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第7節 過去編 人魔大戦 キールとマサキ

第86話 キールの記憶

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オーレリア「なっ…っ…!? あ、ああ そうか…その…励ましてくれてありがとうな…//

(まさかマサキ隊長があんな表情で姉さんとか言ってくるとは…これは完全に不意打ちだぞ…。
しかしキール隊長が恩人…? どういうことだろう…。)」

不意に頬を赤らめたマサキ隊長に姉さんなどと言われながらお礼を言われ、驚きと気恥ずかしさから、私は指で頬を触って 頬を赤らめていて。

マサキ隊長はキール隊長が恩人というが、そのことを聞くタイミングを逃し…まだ私は二人のことをあまり知れてないと気づき。


オーレリア「ああ 了解した。未確認情報? それはいったいっーーっ!?
(はやい…無詠唱もそうだが 予備動作から何まで無駄がない…しかも剣士である私よりはやく気配に気づくとは…。)」

マサキ隊長に遅れ 私も扉前の気配に気づき、気づいた時には魔法で相手の動きを止めていて…あらためてマサキ隊長の実力は凄まじいと理解させられて。


オーレリア「こいつは…ほう…。
(躊躇なくやるとはな…いい冷徹持ちだ…だが…マサキ隊長に…若い奴らにこんな覚悟を持たすてしまったのは…我々か…?)

む…なるほど擬態能力か 私も初めてみる……ああ わかった…無理だけはするな?」

私も男性騎士に近づき確認していると マサキ隊長が容赦なく攻撃し、その容赦なさに騎士として感心する…も、彼女にここまで冷徹にさせてるのは腐った者たちを対処できてこなかった自分らのせいかと思い。

マサキ隊長が冷徹な雰囲気に変わるが、私は気にした様子もなく そちらも気をつけろと言って。


オーレリア「キール隊長…いや さっきのは魔族の潜入諜報員らしい…こちらで対処しておいたが、そのことでキール隊長にだけ至急報告したいことがあるんだが。」

駆けつけたキール隊長…私は他にも騎士がいたため 一応マサキ隊長の名前は伏せておく…
する必要はないかもだが、マサキ隊長の名前を出し 悪い噂や怖がられたりしないための配慮で。

キール隊長と 一対一 で話がしたいと私はそう伝えて…。


オーレリア「………というわけだ、マサキ隊長は戦争が始まると見越している…さっきの諜報員の件もそのための布石だろ。

それと…マサキ隊長に怒られるかも知れんが、キール隊長とマサキ隊長の関係性を聞いておきたい。
今更だが私は隊長たちのことを知ってるようで深く知らない…ただマサキ隊長を気遣っているだけではなく、私としてもちゃんと隊長たちのことを友として知っておきたいんだ。」

二人っきりになり、私はキール隊長にマサキ隊長から聞かされたことなどを全て伝えて。

お節介かもしれないが、マサキ隊長のキール隊長への想いや恩人という発言を話して…
可愛いく優秀なやつが、苦労したり不幸になるのを見たくない私に話したのが隊長の運の尽きだ。

ーーーー

キール「ふーむ…やっぱりかーっ。そうだよねー、うん、いつか来るのはわかってたからさ、あたしも。きちゃったかー、そっか」

執務机に突っ伏しながら心底だるそうな表情をしながら唸るも、納得したのか顔を上げる


キール「オーレリア、ちょっと欲張りだよー、あたしは何から答えればいいのさ。
…うーん、そんじゃとりあえず方針の前にあたしらの関係性から話すか」

背伸びをしながらマイペースな様子を見せると、まじまじとオーレリアの方を見て


キール「あいつは……あたしの親友にして、私の夢の最大の協力者。でもね。正直言うと、わかんない。

………実は、あたし。騎士団学園の学生になる前の記憶がないんだよ。

事故にあったらしいんだけど、よく覚えてなくてさ。マサキとは、どうも小さいころから友達みたいなんだけど、当時のことは『自分で取り戻すべき』って言って教えてくんないし」

確かな信頼とともに、頬を膨らませながら小さくため息をつく。


キール「まあ、マサキはアイリス………っとと、オーレリアは知らないか。あたしの別の友達と同じで、抱え込むタイプだし、質の悪いことに、なまじ強すぎるから大抵全部勝手に解決しちゃうんだこれが。

アイリスと違って目的のためなら、犠牲も手段も構わないタイプだし。ま、そんなの全部わかって、あたしは親友してんだけとさ♪」

苦笑いしながらも、特に後悔はしていないのか表情事態に嫌悪感は感じられない。


キール「まあ、どうしてもあいつのこと知りたいなら……4日後、マサキに『こいつは信用していい』って言われてる、あいつの副官と会うから付いてくる?

あたしよりは……いろいろ聞けるかもよ♪あたしは、あいつが話てくれるのを待つことにしたけどさ。

オーレリアみたいな選択をすることも、まあ面白そうだし。あ、もちろんマサキには内緒ね 」

ーーーー

オーレリア「む…すまん…確かに一気に聞きすぎたか…。」

報告したあとに質問ぜめにしてしまい、私は申し訳ないと一呼吸 置いて冷静さを戻す。


オーレリア「わからない…? ふむ…嘘ではないようだな…しかし記憶がないか…。
(マサキ隊長が教えたくない理由でもあるのか…? それとも…。)

