繊密な魔力操作…シスターの格好してやがるが、てめぇ魔族だな。」

ユラミルティ「ええ、そうですよ。」

ブラッシュ「ちっ…。」

ユラミルティ(やはり単純な攻撃では崩せないですね…どうにか動きを封じなければ。)

ブラッシュと喋りながらも攻撃の手は緩めないユラミルティ…しかしブラッシュもその魔法を全て避けてみせ、お互いに拮抗していた。


ブラッシュ「あの風の盾がある限りこっちは決め手に欠ける…仕方ねぇ…アレを使うか。」

ユラミルティ「…! 目眩し…煙に乗じて攻撃しようとしてるのですね…ですが無駄です。

……そこです…!」

ブラッシュは床に煙玉を叩きつけて、煙によりユラミルティは視界が遮られる…即座に彼女は風魔法でその煙を掻き消す。

煙が晴れてブラッシュの姿を探すと、ブラッシュは立ち止まり目を閉じて手を合わせいた…ユラミルティは先程までの小型の風の刃ではなく、大きな風の刃をブラッシュへと放ち…その刃は彼女の敵を切り裂いた……


ユラミルティ「…!?」

……かのようにみえたが、ブラッシュは黒のオーラを纏わせた右手でその風の刃を受け止めてみせ、そのままバチンっと音を立てながら横へ風の刃を弾き飛ばして。

よく見るとブラッシュの額には赤黒く光る眼のマークが現れていて、そこを軸にして顔や全身に赤黒い紋様が浮き出ていた。


ブラッシュ「『仙法』分け身……こっからは『仙烈モード』でいかせてもらうぜ。」

ユラミルティ「くっ…ウィンドブレッド…!」

ブラッシュの全身から黒いオーラが右側に放出されたと思ったら、その黒いオーラは人の形を為してもう1人のブラッシュが現れた。

2人に増えたブラッシュがユラミルティへと襲いかかる…彼女も風の弾丸で迎え撃つが、2人のブラッシュはそれを避けて彼女の懐に入り込んだ。


ユラミルティ「っ…ウィンドシールド!」

2人のブラッシュ「『仙術』月閃掌……『仙術』月閃脚。」

ユラミルティ「なっーーっああ!」

前方に位置どりしたブラッシュが黒いオーラを右手に纏わせ、掌底打ちを繰り出し…爆弾すら防いでみせたウィンドシールドを砕いた。

そして後方にいたブラッシュは右足に黒いオーラを纏わせ、ユラミルティのお腹に蹴りを繰り出し…その衝撃で彼女は後ろに吹き飛び。


ユラミルティ「あぅ…っ…!」

お腹に高密度の風を纏わせ威力を軽減させて、体勢を持ち直し倒れるのを防いだユラミルティ…そんな彼女を2人のブラッシュは追撃し、彼女はダメージを受けながらも彼らの攻撃をなんとか避ける。


リャン「……『体術からなる仙術』…『広範囲殲滅の仙法』…昔仙人なる者から教わり、魔を滅するくのいちの里に伝わっている奥義…魔法とは違った、文字通り人が開発した技。

前から疑問に思っていましたが、どうしてブラッシュが使えるのでしょうか?」

ガブリエラ「さあ? それについては私も知らないわ…でも曲がりなりにも仙人の力を使えるブラッシュは、魔王軍六武聖に迫るくらいの力があるのは間違いないわね。」

仙人の技は魔の者に対して絶大な威力を発揮し、強力な魔法すら打ち砕くことができるという…あれは魔族にとって相性が最悪だ。

もはや防戦一方となっている戦いを見ながら、ガブリエラたちは話をしていると…1人のブラッシュが鎖を武器としてユラミルティを拘束し、残るブラッシュはとどめの一撃を繰り出そうとしていた…。


ユラミルティ「ぐっ…!」

ブラッシュ「こいつで終いだ…安心しろ、すぐ後にあの王子もお前の元に送ってやる。」

右拳に力を集約し、ブラッシュはユラミルティへと突撃する…今度はユラミルティが持つ風の盾をも貫通する力で、鎖によって身動きが取れないユラミルティは躱すことはできなく…。


ユラミルティ「……いいえ、あの方はやらせません…滅びるのはあなたです。」

ブラッシュ「な…に…!?」

シスター服と鎖が突然弾け飛びブラッシュは驚きの表情を浮かべる…その先には両翼を大きく広げたユラミルティがいて、風魔法で強化された翼を広げた威力で拘束から逃れて。


ユラミルティ「時をも止めようとする鎖よ、我が敵を束縛せよっーーグラビティバインド!」

ブラッシュ「ぐぉ…!? これは闇色の鎖…重力魔法…か…! てめぇ風属性だけじゃなくて、闇属性まで使えたのか…!」

ユラミルティ「……我が身に宿し鳥の欠片、其の翼は我が唯一の命の輝きなり…

天翔ける風よ、震え、我が手の中に集束し、螺旋の一撃となりて、敵を滅ぼせっーーーウィンドブレイカー!!」

闇魔法で作り出した鎖で本体のブラッシュを拘束し、重力の力により完全に彼の動きを封じてみせて…

そのままユラミルティは翼を羽ばたかせ空へと飛び上がり詠唱を始め、手の中に集約させた風魔法をブラッシュへと放ち…大気をも震わせる風の砲撃が彼を飲み込んだ……。
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