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第1節 リュネメイア編

第28話 コトリの過去

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レイン「アイリスさん、落ち着きましたか? 目立った傷もなかったし、媚薬の方も身体から抜けたはずですが…。」

学園の保健室のベットで寝かされているアイリス…
そこへレインたちがやってきて様子を確かめ。

すでにレインに手当てを受け、アイリスの身体は普段となんら変わらない状態に戻っていて。


エリシア「アイリス、君が目覚めるなり勝手に一人で出て行ってしまうからこうなったんだ…少しは反省しなさい。
……まあ、リュネの罠に嵌って生徒を守れなかった私が言えることではないが…な……すまないな…コトリを守ってやれなくて…。」

エリシアは少し怒っているようだ…
どうやらアイリスのことを心配していたようで。

リュネの罠に嵌められてコトリを守れなかったことを申し訳なさそうな表情でつぶやき、頭を下げてアイリスに謝るエリシア。


ーーーー

アイリス「ん..大丈夫みたい。だけど、虚脱感がすごいね..貴女は確か、教会騎士のレインさんかな?貴女の高名はよく聞いてるよ♪

初めまして、騎士学校の教官を勤めてる アイリスです....今回は迷惑をかけてしまい、本当に悪く思ってる..申し訳ありません。」

ベッドから身体を起き上がらせ、いつも通りの表情で挨拶をし、その後 落ち込んだ様子を見せ謝罪を


アイリス「エリシアも、本当にごめん..ううん、私こそコトリを気にかけるあまり隙を作って..その結果だからね」

寂しげな表情をしながら謝罪と彼女に対するフォローをいれてあげ


ーーーー

エリシア「いや…こっちこそすまない……君のことを考えてなかったよ…。」

アイリスが寂しそうな表情をしたのを見て、アイリスも傷ついているのにと思い…
お互いに気まずそうに顔を逸らし。

そこへレインが空気をよんで先ほどの続きを話そうとして。


レイン「軽めとはいえ媚薬漬けにされてたからね、今日は安静にしてるんだよ?
アイリスさん、貴方の名前は聞いてるよ…たまにもらうコトリの手紙に書いてあったからさ、こちらこそコトリがいつも世話になっている。」

レインはアイリスのことを知っていると言い、コトリとも知り合いのような素振りをみせ。

そしてそのことをアイリスが尋ねると、レインはそれに答えることに。


レイン「実はコトリをこの学園に推薦したのは私なんだよ。

教会騎士団が運営する孤児院があることはアイリスさんも知っているよね? 私がそこにたまたま訪れた時にコトリと出会ってね、何回か会ううちに彼女に騎士の才能があるんじゃないかって推薦をしたんだ。」

コトリが前に言っていた騎士とはレインのことで、コトリが孤児院出身だということを聞かされるアイリス。

レインは少し嘘をついているが、今はそれをレインは胸にしまっておく。


レイン「……アイリスさん、コトリが貴方に惹かれていたことは手紙の文面から伝わってきた、それで彼女の過去について少しなら話せるけど…どうする…?

別に…というのなら聞かなくてもいいよ、すでにコトリは貴方を裏切っている…そんな彼女のことを貴方も聞きたくはないだろ?」

コトリの過去を少しだけなら話せるといい、冷たい口調でレインはアイリスの反応を見る。

コトリに裏切られて、アイリスがどんな風にコトリのことを想っているのかが知りたくて。


ーーーー

アイリス「そうなんだ..じゃあ、貴女にとってもコトリは大切な存在なんだね。
うん..私も、騎士の才能は天賦の才があると思うよそれこそ、私が見てきた生徒の中では一番だと思う」 

少し驚く様子を見せながらも、教官としての表情を浮かべながら彼女の言葉に同意し


アイリス「ふふ..♪レインさん、私は教官なんだよ。私はコトリに裏切られたなんて思ってない。
生徒に反発されるのは慣れてるし..生徒が、ダメなことをしたら、それは教育がちゃんとできず生徒を導けなかった教官の..私の責任。

これから、コトリを正しく導けるかどうかはわからないけど..、導くためにも、彼女のことは知りたいと思う。レインさんが良ければね」

レインの冷たい問いかけに、小さく笑いながらも芯の通った寂しげな口調で語り、しっかりと彼女をみつめ


ーーーー

レイン「ええ、彼女は私にとって…実の娘のような存在なの…。
そう……なら私が知っているコトリのことを話そう、他のみんなも聞いておきたければ聞いていても構わないからね。」

