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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第119話 マサキの賭け

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マサキ「……」

砦から少し離れた地点、荒野の片隅で。

大杖を媒体にした、転送魔法陣を描きながら忌々しい自己嫌悪に苛まれる。

あの兵士の反応はもっともだ。

恐らくリュネのことを慕って、彼なりに。

なんとか敬愛する彼女を救う確率をあげようと、俺に泣きついたのだろう。

あの兵士は確かにリュネを見捨てたかもしれないが、最初から見捨てる判断を下した俺とは違う。

結論は同じかもしれないが、過程が驚くほど違う。

なにが同じだ。俺はあの兵士以下の『クズ』だ。

あの時の反応はただの八つ当たりに過ぎないじゃないか。

友1人救う判断すらしない、自分への怒りを。

……どれだけ、俺は俺自身を。

自分を高く見積もっていたのかと自嘲せずには居られない。


マサキ「オフェリア」

背後に現れた気配は、共に数日過ごしたこともあり見知ったものになっている。

俺の護衛という彼女。

彼女に比べればどうということはないが、独りで過ごした時間が長すぎて。

彼女とは、この数日過ごしただけにも関わらず…悪くない毎日と思う俺がいる。

それだけに……幻滅されたかと思うと不思議と心は痛む。感情移入はしていないつもりだったが、そうでもないらしい。

表情を隠すように、背を向けたままフードを深くかぶり直す。


マサキ「……悪いな。ガキみたいな八つ当たりをして…幻滅。したか?」

ーーーー

オフェリア「ん? どうかしたかしらぁ?

…まぁ正直 手紙のことやその相手についてはかなり気になってるけど、そっちの方は話せるタイミングができたらでいいわ。

幻滅なんてしないわよ。マサキはマサキなりに精一杯 自分にできることをやってる…
他の人たちから見たらどうかぁ知らないけど、それを私は知ってるからね…
だから辛い時とかは いつでも私を頼りなさいな。」

まだ数日しか一緒に過ごしていないけど、マサキからのその言葉は心にくる…
それはきっと私と…誰かに嫌われたくないというものと同じ想いだろうから…

だから幻滅なんてしないと、真剣な表情と想いで彼女に伝えて。

ーーーー

マサキ「オフェリア……」

キールとオーレリアが馬を駆けさせ、出立するのを横目に。

唇が想いに応じて痛むのがわかる。

長い孤独を生きた彼女。また真に俺に寄り添おうとしている彼女。俺には……わかる。

どれほど信頼を置いてくれているか。

わかるからこそ。

彼女の言葉はダメだ。

『1人でやり遂げる』と決めた決意が揺らぎそうになる。

頼りたくなる。

信じてみたくなる。

諦めたく、なくなる

もう1度だけ立ち上がりたくなる。 


マサキ「オフェリア、俺は!……いや……」

ギリギリのところで、出かった言葉を止める。

……何を考えているんだ。

この『真実』を喋れば、オフェリアを、この戦争の『裏』に巻き込むことになる。

それだけじゃない……『師匠』にも危険が及ぶ。


マサキ「……うあっ!」

内面の精神が影響したのだろう。

魔力比率がぶれて、転送魔法陣が弾けて消える。


マサキ「……はぁ」

トスッ……と、目の前の大樹に腰を預け、力なくフードを取る。そのままオフェリアを見上げる。

彼女の腰まである艶やかな金色の髪は朝日を浴びてきらびやかに輝く。

眼帯に隠された瞳が見れないのは残念だが、眼帯がある彼女も、カッコいいし悪くない。

なんてことを考えながらも、小さくため息をつく。


マサキ「……情けないが……冷静に考えて、わかってるんだ。『俺だけ』でやり遂げる可能性の難しさは。

だけど………話せば、もう後戻りは出来ない。

俺にとっても、貴方にとっても……」

ーーーー

オフェリア「後戻りねぇ…忘れたわけじゃないと思うけど、私はこれでも真祖よ?

生まれた時からそれに何度も苦しめられ、後悔と絶望を味わったことは数え切れないわよ…
それに比べたらほとんどが大したことないわよ、だから安心して巻き込みなさいな。」

両手を腰に当てながら、少しだけ胸を張って想いを伝えて…
ずっと苦しんでた…今でも苦しんでるけど、少しずつ受け止めていこうとしてる 真祖としての自分の存在…
そう思わせてくれた彼女の力になりたい…それが今の私の生きる理由で…。


オフェリア「それに私は致命傷であろうと治っちゃう不老不死で、力もちゃんと使いこなせれば負けなしの吸血鬼…誰であろうと邪魔するなら薙ぎ払ってあげるから心配無用よ。

……まあ長くなったけど…マサキが話してすっきりするなら話しなさい…
私はそれをちゃんと受け止めて、マサキの抱えてるもの半分持ってあげるからさ…
私は…マサキ あなたの力になりたいの。」

