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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第135話 アルモンド=アル=フレイル=アーデイ

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「キール隊長、用件につき失礼っ!」

キール「バルボア~?…なんでここに?アンタには別動隊を預けて北部戦線の援護を命じてたでしょ~?」

「いやそれが………ん?オーレリア副長?……重症を負わされたと聞き及んでおりましたが。……大丈夫、そうですね。いや、しかし、心なしか頬が赤く瞳も潤んだいる様子。……大丈夫です?」

一段落して軽く装いを整えたころノックもなしに慌てた様子の突如現れた副官に、やや気だるさげの様子で質問をぶつけるも、彼は重症にて戦線を離脱すると聞いていた同じ副官仲間に疑問をなげかけ、オーレリアのやや上気した表情にどぎまぎとした様子を見せる。

ーーーー

オーレリア「………ふ…ぁ…? バルボア…? あ、ああ…それは…その…キ、キール隊長に治してもら…って…// っ…そ、それより急いで何かあったのか?

(な、流されてしまったとはいえ…キール隊長と…えっちなことを…そ、それもあんな責められぱなしなのをしてしまった…// ど、どうしよ…キール隊長の顔を見ると…顔がまだ赤くなってしま…う…//)」

おちんぽからふたなりザーメン搾り取られ、騎士として女として鍛えていた身体をキール隊長に食べられ…私はとろんとした表情で全身をびくびくんと震わせ、キール隊長とのえっちにより腰に力が入らなくなっていて。

バルボアの言葉から徐々に頭が働き戻っていき、キール隊長の女にされたことを自覚し…私はかぁっと赤くなりながら きゅっとシーツを握り締め、その姿は普段の騎士の姿とは違うのが見てとれて。


キール隊長が闇の影響を受けていようが愛するのに変わりはなく、その闇が本来のキール隊長に反することをするのなら、彼女を止めてみせ話し合う覚悟も出来ていて。

ーーーー

キール「ふふ……♡」

焦るオーレリアを見て楽しげにクス…♡と笑い、バルボアの背後から口の形を音を消して変えて、あ・た・し・も・だ・い・す・き♡とバルボアの背後から呟き、副官にいたずらっぽく笑う♪


「は、はあ……ま、まあいいです。お二人ともよく聞いてください。何点か報告がありまして。」

2人の様子に疑問を持ちながらも、特に気づいた様子はなく。咳払いをしながら襟元を正す彼は、真剣な表情に戻る。


「北部戦線にて正体不明の敵が味方防衛ライン侵攻。敵の攻撃は跳ね返しましたが、北部戦線は壊滅的打撃を受けました。

北部戦線防衛にあたっていた王国騎士団3部隊のうち、バイオー隊、ワーラー隊は隊長を含めてほぼ全滅。

残存部隊は…レイフィールド隊のみ。彼女は……いえ。彼女の部隊は引き続き、北部戦線の維持にあたっております」

人魔戦争開戦から生存し、数々の戦果を挙げた2つのエース部隊の壊滅を報告しつつ一瞬、迷う様子を見せるがアイリスの部隊の詳細な状態は語らず。


「……もう1つです。東部戦線援護に向かっているブレイクからの早馬です。文を承っております。読み上げます。

【『荷物』とは問題なく合流。順路通りにエスコート中、しかし周囲にて不穏な気配、不足の事態が起こる可能性を認めます。至急、援護を頂きたい】

……以上になります。キール隊長、副官の1人として申し上げます。

私の部隊に追加人員と指揮官としてオーレリア副長を加えて、ブレイクの援護に向かわせて下さい。そうするべきです。」 

レイフィールド隊よりも、ブレイク隊を優先させる提言を上申し、彼女の判断を待つ。


キール「……ん~……そうしようかなぁ……」

めんどくさそうに溜め息を吐き、人差し指で額をカリカリと軽く掻きながらも、無意識下とはいえ深紅の逆十字はかえって強調される。

どんな事情があったとしても、リュネときのように友人が絡む案件では、部隊運用や様々な事情を取り計らい上手く救出案を出していた彼女だったが。

今回は特になんの意見やバルボアに対する反対意見も出さずにあっさりと、彼の申し出を承認しようとする言葉を呟く。


キール「…………ん?あぁ、オーレリアはこの件を知らないんだっけ?こっち方面は、だいたいはブレイクに動いてもらってたからね。バルボア~?」 

オーレリアの表情に対して『事情』を説明していないことに気づいたのか、バルボアに説明をするよう指示をする。


「オーレリア副長…当然、これからのことも他言無用です。率直に申し上げます。

先ほど、ブレイクが文で言っていた『荷物』とは…………王国の皇太子殿下。アルモンド=アル=フレイル=アーデイ様のことです。

彼は、直轄の近衛軍団とともにお忍びで各地を訪問。

前線で戦われたことはありませんが、負傷兵や戦地に取り残された民を王国首都まで避難させる活動を開戦から、休むことなく続けてこられた正義の人です」

戦争前から国王と異なり善政で知られる皇太子殿下の戦争時の顔を語りながら、一呼吸置く。


「そんな彼の活動が、魔族に露見した恐れがあると情報が入りました。そこでブレイクが手勢を連れて、近衛軍団の援護に行ったという訳です。

皇太子殿下を失う訳にはいきませんからね。

教会騎士団のサクヤ様ほどではありませんが、民の精神的支柱として大きな役割を果たしておられますから。」

ーーーー

オーレリア「なっ!? ~~//」

不意にキール隊長から大好きという単語が口から読み取れ…私は頬に耳まで赤くなり、恥じらう表情…だけど嬉しそうな感情も含まれながら、潤む瞳で視線を逸らして。


オーレリア「……。
(レイフィールド隊…アイリス隊長のことは気になるが、話を止めることになるから今は我慢するしかないか…。)」

深呼吸を繰り返し 何とか気持ちを落ち着け、私はバルボアの話を真剣な表情で聞いていく…2部隊の壊滅に怒りと悲しみ、そしてアイリス隊長のこと心配する感情も漏れ。


オーレリア「荷物…? ふむ…事情とな…? …! 皇太子だと……なるほど、荷物というのは隠語というわけか。…状況はわかった。この通り体調も戻っているから、私はキール隊長の指示をいただければいつでも動けます。」

ーーーー

キール「ん~……それじゃ、そうしようか。

オーレリアを指揮官。バルボアはその補佐。腕利きを10名選抜して小隊を編成。

出発して、殿下と恐らく囲われている避難民を首都まで輸送すること。

アタシはちょっとヤることがあるから、今回はパス~。だからオーレリアに全権を委任するからさ。

出発完了準備は2時間で整えて正門待機ね。

見送りにいくから。……それじゃアタシはこれで♪」

特段揉めることもなくすんなりと方針が決まると、気楽そうな様子を見せながら医務室を後にする。
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