コトリやアイリスたちにまだ隠していることがあるレイン…
その言葉には本当に思っていることと、違う意味も少し含まれていて。

アイリスの意思にレインは頷き、自分が知っているというコトリのことを話し始めて…。


レイン「彼女が教会の孤児院に来た理由は、彼女の家庭環境にあったらしい。
…詳しくは知らないが、彼女の父親の行方が蒸発し、その後に母親が病死したのが理由だ。

どうやら父親はもともとロクでもない奴だったらしく、女とともに消えたらしい…
さらには子供だった彼女の身体に黒魔術を施し、コトリを宿主として魔族をおろしたみたいなの…。」

レインの話を聞いて、コトリの身体から溢れ出てくる黒い魔力をアイリスは思い出す。


レイン「幸いにもその魔族は危害とかそういうのが一切なく、魔族だったこと以外 自分が何者であったかも忘れ、今ではコトリの別人格みたいな感じで存在してる。
魔族の人格は 黒コトリ…通称クロ…そして貴方たちが知る普段の彼女のことは 白…まあ普通にコトリ と私は呼んでる。」


レイン「危害はないとはいえその力を怯えられたり恐怖されたりし、そして父親のこともあり…彼女はどこの街でもどの人とも馴染めなくて、教会騎士団の施設である孤児院にやってきた…。
表向きは家庭の事情から…でも裏の理由としては、魔族の力を持つ彼女の監視…も理由に含まれてる。」


レイン「……これが私の知るコトリの過去だ。
実際に彼女がどんな状況に置かれ、どんな目にあってきたか私は詳しくは知らない…
だが 今のコトリのことが教会の…《あいつら》に知られれば、どういう処置を下すかはだいたい把握できる。
だから私はコトリが間違ったことをする前に、無理やりにでも連れ戻すつもりだ。」

教会の孤児院に来る前からレインはコトリのことを知っていたが、今はそれを話はしない…。


ーーーー

アイリス「魔族をおろす...それって禁術だね。他にもいろいろと聞きたいことがあるけど..コトリにそんな過去があったなんてね...」 

コトリの過去の話を聞きながらも、あの不規則、不安定だが莫大な魔力を思いだし小さく呟き


アイリス「黒と白...それに孤独..教会に、監視...うん。だいたいの事情はわかった。話してくれてありがとう♪
....そっか、うん....レイン、貴女は具体的にどうするの?すぐに出るのかな?」

レインから話しを聞いてもたいして驚いた様子もみせず、小さく笑い彼女にお礼を言いつつも人差し指を考えこむような仕草をしながら、質問を返し


ーーーー

レイン「その辺りのことは、直接本人に聞くといいよ……彼女がどんな想いを抱えているのか、私も知らないからね…。

……気にしないで、私が勝手に話したことだから。
まだ出ない…が、明日の午後には準備を整えてリュネとコトリのもとへと向かうつもりだ。
とりあえず一晩 アイリスさんは安静にしているように、それじゃあ私は失礼するね…。」

知らないのはそうだが、これ以上 勝手にコトリのことを話すつもりはないとつぶやく…
彼女は知られたくないかもしれないし、自分から話したいだろうとコトリのことを気遣ったからだ。

コトリのことを想ってみんなに話をしたのだが、そんなことは表情には出さなく…
レインは準備をするのか、そのまま素っ気なく部屋を出て行く。

レイン自身は何も言わず、話を聞いたアイリスが自分からどう動くのかを知りたかったからだ。


エリシア「……それでアイリス、君はどうするつもりなんだ?
君のことだから生徒が大事と言ってレインについて行くと申し出るのだろうが…コトリは君に酷いことをし、おそらく今度も容赦なく君を傷つけにくるんだろうな…。」

セイバー「でもそれってリュネって人がコトリさんを惑わしているからですよね? ならその原因を取り除けば……。」

エリシア「そんな簡単なものじゃないのさ…今は心を閉ざしていたり、快楽に溺れたりしているからいい…
だけど正気に戻って今まで自分がしてきたことの重さに気づけば精神が不安定になって、下手したら心が壊れてしまう可能性もある…。

私自身もかつてはそうなりかけたところを学園長…マリスに救われた身だからな。
まあ…彼女の場合はそれだけが理由ではないだろうけど…。」

エリシアとアイリスのやりとりにセイバーも口を挟み、エリシアはそう簡単ではないと説明する。

自分は過去に今のコトリより酷い、徹底的な奴隷へと堕とされたことをつぶやき。
そして、コトリは自分とは違う理由もあるとつぶやき。


ーーーー

アイリス「そっか。....うん、わかった。いろいろありがとう。気をつけて」

レインに感謝の言葉をつげて彼女を気遣いながら見送り


アイリス「ん?ふふ、もちろんもう一度行くよ♪..それに傷つくのは全然構わないよ....それも教官の仕事だし、コトリを取り戻したいのは私の意志だからね。
それに....気づいたことも、あるから」

