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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第115話 大切に想うもの

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ー幕間ー

砦の大門前。腰までの金色の髪にスカイブルーの瞳の騎士が、馬の毛並みを撫でつつ出立の準備をしていた。


キール「なんだ、もう行くの?ん~……アタシ的にはもうちょっと話たかったんだけどさ。それ言うのは野暮かね?♪」

彼女の率いる1軍は、あたしたちの砦を通過してそのまま北進する。先日、その拠点を守っていた味方部隊が壊滅して後任を任されたためだ。


アイリス「あはは♪……ううん、気持ちは嬉しい。ありがとう、キール♪……少しなら時間あるから、話そうか」

戦争が始まり教え子をなくして、取れなくなった目元の隈が痛々しいが、彼女の穏やかな笑みはその気持ちを薄れさせてくれる。

お互いの状況はある程度伝えあった。

彼女が精神の均衡を崩そうとしていること。

アタシの方は、覚醒のことはそれとなく濁して、『帰れなく』なる可能性を伝えた。


キール「アイリス。こうして2人きりで話すのは久しぶりじゃない?アタシは凄い懐かしい気がするよ……学生時代以来かぁ」

私の言葉に彼女は何も答えず、ただ横に並び瞳を閉じ穏やかな笑みを浮かべた。きっと、当時を思い出しているのだろう。


アイリス「キール……貴女はずいぶん立派になったね♪私は友達として誇りに思うよ。さっき会った優秀な副官ちゃんもきっと、貴女のことをそう思ってる♪」

オーレリア……さっき『抜いて』あげたときのエロい顔がよぎり頬が赤らめるも、それを打ち消すようにブンブンと首をふった。

目の前の彼女は不思議そうに首をかしげている。


キール「アイリス。考えたんだけど……アタシはさ。アンタに頼むことにしたんだよ」

そうだ。今のうちに伝えておかなくては。

アタシがアタシであるうちに。

この『蒼の剣』を。


キール「もし、アタシが倒れるようなことがあったら。……コイツを受け継いでほしい」

アイリス「それは……蒼の大剣?」

オーレリアには頼めない。なんだか、アタシはアイツを巻き込む気にはなれない。ここ最近、凄いその想いが強い。

……危ない目にあってほしくない。だから。

この剣の秘密と後継は。『剣鬼』と呼ばれながらも、優しい心を持つアンタに……託すことにしたよ。

ーーーー

オーレリア「先程の彼女があのアイリスか…キール隊長の友達で…そして…。
いや…私じゃ彼女を救えはしないか…救えるとしたらキール隊長…それか同じくらい彼女を知って、想ってる人くらいか…。

……しかし…キール隊長 何か大事な話がある様子だったな……何か私に力になれることはないだろうか…?」

キール隊長とアイリスさんが二人きりで話せるようにし、私は一人になりアイリスさんに起きたことや今の様子知り…
彼女のことをよく知らない私では力になれないことを理解し、私は彼女に救いがあることを祈って。

二人っきりにする時 キール隊長の表情がどこか真剣なものだったので、私はそれが気になっていて。

ーーーー

話が終わり私はキールの頼みに首を縦に降った。

彼女は安心したのか穏やかな笑みと、私にお礼の言葉と激励の言葉をかけて、そうして砦に戻っていった。

……だけど、出来ることなら。その時は来ないでほしいと思わずにはいられないね。

この頼みが実現するとき。それは、キールが…  

いや……信じなきゃダメだ。そんな未来は来ないと。

私たちは、絶対にこの戦争を生き抜く。

…リュネにも、そう約束したしね。


アイリス「さあ、私も……軍に合流しないと……ん?」

愛馬に跨がり少しだけ馬を進ませると、こちらに佇んでいた友人の副官を目に捉えた。


アイリス「ふふ♪……こんな夜遅くまで起きて上官の心配、かな?同じ隊長を勤めるものとしては、貴方の健康に良くないから減点だけど。

でも……キールの友達として、私は嬉しいと思うよ♪ありがとう、オーレリア。

だけど、ほどほどにしなきゃだよ。貴方自身が倒れちゃったら、ね?キールには貴方が必要なんだから♪」

友人を健気に大切に思ってくれるオーレリアに対して、温かい気持ちがこみ上げる。

だけど、彼女のような人材は頑張りすぎる傾向にあるからやんわりと注意を促しつつ、自分の想いを織り混ぜて伝える。


アイリス「戦争も中盤。国土と戦力は次々に失われて、どんどん追い込まれてる……なかなか厳しい戦局だけど、私は諦めてないよ。

お互いに、お互いが大切に想うもののため頑張っていこう。それじゃ、またね♪……はっ!!」

オーレリアに『大切に想うもの』のため。

と、『嘘』をついてしまったことに…私が何を大切に想っているかわからなくなってしまっているにも関わらず、偉そうに振る舞ったことに罪悪感を覚えるも、それを振り払い愛馬を走らせる。

次は、防衛戦。厳しい戦いになる……急ごう。

剣鬼にふさわしい戦いぶりを披露しないと、ね。

ーーーー

オーレリア「あっ…お疲れさまです アイリス隊長…ふふ 減点されるのは確かにですね…
いえ 隊長を…いや 違うか…大切な人を心配するのは当然です お礼を言われることでは…
ですが心配とアイリス隊長の気持ち伝わりました…ありがとうございます。」

キール隊長とアイリス隊長のことを考えていると、そのアイリス隊長がやってきて…

心配とアイリス隊長の想いが伝わってきて、私は自分の気持ちを伝えつつ、頭を下げて 心の底からお礼を言って。


オーレリア「私も諦めません…この戦争の勝利も…キール隊長のことも…。
はい それではまた生きて会いましょう…アイリス隊長によき出会いがあることを祈っています…。」

戦争で勝利することは民、そして仲間たちのために…
そしてキール隊長のことも…
大切なもののため絶対に負けられない、私は絶対に諦めてやるものか…。

アイリス隊長が大切に想うものと言ってくれ、私は彼女にも再び大切なものになる者が現れることを…心から願って…。
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