確かその人は…いや 今は置いておこう そのうち聞かせてもらえればと思うがな。

まあ抱え込むタイプだろうな…しかもあの強さ…もしかすると教会の聖剣使いたちよりも…ふっ そうか…なら私が心配せずとも大丈夫か。」

キール隊長に記憶がないと語られ、そしてマサキ隊長がその記憶も知っていることを知る。

アイリスの名前が出るものの 紹介は本人がいる時、または後で聞かせてもらえればと言う。

マサキ隊長の強さは教会の聖剣騎士たちよりも上じゃないかと思いながら、キール隊長のマサキ隊長への想いが聞けて 私は微笑み。


オーレリア「そうだな…ああ ついていこう、私はキール隊長の副官で護衛だしな。

(キール隊長もマサキ隊長もいろいろと考えているのだな……二人は立ち止まっていた私の背を押してくれた者だ…そんな二人には夢を叶えたあと 笑顔のある人生を歩ませてやりたい…。)」

キール隊長の提案を了承し、私はついていくと頷いて。

感謝もあるが キール隊長やマサキ隊長をまるで妹のように大事に想い、そんな二人の幸せを私は願うようにもなり…。

ーーーー

キール「硬いなー、オーレリア。そんなんじゃ、いざってときにヘロヘロだよ。
これでも食べてリラックスしなきゃ。…ほいっ♪…ん~やっぱりリラックスしたいときは、りんごキメないとダメだよ~//」

机の引き出しから、取り出したもの『りんご』を彼女に放る。自分用にもう1つ取り出すとそのまま丸かじりして、その甘さに頬を赤らめシャリシャリと音を立てて満足そうに頬を緩ませる。


キール「あ、そうだったね。あたし的には……。取り敢えず砦の見張り班の数を増やそうか。守備班の人数はそのままでいいけど、まわせる余裕がある班を調査して、見張りを3人ほど増やしておいて。

ただ、無理は強いないように。どの班もあんまり余裕ないはずだから…志願制にして。いないようならあたしがやるからさ。

あと…アイリスの隊は、強い部隊だろうけど。どうせ緊急編成だろうし、彼女の教え子ばかりだろうから…援護を送りたいところだなー……けど、うちに回せる余裕もない。

しょうがないな。ん、こっちはあたしにツテがあるから。任せといて」

腕を組みながら、オーレリアにテキパキと指示を出して部下にあまり負担をかけないように指示を出す。


キール「あとは……あ~そうだ。さっきの騒動のせいで飲み忘れてた。よいしょ…取り敢えずあたしの指示は以上かな。それで?他に聞きたいことはあるかな?」

ゴトッと音を立てて瓶を取り出しながらりんごをもう一度かじる。

ーーーー

オーレリア「硬いか…ふふっ さっきマサキ隊長にもそう言われたよ。
キール隊長はりんご好きなのか? ああ では いただくとしよう…はむ…。」

キール隊長にも硬いなと言われ、私は穏やかな微笑みを浮かべて。

キール隊長がりんご好きだということを知れ、それを嬉しく思いながら 自分もりんごをかじって食べ始めて。


オーレリア「ああ 了解した。キール隊長が見張りを? そうだな…まあ1人足りないだけなら私がやるさ。

そうか ならキール隊長に任せるとしよう。だから私にできることがあればいつでも言うがいい。」

キール隊長がやるからと言うので、1人だけ足りないのなら私がやると伝えておく。

アイリス隊の方は任せてと言われ、何かあれば言ってくれと伝え、あとは任せて。


オーレリア「んっ そうだな…いや今のところは特にはないかな。
まあ言うことがあるとすれば…キール隊長もマサキ隊長もー人で無理はしないでくれ…くらいか…実力はお二人に及ばなく頼りないが、私もいるからさ。」

マサキ隊長は一人で抱え込むから当然として、キール隊長にも無理せず 何かあれば私をいつでも頼ってくれと伝えて。

ーーーー

キール「やっぱ、このシャリシャリがたまんないからさ。あたし的には最高の果物って感じさ♪」

シャリシャリ豪快にあっという間に食べてウインクするとニッと笑う。


キール「ああ、ほらあたしはさ。けっこう強いけど、それでもどっかの『大魔導』と違って神様みたいな力は持ってないからね。オーレリアみたいな部下の力があってからこそだよ。

1つでは弱くても……集まった力は強力なものになるってもんだし。

これからバリバリ働いてもらうよ。ぶっ倒れるまで。あたしの右腕としてね♪」

自分の理念を語りながらも、1人で危ないことはしないと約束しながらオーレリアを使いまくると堂々と宣言する。


キール「さて、もうこんな時間だし。今日はもう帰ったら?ふあ……あたしも疲れたよー、ちょっと早いけど、もう寝るからスヤスヤ。
スヤスヤするから、ストレスは肌に悪いしさ。

それじゃ、お休み♪」

時間を見たのか、帰るよう促しオーレリアの背中を押して部屋の外に出してあげると、机に向かい先ほど取り出した瓶を開けグラスに注ぐ。

ーーーー

オーレリア「ふっ そうか…はむ…もぐもぐ。

ふふっ いいだろう…私はキール隊長の剣で盾だと誓ったからな…それに隊長たちのことが好きだからね…♪

ああ また明日だ おやすみ キール隊長。」

キール隊長とりんごを一緒に食べながら私は笑い合う。

マサキ隊長もキール隊長どちらも私より強いよと思いながら、右腕として側にいて役立つさと微笑みながら言って。

背を押されたため 私はおやすみと言って部屋をあとにして…。

ーーーー

澄んだ透明な色をした液体を飲むと、瞳の色が一瞬濁り立ちくらみを起こしたのか、執務机にもたれかかる。

キール「だんだん……抑えるのがキつくなってきた。それに戦争の足跡。……あたしもいよいよ腹をくくらなきゃね。剣とともに」

蒼の剣を見つめながら、やや疲れた表情を表すも決意の言葉を口にした……。
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