今言ってることは大体合ってる…
不老不死で傷が治るけどすごく痛いし苦しい…それに今の私の実力は全然無敵じゃない…
だけどマサキのためなら 私はそのくらい耐えるし、絶対に誰にも負けないと思う…
だって私は…それくらい私を救ってくれ、一人で抱え込む優しい彼女のことを…。

ーーーー

マサキ「……わかったよオフェリア。貴方を信じ、可能性に賭ける……だから……最初に謝っておく…『悪いな』」

ゆっくりと立ち上がり彼女を見つめる。だが…恐らくはこれから起こるであろうことを予想すると、笑顔を浮かべる気にはならない。

パチンと指を鳴らすと辺りの風景が変わる。

それまでの砦に荒野、僅かな木々といったものから。

崩壊した建物が点在し、まだ形を保つものには蔦が巻き付き、植物が人間の痕跡を覆うようにして大自然の力をみせつけるものに変化する。

2人が佇む広大かつ円形の中庭を囲うようにして聳える壁からは、ところどころ清流が吹き出し、差し込む日差しにより虹がかかる。


マサキ「ここは……遥か昔。人が、劣等種族として魔族を始めとする高位種族に支配される『モノ』でしかなかった時代。

人間族の誇りと尊厳のために立ち上がった戦士たちが集い、剣を取った場所。

そして……全ての騎士の礎。フィリア騎士学園の創設者であり、『自由・平和・解放』の理念を実現させようとした今の『王国』を建国した立役者の1人。

フィリア=オクスフォードの祈りが込められたとされる場所」

話しながらも、オフェリアと距離を取るようにして大きく前に跳躍して崩壊した建物の上にたち、彼女に向き直る。


マサキ「オフェリア。……前提から話そう。

この大陸の人間領には、今俺たちが住まう『王国』の他にも『帝国』『共和国』『公国』など様々な国が存在している。

しかし、どの国も魔族とは戦おうとしない。

なぜなら、わかっているからだ。

人間領より、遥か広大な魔族領土を支配する強力な魔族と戦えば多大な犠牲が出る。今の『王国』のように」

淡々と世界状況を話していると身体が闇の魔力に包まれ、腕や足の先が『闇の魔力』に塗りつぶされ黒く染まりはじめる。『警告』が始まった。


マサキ「人間族の『他国』は、『王国』『魔族』双方に不干渉政策を貫いている。どちらとも同盟を結ばない。

魔族自体も俺たちの『王国』を滅ぼせば、他国とは和平を結ぶとしているしな。

しかし……王国は今や『風前の灯火』。開戦前から言われていたが、普通にやっても王国は魔族に勝てない。

ならば、どうするか?

どうすれば、魔族を倒し、戦争に協力しなかった他国に睨みを聞かせることができるのか。

俺の『ご主人様たち』は考えたわけだ」

オフェリアに向かって手紙についていた『3ツ目の黒鳥に王冠』の紋章を、放る。

それと同時にもう片方の黒く染まる手で、大杖を取り出し自分自身に『対魔法進行遅延』の魔法をかける。

侵食がややゆったりとしたものになり、小さく安堵のため息をつく。


マサキ「……簡単だ。『魔王』を味方にしてしまえばいい。……どういう意味かわかるか?」

ーーーー

オフェリア「ふぅん…まぁ話してみなさいな、話は全部そこから始まるでしょうから。」

マサキが本当の意味で私に謝っていて…これは相当やばそうな案件ね…
まぁどんなのが来ても、私の決心は変わらないのだけど。


オフェリア「へぇ…私が生まれるより前の時代ねぇ…フィリア=オクスフォード…
フォウのおじぃさんから少しだけ、逸話とか聞かされたような…。

えぇ知ってるわよ、まぁ私は王国と魔族領以外あんまり行ったことないんだけどね。
っ…ちょっと待ちなさい…マサキ あなたそれは…まさかこの話をしてるから…!?」

切り替わった風景とマサキの話を聞きつつ、私は顎に手を当て 考え込みながら会話して…

そうしてるとマサキの身体が黒く染まり始め、私は驚きと少し動揺を見せて…
これは警告のようなものじゃないの…待ちなさいマサキ、これって誰かに話すとあなたが危険なやつじゃないのよ…!


オフェリア「……なんとなく読めてきたわ…ようするにこの戦争は、王国が魔王を手に入れるために開戦されたものということね?

