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第2節 過去編 人魔大戦(アイリス)

第45話 アイリスの過去

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コトリがアイリスの執務室に行くとアイリスが椅子に腰掛けていて

アイリス「コトリ。お疲れ様♪ふふ..その様子だと、リュネに挨拶は済んだみたいだね。どうだった彼女は?なかなか変な人でしょ♪」

キールから話を聞いたのか、リュネとのことを察して楽しげな様子を


アイリス「今度の作戦は最後の作戦だけあって、大きなものになるみたいだからね。隊長たちと顔見知りになるのはいいことだしね♪」

立ち上がりながら来客用の椅子に座るよう促し、もう一方の椅子に自分も腰掛けかけると
小さくため息をついて


アイリス「さて....少し会議まで時間あるね。次の戦いに備えてでも、個人的にでも..何か聞きたいことはあるかな?なんでもいいよ♪」

コトリが過去の環境になれたのか気遣うように明るい調子で話かけ


ーーコトリ視点ーー

コトリ「ん、今挨拶してきた。
……そだね、私の知ってるリュネとは少し違ってた。
(未来ではお互いにどう思ってるのか分からないけど、なんでか喧嘩をしていること…決戦も近いし、今は言わないでおいた方がいいかな…?)」

決戦前に未来のことを話してもどうかと思い、リュネのことを一応知っているそぶりだけは見せるだけでとどめておくことに。

出来るならこのまま仲良くし続けて欲しいし、未来の二人には仲直りして欲しい…と思ってもいて。


コトリ「最後…か……。
(パラドクスさんの言葉じゃ…私もここからが本番みたいだけど……。)

ん、そだね……アイリス教官は戦いが終わったら…どうするの…?
キールさんやリュネと一緒にのんびり過ごしたり、何かやりたいことがあったりする…?」

最後の作戦と聞いて、そういえばまだ刻印の原因が判明していないことに気づき…パラドクスさんの言葉もあり、私はあらためて気を引き締めることに。

未来ではアイリス教官は騎士学校の教官になっているけど、過去のアイリス教官は戦いが終わったらどうしたいのかと思い…叶えられるものであれば私が叶えてあげれればな、と思いながら私は聞いてみる。


ーーーー

アイリス「戦いが終わったら、か....人それぞれ考えことは違うよね。

私は....私はやっぱり、キールもリュネもコトリも入れて、お疲れ様パーティーをしたいな♪それからぐっすり眠るんだよ♪
死や、血や、暴力、恐怖の毎日から解放される..きっと最高かな♪」

少し遠くを見つめる様子を見せ、明るい未来に思いを馳せながら微笑み


アイリス「....まずはそれだけだね。それからどうするかは..迷ってるんだよ。騎士を辞めて普通に生きるのもいいのかなっても思うしね。
一生分働いた気もするし....私、これでも結構がんばったんだよ♪?」

少し寂しげな表情をしながも、雰囲気が暗くならないようくまを浮かべた目をウインクして微笑みつつも、机の後ろに飾られたたくさんの写真をみつめ呟くように


アイリス「....私、この戦争が始まる前は王国騎士団・剣術指南役として..未来のコトリと同じように、たくさん弟子をとってたんだ。
....でも、みんな逝っちゃった..私が殺したようなものだよね。....私の指導がもっとしっかりしてれば....みんなは..いまでも、きっと..!」

淡々と感情がない声で何の表情も浮かべず呟いていると、途中でハッと自分が何を言っているのか理解し


アイリス「ご、ごめんね!あ、あはは....喋りすぎちゃったね。今のはなしだよ♪
とにかく、終わったらみんなでパーティーをしよ♪約束してくれるかな?♪」

気まずい様子を見せながら、話題を打ち切ると優しい笑みを見せてコトリにお願いを


ーーコトリ視点ーー

コトリ「ん、パーティー…いいね…♪
それでこれが終わったら…きっとぐっすりと寝れるよ…♪
(ささやかな未来を実現できるよう…アイリス教官のために…私、頑張るよ。)」

アイリス教官がささやかな未来を語ってくれ、私はそれを実現させるためにも頑張ろうと思い。

でも、そこからアイリス教官の雰囲気が変わってきて…。


コトリ「……えっ…? …あっ……。
(これが…アイリス教官の過去…ずっとそんなのを背負って生きてきたんだ……きっと…今も…。)」

そして、語られたアイリス教官の過去。

一瞬戸惑ったけど、少しずつアイリス教官の悲しみを理解でき…ぎゅっと拳を握りしめ、自分も悲しくなって。

きっと今も…未来のアイリス教官も苦しんでる……私に出来ることは何かないか、そんな気持ちが溢れてきて。


コトリ「……今更なしとか無理だから…。
んっしょと……んっ…。」

無理に笑った教官を見て、私は静かに立ち上がると…側に近づいてアイリス教官をぎゅっと優しく抱きしめる。


コトリ「……次 私の前で無理に笑ってたら…怒るから…。
ねぇ、アイリス教官…この戦争が終わったら、絶対 騎士学校の教官になって……7年後に必ず私が入学するから…。

