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第2節 過去編 人魔大戦(アイリス)
第55話 マサキの行方
しおりを挟む手を繋いで歓楽街へと歩を進めマサキのbar「sleeping cats」の前に着くとそこにはcloseと書かれた看板が下げられているも灯りがついていて
アイリス「....いこっか♪」
コトリに声をかけ扉を開き店内に入る。そこにはいつも通りの正統派で、細部にまで気を使ったデザインの装飾が見えるも、カウンターにいつも佇んでいるマサキの姿はなく
アイリス「......マサキー!私だよ。いるなら出てきて欲しいな」
アイリスが声をかけると店の裏からバタバタとした音が聞こえてきて足音がだんだん強くなり
モニカ「すみませんー!裏で在庫整理をしていたものでー、でもでも今日はお店は休みなんです....って、アイリス教官?それにコトリちゃんも?」
そこにはマサキではなく、タキシード姿のモニカが慌ただしく出てきて、首をかしげ不思議そうな様子を
ーーコトリ視点ーー
コトリ「ん、わかった…♪」
マサキさんのお店前まで来てアイリス教官に声をかけられ、私は重ね合う手の力を少し強め、こくりと頷いて一緒に店内へと足を踏み入れる。
コトリ「マサキさん…いないね…。
…あれ、モニカ? なんでモニカがここにいるの? そうだ、マサキさん知らない?」
きょろきょろと少し店内を見回すが、やっぱりそこにマサキさんはいなくて。
マサキさんではなくタキシード姿のモニカが現れ、私は驚いた表情を見せる。
ーーーー
モニカ「コトリちゃん!よく聞いてくれましたっ。これには深ーい..事情があるんです!」
眼を耀かせてコトリの問いに答えようとカウンターに両手をついて二人を見つめ
モニカ「この前から私は、フレイ教官から魔法構築学の課題で『ジェイド』っていう大戦期の魔術師....ほら、教科書とかにも出てくる結構有名な犯罪人ですっ。
彼女が使ってた魔法についての研究を魔法書庫でしてたんですけど、そのときマサキさんと知り合って、研究についていろいろ助けてもらってたんですよー♪」
瞳を閉じて満足そうに頷いて、過去を思い出すように語りはじめ
モニカ「でもでも、3日ぐらい前に突然マサキさんが、『ここには居られなくなった。このお店はモニカに任せる』って言われて....それから、すぐに出て言ってしまって..音信不通なんです」
ため息をつきながら、マサキがいないお店を管理していたモニカも少しだけ疲れた様子を見せ
モニカ「とと、そうゆう訳でマサキさんはいないです。ジュースぐらいなら私でも出せますけど、何か飲みますか?」
気を取り直した様子で二人に飲み物を頼むかどうか注文を聞き
ーーコトリ視点ーー
コトリ「深い事情? ……あっ…そうなんだ…マサキさんとモニカが、ね…。
(マサキさんのこともキールさんのことも…やっぱり過去に行く前と変わってないの、か…。)」
モニカの口からジェイドとマサキさんの名前が出て、そしてどういった経緯いで知り合ったのかしり、私は少し表情が曇る。
少し未来を変えたとはいえ、やっぱり歴史自体にあまり影響はなくて、マサキさんが罪人のままなので、私は少し悲しくなる。
コトリ「えっ…!? マ、マサキさんが出て…いった…? そんな…な、なんで…。
ア、アイリス教官…だいじょう、ぶ?」
マサキさんがいなくなったことを知り、私はすごく動揺してしまう。
結局マサキさんは何も語ってくれなくて、一人でいなくなってしまって…私はマサキさんのことを心配し、同時にアイリス教官のことを心配そうな表情で見ていて。
コトリ「あっ、えっと……ねぇモニカ、お店 私も手伝うよ。
マサキさんは私の恩人で、このお店はアイリス教官やマサキさんにとって大切な場所だろうから…だから、私も一緒に手伝ってもいいかな?」
動揺するが、今私に出来ることを考え…アイリス教官にとっても大事な場所、そしてマサキさんが帰って来れるようにと、このお店を守ることを決意する。
ーーーー
アイリス「ううん、なんだかこんな予感がしてたからね。大丈夫....マサキなりに何か考えがあってのことか、そうしないといけない理由があったんだよ。本来の力を失ってるから不安ではあるけどね..」
苦笑いしながらも、コトリがしたようにマサキに対し理解を示しながらも遠くを見つめ旧友を懐かしむように語り
モニカ「おお♪ほんとですか♪ありがとーコトリちゃん!すごい助かります♪」
アイリス「ふふ..良かったね、モニカ♪それじゃあ、私はグレープジュースを貰おうかな。コトリは何かのむ?」
嬉しそうなモニカをみつめつつ、コトリに注文を聞き
ーーコトリ視点ーー
コトリ「アイリス…教官……。
……ん、マサキさんはきっとまたここに帰ってくるよ…その時にはきっと、キールさんやリュネも一緒にね…。
そしたら約束通り、一緒にパーティーやろ? それまでみんなの代わりに、私がアイリス教官を笑顔にしてみせるから。」
遠くを見つめるアイリス教官を見て、苦手だけど私は言葉を紡ぐ。
今は私が教官を笑顔にしてあげて、みんなが帰ってきたら…みんなとアイリス教官が笑えあえるように、と願いを込める。
コトリ「ん、これくらいいいよ…その…モニカにはいつも助けられてるか、ら…あと…友達…だし…//
そだね…じゃあ私もアイリス教官と同じ、グレープジュースでお願い。」
お礼を言われた私は少し頬を赤くして、照れながら小さくつぶやく…友達だし、とも同時につぶやき。
くすっ…と優しく微笑みながら、私はジュースの注文をする。
最初の頃の少し寂しそうなクールな表情はなくなり、今ではいろんな表情を見せ…今はアイリス教官だけでも救えたことを喜び、私は嬉しそうな微笑みを見せて。
ーーーー
アイリス「そうだね....うん。きっと♪..ふふ..ずいぶん頼もしくなってきたね..♪」
コトリの言葉に優しく微笑むと、最初にあったころの彼女と今の彼女を比較して、穏やかなそれでいてどこか成長を喜ぶような表情を浮かべ
アイリス「さて....モニカの腕前を拝見だね♪」
ゆっくりと身を乗りだしながら、微笑み楽しげに二人と話に花を咲かせ穏やかな時間を過ごしたのだった…
ーーコトリ視点ーー
コトリ「ん…それは全部アイリス教官やみんなのおかげ…だよ…//
この出会いに…すごく感謝してる…♪」
アイリス教官に成長したと褒めてもらえ、私は頬を赤くして照れていて。
私がここまで成長出来たのは、アイリス教官たちに出会えたからと…優しい微笑みで、そうつぶやき。
アイリス教官とモニカと楽しい会話を交わしながら、久しぶりに穏やかで幸せだと思える時間を私は過ごした…。
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