騎士学生と教官の百合物語

第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第133話 ？？？

ー幕間ー

闇の帳が辺り１面を覆うなか、燭台に灯る僅かな明かりのみが場を仄かに照らす。


「して、状況を聞きたい。我が同志たちよ。諸君らが挙げた、その蜜月の味を戦禍を我らの仇敵にも味会わせてやろうではないか」

腕を胸元で組み、瞳を閉じた女性の石像が大きな氷塊の内部で眠りについている様子。

そしてその氷塊が左右、2本の大鎖で固定され暗闇の中吊るされている大広間の中に声が響いた。  


「その言葉待っておった。王国騎士団は完全に我が手中よ。ご託を並べる邪魔な奴らは軒並み激戦地に飛ばしてくれたわ。 奴らの願い通り民を救ってもらおうぞ命を代価に……な。

奴らは、そのほとんどが我らの野望の礎となってくれ たわ。これから到来する闇の支配を甘受せず理解もしない愚かな者など生きている価値なし。強いて言えばその身体が勿体なかったがなぁ♪

大人しくしておれば我が肉穴として飼ってやらんでもなかった事を考えると…全く萎えるわい」

下卑た野太い豪快な笑いがこだまする。


「……教会騎士団も抜かりない。時代錯誤の古びた教義が非常に役に立っておるぞよ。一部の不心得ものどもには手を焼いておるが問題あるまい。何より最高戦力のサクヤは未だに傷は癒えず当初の目的は果たしたと言えようぞ」

熟慮を重ねるまでもないと言わんばかりに言い切る法衣を老人。

彼らの言葉の先には６つの席。その席を埋める５つの影があった。彼らは思うところはそれぞれあるにせよ、一様に今後の計画に同意をしている。


「良かろう。我らが王は既に覚醒まで来たる。……リリス」

「ご依頼の通り、エルメスの後任は選定しといたわ♪貴方の望み通り武道派。あ、私はもう知らないからね。……散々止めたんだから何かあったら自己責任でよろしく♪」

「無論だ。……ヴィレーヌ」

「この前の件だよね。僕の工房での実験は成功。エルメスさんの魔力核を流用し、様々な魔族生物の因子を掛け合わせた。ホントに苦労したよ……何回徹夜したことか。肌荒れが激しくてうんざり。

あとはウルフヘイムさんの魔力を魔力核に注ぎ込んで『キメラ』は完全な状態になるけど……ホントに続けるの？僕たちより強くなる可能性ありありなんだけど」

「是非もなし。完成次第、即刻戦列に並べようぞ。……ベアトリーチェ。新参者とともに奴らに崩壊への序章を辿らせてやれ。色好い報告を待つ」

重い声に１つの影が無言で頭を下げた。