それまでは一人で辛い思いをさせるかもだけど…そこからは私がアイリス教官の側にいてあげる。
それで、アイリス教官の悲しみを…一緒に背負わせて欲しい…。

最初はいっぱい迷惑をかけるけど、その分アイリス教官の悲しみを癒せるように頑張るから…。
絶対 私はアイリス教官より先には死なない…私がアイリス教官を幸せにしてあげる……だから…さ…私が卒業したら結婚しよ?」

無理に笑おうとするアイリス教官に少し怒る…でもきっと私も同じことしたことあるよね? と少し苦笑い。

アイリス教官の悲しみの全部は分からない…でも話を聞いて、私も同じく辛くなったから…。

だからアイリス教官の悲しみを和らげれるのなら…そして、私がそうしたいから…アイリス教官をぎゅっと抱きしめながらプロポーズして。


ーーーー

アイリス「あっ....うん、ごめんね..でも、あったかい..」

コトリに抱き締められると驚いた表情を浮かべ、少し怒られると素直に謝り 安心したように目を閉じて小さく呟き


アイリス「驚いた..結婚かぁ♪
..今の私には貴女が現れてからの記憶しかないから、正直驚いた気持ちが強いけど....コトリが、私のことをすごく大切に思ってることはわかるよ♪ありがとう♪」

優しげな表情を浮かべながら素直に嬉しそうな様子で自分の気持ちを告げ


アイリス「きっと...未来の私なら、2つ返事で即答するんだろうなぁ♪今ほど未来に行きたいって思ったことはないよ♪....7年後は私からプロポーズするね♪楽しみにしてて♪」

最後の決戦を控え、自分に何が起こるかわからないため明確な答えを言うことはないが代わりに未来の自分がプロポーズすることを約束してあげ


アイリス「...必ず、生きて帰ろう♪私との約束だよ?」

微笑みながらもうひとつの約束だよ?と確認を


ーーコトリ視点ーー

コトリ「ん、よろしい。
…と、偉そうなこと言ったけどさ…全部未来のアイリス教官が私にしてくれたことなんだ……だから私はもらった分を返してるだけだよ…♪」

ぎゅっと強く抱きしめたまま、私はアイリス教官の頭を優しく撫でてあげて。

アイリス教官に抱きしめてもらうのも…頭を撫でてもらうのも…すごく安心して大好きだから、と私はつぶやき。


コトリ「誰かを大切に想う気持ちを私を教えてくれたのも、アイリス教官…。

それに、アイリス教官が私を…教え子を本当に大切にする人だから…好かれるんだよ?
だから、そんなアイリス教官を恨むはずがないよ…むしろ、ちゃんと生きなきゃ怒ってくるよ?」

アイリス教官が弟子や生徒を大切に想っているのは知っていて…
だからきっと亡くなってしまったお弟子さんたちは誰も教官を恨むことはなく、むしろその事で苦しんでいられる方がお弟子さんたちが悲しむんじゃないかな? と口にして。


コトリ「そうだったら…嬉しいな…//
あっ…// う、うん…楽しみにしてる…♪
ん…約束する…一緒に、生きて帰ってこよう……♪

(もし、たとえ約束を覚えていてくれなくても…もし、教官が私以外の人と幸せになってたとしても…変化した未来で…アイリス教官が笑ってくれてたら…私はそれだけで……。)」

アイリス教官に逆にプロポーズされることを告げられ、私は赤くなりながら嬉しそうに頷き。

私がこれからどうなるかも分からないし、たとえ死ななくとも未来が変わるかもしれない…
だから私はこれ以上何も言わず、時間が許す限りアイリス教官を抱きしめ続け。


ーーーー

アイリス「そう、なのかな....でも、そうだといいな。
....不思議だね、コトリとはこの前あったばかりだけど....貴女が私を信じてくれるから、私も貴女を信じることができるよ♪....私は幸せものだね♪」

コトリに素直に胸のうちを晒しながら安心したように自分からもコトリの背中に腕をまわし、そのまましばらくすると扉の外から会議の収集を告げる声が


アイリス「..いこうか♪コトリとなら、最後まで戦える気がするよ♪」

ニッと笑って明るい様子でコトリを伴い、会議室へ向かいいよいよその時が始まろうとしているのを実感し、表情を引き締め


ーーコトリ視点ーー

コトリ「そうだよ…教え子さんたちだって…もちろん私も…悲しんでるアイリス教官なんて見たくないし、ずっと笑っていて幸せになって欲しいと思ってるよ…きっと、ね…。

ん…私もアイリス教官が信じてくれるから頑張れるの……ふふっ…私も幸せだよ…♪」

お互いに抱き合いながら微笑み合う。

やっぱり大好きな人には笑っていてもらいたいなと改めて思い、お互いの温もりと幸せを感じながら時間が来て。


コトリ「ん、了解。
……私もアイリス教官と一緒なら…怖くないよ…♪」

戦いが始まるので私はクールな表情になる…でもアイリス教官の言葉を聞き、私も彼女に微笑んで……。
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