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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ
第153話 謝罪と助言
しおりを挟むオーレリア「そうか…よろしくだ ネミーコ。
む…? ……ふ…む…?」
彼女の言葉に私は小さく微笑み、彼女と握手を交わした。そして…
ネミーコ殿と食い違う話に私は首を傾げて…
バルボアから聞かされた話と違うが…情報が規制されてるのか…それとも…。
オーレリア「殿下から? なるほど そういうことか…なら了解した。」
自分の近衛騎士ではなくネミーコを…と思ったがランから理由を聞かされ、私は納得し。
しかし…例の件については、殿下としても近衛騎士は頼りにできないということか…?
オーレリア「ああ わかった 待ってるぞ。
む…どうしたのだネミーコ? なるほど…しかし それは私も一緒というところだな。
とりあえずだ 彼女がいい人だとは伝わってるよ…ああ 彼女と真実を掴んでみせよう。」
天幕を出るラン殿に 私は小さく微笑んで。
ネミーコの言葉に私は軽く苦笑いしてみせ…なぜなら私の性格の『硬さ』もマサキ隊長やキール隊長に部下もお墨付きなくらいだからな。
私に忠告や気を遣ってくれたことから、彼女がいい人なのはわかる…そんな彼女となら真実を掴み取れるはずだ。
オーレリア「……さて…私も馬を取りに行くか。っと…バルボアにブレイク どうした そんなところで。
私はラン殿と薬草採取任務に向かうことになった。二人とは一旦別行動だな。
ところでだ…先程の動揺はなんだ?」
ーーーー
「ああ、いえ……」
「……」
二人は辺りを警戒するように周りを見渡す。
その表情は戦場にいるそれと近いもので。
「……オーレリアさん気づいていますか?」
「この野営キャンプ何かおかしい。……それが何かは、まだ。……はっきり言えませんが」
腕を組みながら不用意な発言はしないように勤めつつ、彼女に警戒を促す。
「とにかくオーレリアさんが戻られるまでに、私たちも調べてみます。そちらもお気をつけて」
意味深な言葉と調査を約束して、空気を読んだのかオーレリアに先を急ぐよう伝えると二人は反対方向に歩きだす。
アルモンド「お~い……」
それから少しして簡易居住区画が立ち並ぶ隙間から、彼女を呼ぶ声と、こちらへ招く片手が密かに響く。
そこから少しだけ覗かせた顔は……
先ほど指針会議を取り仕切っていた人物。
アルモンド=アル=フレイル=アーデイ。
その顔は明らかに『早くこちらへ来い』と焦り顔を浮かべるもの。
ーーーー
オーレリア「? ……ああ そういうことか…まあ少しはな…。
んっ 了解だ。私も気をつけるが、そたなら二人も十分に気をつけるがいい。」
バルボアたちの話を聞いて、私も少し違和感があるような気がすると答え。
熱波のこと…近衛騎士…ラン殿から聞いた殿下の話…ネミーコとの話の食い違い…
何かが引っかかってはいるのだが…それが何なのかは私もわかっていない…当たりをつけるためのピースが足りていない気がする…。
オーレリア「む…? っ…あなたは…。っと…殿下 どうなされたのですか?」
どこかから声が聞こえた気がし、私はきょろきょろと辺りを見回す…
すると殿下が発見でき…私は少し慌てながらも駆け寄ってから、殿下に声をかけて。
ーーーー
細い路地裏といった背景に王族がいると似つかわしくない光景だが少年はやや息を切らしながらも落ち着いた様子を見せる。
しかし彼の回りには本来、必ず付き従う護衛1人すらいない。
アルモンド「もう出発するんだろう?
謝罪と助言を贈らねばと思って。
近衛が探してるから手短にな」
襟元をただしながら、彼女を見つめる。
アルモンド「謝罪とは、即ち。
私の不徳だ。
兄上のように首都で民を束ねることもできず、姉上のように一軍を率いることもできない。
私に出来ることなど、この活動程度のもの。
自己満足にすぎない矮小な私の我が儘のために、手間をかけさせる」
躊躇いがちに王族である彼が本来許されるはずもない謝罪を伝える。
アルモンド「助言は……気づいているとは思うが、その上で伝えよう。
絶対に油断するな。
目の前の事実が『真実』であるとは限らない。
…………この野営キャラバンは、あと3行程もあれば首都に到着する。
時期にして2週間と行ったところか。
原因を突き止めたら…出来るだけ速く戻ってくれ。
嫌な予感がする。
……さあ、行ってくれ。
私も戻らなければいけない」
ーーーー
オーレリア「(近衛騎士の気配はないな…殿下お一人で私と話したいということか。)
ええ 出発するところです。えっ…助言はともかく…謝罪…ですか?」
辺りの気配を探るが私たち二人以外の気配はなく、私は殿下の話を聞いていく…。
オーレリア「いえ殿下 それは違うと思います。殿下の活動のおかげで民たちは感謝しているでしょう。
……私も未だ尊敬するキール隊長たちの背中には追いついていない身…私たちがそれぞれ目指す背中は大きすぎます…
ですが今の自分にできることをし、少しずつでもひたむきに前に進んで…いつか彼女らに追いつきましょう。」
殿下の謝罪に…私は左手を自身の胸に手を当て、殿下の目を真っ直ぐに見つめながら自分の言葉を紡いでいく。
オーレリア「……殿下は何か気づいているのですね…ありがたく 胸に刻んでおきます。
嫌な予感…ですか? はい わかりました…原因を突き止め次第すぐに戻ってまいります。
殿下もお気をつけて。」
ーーーー
アルモンド「行ったか……」
合流し駆けていく2人の女騎士の背中を眩しく見つめる。
あんな騎士たちが居るとはな……
その瞳は真っ直ぐで、言の葉は力有り。
心な優しさと強さを持つ誠の騎士の鏡。
…ギランバルト派の騎士とは随分違うのだな。
もう少し早く会いたかった。
もう少し早く知りたかった。
王宮からもう少し早く出るべきだった。
そうすれば。
そうすれば……『手遅れには』為らなかったかもしれないのに。
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