どうゆう経緯で手に入れるつもりか知らないけど…それと…マサキ あなたにそれを施したのは王国というところかしら?」

私はマサキの話を聞いて、それを頭の中で組み立てていき…
自分が考えついた答えを返し、そしてマサキの今の状態についても問いただし…

あなたにこんな危険があるなんて聞いてないわよ…でも今更止められない…ならあの闇を塗り潰す方法を今すぐに考えないと…。

ーーーー

マサキ「正確には……魔王を利用した支配を企む人間達と、魔王を復活させ覇権を唱えることに賛成した魔族達。 

つまり…『奴ら』は双方の利害が、一定の価値観の下に一致したからこそ、この戦争を引き起こした。

お互いの政府の権力者に巧みに取り入り、操り、政治・軍事・経済を支配することで、戦争の道へ見事に導いたんだ」

この戦争のきっかけを話し終わるころには、右腕が完全に黒く染まりきっていた。

急がなければ……万が一、これが最後になったときのために。


マサキ「……順序立てて話そう。……『奴ら』は考えた。

双方の協力の下、『魔王』を復活させ、コントロールして王国の『力』とする。

そして王国を新たな『闇の都』として、他国への侵攻の拠点にするのだと……っ、ぐ……。

っ……お……!……~っ……!!

……奴ら、は『非道』な手段……で。キール……を。

覚醒のための……棺。

いわゆる器にすると、彼女を魔王覚醒までの間。

キールを守らせ、魔王覚醒の手助けをさせるために、俺、を……っ。

忌々、しい…『奴ら』、俺を……」

侵食が身体の半分を覆うと、強烈な眠気が俺を襲う。途絶え途絶えになる意識で、話の内容はボヤけはじめるのは、もちろん。

制御しきれなくなった、『呪怨の魔具』の魔力が強烈な魔力波となって放出される。

朦朧とする意識の中、なんとかオフェリアの方には向けないように放出を続け、肩で荒い息を続ける。

すると、オフェリアの隣に見知った白衣の中年男性が現れるのを捉えた。


パラドックス「やあ、マサキ君。とびっきり元気そうだ。

それにオフェリア君、400年ぶり……と行ったところかね。ああ、彼女に近寄るのは、今は止めたまえ。

繊細な魔力操作を行ってはいるが、『奴ら』の施した『首輪』は相当なものだ。

下手に近寄れば、マサキ君の『人格』がバラバラに砕け散ってしまう。それでもいいなら、別だがね」

突然現れた白衣の男は、お決まりのように懐中時計を白衣の胸元にしまいつつ、オフェリアの肩に手を乗せて警告を告げる。

その間にマサキの全身を覆うように闇の魔力が埋めつくし、彼女を覆うように巨大な漆黒の球体が現れる。


パラドックス「ふむ……この時間軸では、こうなったか。興味深い……このタイプは『彼』のものかね。

そうなると、オフェリア君。大人しく逃げたまえ。

君も……友人と戦うことは好まないだろう?

君たちに世話になった私としても、友人同士が争うのを見るのは忍びないのだよ」

余裕ある態度で微笑みを浮かべながらも、あらゆる事情を知っていると言わんばかりに撤退を進め、懐中時計を取り出し逃走を促す。

ーーーー

オフェリア「…? つまりは王国と魔族の他に第3の…両陣営をそそのかした奴がいるのね?

他国に侵攻に…闇の帝国…ね…まったく たちの悪いことを考えつくわね…
なるほど…それがあなたたちと戦争の真実ね、ありがとう 話してくれて。」

魔族はこの世界では最大の勢力、そして王国も少し劣るが勢力は大きい方だ…
その二つをそそのかした勢力…いろいろと心当たりはあるけど…それがこの戦争のきっかけだったなんて…

まさかマサキとキールさんがそんなものを背負ってたとはね…しかも二人が幼い頃からのようだし…
なんて…いや表現すらできないくらい非道で…すごく怒りが湧き上がってくる…
いや…今は置いておこう…それより私にはやるべきことがある…。


オフェリア「マサキ 安心なさいな…私がちゃんとあなたを救ってあげるから、ちょっとだけ待ってなさい。」

話すとこうなることはわかっていたはず、それなのに彼女は話してくれて…
きっと恐怖もあったはず…それでも私を信じて話してくれた…
だから彼女に不安を抱かせないため、私は一切の迷いもない真剣な瞳と表情で約束して。


オフェリア「……はぁ…なんとなく現れるんじゃないかと思ってたわ、パラドックス。

私はマサキの護衛よ、彼女を置いては逃げれないの…それに…彼女に私は救われた…だから今度は私が彼女を救って恩を返す番よ。
それより、もったいぶらずにマサキを戻す方法を教えなさいな…どうせあなたのことだから方法を知ってるんでしょ?

あの黒いのは私が止める…だから方法を教えなさい。じゃないと凍らせて燃やすわよ。」

やっぱり現れたわね…まぁちょうどいいタイミング…いや悪いタイミングなような気もするけど、こいつなら絶対 戻せる可能性ってやつを知ってるでしょ。

私はパラドックスに戻す方法を聞きつつ、マサキを覆う闇を止めると話し…
そして眼帯を外す…あの雰囲気…私を凌いでるはね…
手加減なんて出来そうにないから、ちょっと手荒になるかもだけど、我慢しなさいマサキ。
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