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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ
第109話 マサキvsウルフヘイム
しおりを挟む魔族の禍々しさが全面に押し出された邪悪さを感じさせる奴らの普段のデザインとは、真逆だ。
一点の曇りもない純白さは、一見聖なる高潔さを感じさせるものの、その実。他の色を受け入れない傲慢さを覚えた。
ウルフヘイム「やはり、1人で来たか。禁忌の魔女よ」
マサキ「ウルフヘイム」
いつもの指を弾く動作すらなしに、無詠唱、無動作で強力な凍結魔術を繰り出す。たちまち奴を中心にして大きな花が咲いたかのような氷柱が伸び奴を氷つかせる。
だがしかし。それは次の瞬間には直ぐ様、内部から砕かれ、氷のかけらが二人の間に流れ、折れた柱が派手な音をたてて水煙を上げる
ウルフヘイム「ふむ。『氷雪花豪大葬』か。古代上位語魔法をノータイムで放てるとは。やはりそちら側に置いておくには惜しい」
マサキ「なにを言ってるのかわからんが、魔王の右腕。お前はここで俺が消す、そして後ろの玩具もな」
ウルフヘイム「待つがいい……禁忌の魔女。こちら側に付けば、お前の願いを叶えてやろうではないか」
ジリジリと睨み合いが続きお互いを牽制しあう状況の中。奴は言い出した。俺を魔族側に取り込もうとでもいうのか。沈黙で返してた俺に奴は続ける。
ウルフヘイム「お前の望む『夢物語』の全ては無理だ。だが一部は叶えてやろうぞ……ククク♪どうしようもない孤独感に苛まれているのだろう?
それも当然だ。たった1人で王国の、自分の、この戦争の、世界の。これらの『秘密』を抱え込み。
与えられた任務を全うし、心を許せる相手も、真に寄り添う相手もおらず。
ただ孤独に自分自身を抱き締める手は血まみれ。
才のない。ただの小娘が『呪怨の魔具』にて無理矢理力を得る……いつも聞こえるのだろう?亡者の声が」
饒舌に奴は続ける。
なるほど、奴もただ自分の部下や施設が破壊されているのを指を咥えて見ていた訳ではないらしい。
詳しく俺の事を調べているわけだ。耳障りな亡霊の声を抑えつけながら話を聞く。
マサキ「ペラペラとよく喋る口だな。それに……人の経歴をご丁寧に暴くとはな。全く反吐が出る」
ウルフヘイム「加えて、その力。『呪怨の魔具』だけではない。
奴との『契約』もあるのだろう。
禁忌の魔女よ……残りの『寿命』はいくらかな?」
核心を突いた質問がぶつけられる。だがまあいい。
ここには俺とこいつしかいない。奴を消せば秘密は守られるだろう。
それに饒舌なのを利用させてもらうとしよう。今なら多重魔法陣を仕込み放題だ。
マサキ「ふん……答える義務はないな。それに……それを知ったところで何がある」
ウルフヘイム「お前の1部の願いだが……貴公を真に支える『恋』の相手を用意しよう。
そして、あの者たちの手からお前の『師』を取り返してやろう。
それに削れきった『寿命』も戻すように取りはからう。
代わりに……お前は魔族側に付け。貴公なら私に次ぐNo.3の魔族になれる。人間どもを皆、消滅させるのだ。
そして『キール=ゴールドウィン』を捧げよ。ともに魔王様に仕えるのだ。さあ……返答を聞こう」
心は確実に揺らいだ。
全く魅力的な提案だ。はるか昔に諦めたはずの願いの数々に心が焦がれる。
……だが、答えは決まってる。
『親友』を。そして『大切な人』たちを。
諦めきれるはずが、ない。
要は犠牲の良し悪しだ。
自分とその他大勢。
どちらを捨てればいいのかなんて。簡単すぎる。
マサキ「ふ……魅力的な提案だな。これが答えだ」
辺りを強力な雷撃魔法の閃光が満たした。
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