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第2節 過去編 人魔大戦(アイリス)

第53話 しばしの別れ

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コトリ「……あの後ジェイドさんは…ううん、マサキさんはどうなるの…?

マサキさんが本当に悪い人だったらうまく私を人質として有効に使えたはず…なのにそうしなかった…結局彼女のこと、私は何も分からなかった…。
私は…マサキさんになんて言えば…お礼をしたらいいの…?」

結局マサキさんの真意も分からず、キールさんの安否も分からなく…
私は未来に帰ったら、どうマサキさんに接したらいいか分からなくて。

もしかしたら、帰ったらマサキさんなんていなかった…なんてことにならないで欲しいと祈りながら。


コトリ「それに…もう時間なんだね……リュネのこともキールさんもマサキさんのことも心配なのに…そして…アイリス教官も…。
結局…私は何も変えられなかったのかな…。」

お守りを渡したとはいえ…リュネがいなくなり、キールさんやマサキさんまでどうなるか分からない状況で…アイリス教官を一人残していくのは、すごく心が痛くて辛い表情をする。

ゆっくりと近づいていき…私は心配そうな表情でアイリス教官を見て、眠る彼女の頭を優しく撫でて。


ーーーー

パラドックス「ふふ....君はアイリスの過去を知るためにこの世界に来て、そして選択した。

それは、逆に言えば..他の選択肢を選らばなかったとゆうことだ。
マサキがこの世界でも言ってたんじゃないのかね?人生は選択の連続だと。

残念ながら、彼女のこの後のことや、最後の決戦のその時、彼女たちに何があり、彼女が何を考えていたのか....それは、私には教えてあげることはできない。

本人に聞くか....あるいは、自分で調べることだ」

コトリに微笑みながら話初めて、穏やかな表情を浮かべながら


パラドックス「落ち込んでいるのかね?君はベストを尽くした。全ての力を奮いキメラに立ち向かい、そして、あの君の最後の一撃....素晴らしいものだったよ。

過去に大きな変化はなかったが、1つだけ本来の過去と異なるのはあの時、君がキメラを退けたことで呪いの刻印と睡魔の刻印は刻まれなかったことになる。

君がアイリスを救ったのだよ。現代の彼女も、じきに目を覚ますだろう」

コトリがもたらした変化を言葉にしてあげ、健闘を讃えるような視線を送り


パラドックス「ふむ....それにしてもよく死ななかったものだ。君の健闘を称えて、少しの時間を与えて....そうだな現代のアイリスにのみこの記憶を引き継いで置こう」  

興味深そうな表情を浮かべて、パラドクスなりの贈り物を提供することを決めると、コトリに背をむけ歩いていき


パラドックス「ああ、そうそう。マサキは今回、この過去への扉を開いたものだ。
彼女へは無条件に記憶が引き継がれるからよろしくするよーっ♪」

背中をむけ、歩いていくまま話を続けるもすぐに一瞬で彼の姿は立ち消えてしまい


アイリス「........う....ここは....」

ゆっくりとブルーの瞳を見開き、寝ぼけたような表情でアイリスが目を覚まして辺りを見回し


ーーコトリ視点ーー

コトリ「あっ……うん、マサキさんはそう言ってたね…。

……ん、わかった…過去ではリュネやマサキを救えなかった…なら、未来で私なりに彼女たちを救えたらなって思うよ。
でも、キールさんの安否だけは確かめないと…過去と今のアイリス教官のためにも…。」

パラドクスさんのおかげで、マサキさんの言葉を思い出し…私はこの結末を自分で選択したのだと気づく。

未来に帰ったら、マサキさんのことやリュネのことを考えなきゃと思う…そして過去と未来でキールさんが無事なのか、会うか聞くかして確かめないとと思う。


コトリ「えっ…? あ、あれが…そう…だったの…? ……よかった…本当に…よかった…。

……私が目指してる騎士には程遠いけど…まだ道の途中だけど…いつか、みんなを救えるだけの騎士に…なるよ…。」

今回のことで自分の力のなさを改めて把握し、でもアイリス教官だけは救えて…私は涙目を浮かべて嬉しくなる。

今日のことを忘れず、いつかアイリス教官だけではなく『大切なもの全てを守れる騎士になりたい』…そう、私の目標が少し変わる。


コトリ「ん、それは私も思う…よく死ななかったなって…大切な人をまた失うという恐怖がなければきっと…。
(私の卒業後の進路…決まっちゃったかもね…。)

ん、ありがと パラドクスさん…。」

聖剣に選ばれたのはトラウマあってのことで…今は過去の辛いことも少しだけ報われたなと思い、そして卒業後に私が目指す場所が決まった瞬間でもあって。

いろいろと気を使ってくれ、私はぺこりと頭を下げてパラドクスさんにお礼を言って。


コトリ「あっ…気がついた?
……ごめんね、教官…私が未熟だったから…リュネも…キールさんも…ジェイドさっーーいや、マサキさんも救えなかった…。

…私も…もう少ししたら帰らなくちゃ…いけないんだ……ごめん…アイリス教官を…一人にしちゃうことになって…。」

目覚めたアイリス教官をぎゅっと抱きしめ、私は優しく頭を撫でながらつぶやく。

今起こったことをアイリス教官に全て伝え、私がもう少ししたら過去にはいられなくなると悲しそうな表情で伝える。


ーーーー

アイリス「そっか...ほら、元気ださないとね♪」

コトリからある程度の事情を聞いて事態を察すると彼女に答えるように抱き締め返して、ゆっくりと彼女を見つめ


アイリス「コトリがいなかったら 私やリュネ、他の皆も怪我じゃすまなかったかもしれない…人間は種族ごと滅ぼされてたかもしれない。

私たちのことを助けてくれてありがとう、コトリ♪充分だよ♪後のことは、なるようになる....きっと、みんな大丈夫だから♪」

コトリの手を引いてゆっくりと立ち上がらせてあげ、明るく微笑むと


アイリス「それに寂しくないっていったら嘘になるけど、私にはコレがあるからね。
貴女との約束のためにも、もう少し教官として..頑張ってみるから♪」

右手で胸元のブルーのペンダントに触れて彼女に教官としての職務を続けることを約束していると、だんだんとコトリの姿が薄れ始めているのに気づいて


アイリス「そろそろお別れみたいだね。
....ん♪コトリ。未来の私が、どうなっているのかは今の私にはわからない。

だけど..どんな形でも、未来の私が貴女の助けになることを祈ってる。
本当にありがとう♪また7年後に会おうね♪」

コトリの唇に軽くキスすると、優しく微笑みながら彼女に右手を差し出し握手をもとめ


ーーコトリ視点ーー

コトリ「あっ…アイリス…教官…//
……そっか…アイリス教官がそう言うなら…きっとそうなるね…♪」

アイリス教官に抱きしめ返され、私は頬を赤くして嬉しそうにして。

教官に手を引かれて、私はゆっくりと立ち上がり…アイリス教官の言葉と笑顔に、私は未来に希望を持てて。


コトリ「ん、そうしてくれると嬉しい…アイリス教官は、私にとって…私たちにとって、最高の教官だから…♪
……その…大切にしてくれて…ありがと…私、必ず会いに行くからね…!」

先に逝っちゃった生徒たちの分も、私がアイリス教官にそう伝えて。

ペンダントのことを大切してくれて、私のことも想ってくれて…すごく嬉しくて、私は必ず再会することを約束して。


コトリ「あっ…これって…んんっ…っ…//
うん、待ってて…私はまたアイリス教官の前に現れるから…それで、今度こそ約束も守るから…んんっ…♪」

消えかけてることに私も気づいた時、アイリス教官にキスされて言葉を紡がれ…私は赤くなってもじもじして。

笑って別れようと、私は微笑み…そして握手を交わし、消える瞬間にお返しのキスをアイリス教官の唇へ…。

未来で再会したら、もう一度ちゃんと誓うんだ…今度は絶対にその約束を守るために…私は先には逝かないってことを……。


ーーーー

コトリの姿が完全に消えると後には突き立てられた蒼の剣とアイリスだけが、そこに残りゆっくりと蒼の剣を引き抜くと


アイリス「....キール..」

小さく呟いて蒼の剣をしばらく見つめそれを背中に背負い、腰までの金色の髪が風に靡くなかその場を後にした……。
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