さも当たり前でしょとゆう表情で笑いながらエリシアに返答し、力強い声で彼女なりの言葉を話し


アイリス「でも....どうやってコトリの心を動かせるのかな..正直、ちょっと不安だね..」

エリシアの言葉を受けコトリにも精神的不安の少ない戻しかたを考えるが、あまりいい方法は浮かばずに少し悩む様子を


ーーーー

エリシア「そうか…君は強いなアイリス。
私はマリスや君みたいに強くはない…だが戦闘面ではサポートさせてもらう、だから君は君の思う通りにやるといい。」

セイバー「私もその強さが羨ましいです…。
アイリス教官、私も協力させていただきますわ……コトリさんとはまだ…ちゃんと友達になれてませんし…。」

アイリスの言葉を聞いて、エリシアやセイバーはアイリスとマリスの心の強さを羨ましくなる…
戦闘面くらいなら少しでも役に立とうと、エリシアとセイバーは一緒について行くと言ってアイリスを勇気付ける言葉をかけて。


エリシア「不幸中の幸いにも、私の場合は仲間の女騎士たちを傷つけたり 捕らえたりしなかったことだな…
逆に徹底的に快楽を教え込まれ、仲間の女騎士たちの前で玩具にされて辱められたくらいだ……マリスを傷つけそうになったが…。

心を動かせたあとのケアも大切だ…アイリスやモニカにセイバーもちゃんと考えておいた方がいい。

そうだな…それについては学園長、マリスの方が詳しいかもな…
マリス、アイリスにな何かアドバイスをしてくれないか? 私じゃ何を教えていいか…。」

エリシアはマリスが自分にしてくれたケアを少し語り、申し訳なさそうな表情をしてマリスにお願いしてみる。


ーーーー

アイリス「強くなんかないよ。ただ、そうありたいなって思ってるだけ..うん、二人ともありがとう♪」

二人の言葉をうけ、瞳を閉じ小さく呟いてもう一度瞳を開いて感謝の念を伝え


アイリス「そうだね..正気に戻した後については、私も同意見だよ。わかった..学園長、貴女の意見が聞きたいです」

マリスミゼルの方を見ると彼女はゆっくりと口を開き


マリスミゼル「....あの時は必死でしたからね。なにを..といわれても、具体的なアドバイスは送れません。
ただ..アイリス、貴女が本当にコトリの事を思うのなら..貴女の心の思いを、考えを彼女に伝えて..コトリを信じることです。そうすれば..必ず結果はでると私は思います」

当時の戦場でのエリシアと自分を思い出しながらも、エリシアを正気に戻した同じ方法をとったとしてもそれは真似でしかないと判断し、セイバーもいるため、当時の真相は語らず、アイリスを信じて彼女にアドバイスを送り


アイリス「..わかりました。ありがとう、学園長。全力を尽くします。」


ーーーー

エリシア「ふっ…君はじゅうぶん強いさ。
気にすることはない、後輩教官の手助けをする…これくらいは先輩教官として当たり前だからな…♪」

セイバー「モニカ、貴方はフレイ教官と一緒に学園に残りなさい。
貴方の身に何かあったら…私は…。」

エリシアは先輩としてこれくらいしないとな…と、アイリスに微笑みながら言う。

セイバーはモニカのことを心配し、モニカに学園に残るように言って…
初めて出来た友達で大切に想う人、そんなモニカが傷ついたりしたらセイバーは耐えられなくて。

そしてアイリスとマリスの話、それにセイバーとモニカの話が済むとみんなアイリスを気遣い部屋を後にして。


ーーーー

アイリス「うん..ありがとう♪」

モニカ「わかりました..みんな、必ずコトリちゃんを連れて帰ってきて下さいね♪
信じて待ってますから♪..さ、それじゃあ行きましょうか」

セイバー「ええ…モニカさんの大切なお友達は、私たちが連れて帰ってきますわ…♪
(モニカさんには笑ってもらっていたい……この笑顔を守るために私も頑張らなければ…。)」

セイバーはモニカの頭を優しく撫でながら穏やかに微笑み。
初めて自分に出来た友達であるモニカの役に立ちたい…そう思ったセイバー。

モニカは明るい表情で信頼の言葉を返し、明日のために部屋を出るよう促し、アイリスの部屋から退出すると


………。

アイリス「あの時....」

考えこむようにしてコトリに調教されていた当時のことを思い出す....
至上の快楽と、調教され雌の喜びを仕込まれた気持ちよさを実感した....


アイリス「でも..」

コトリの方を見ると少しさみしそうだったかも。そんなに、愛されてたなんて知らなかったな....でも、私だって..あの子のことを考えるとそわそわするし、笑ってほしい、これがきっと..好きっ..てことだよね..


アイリス「..明日は、勝負なんだよね。はやく寝よう....」

レインに言われた通り、アイリスはベットの上で安静にして眠りについて一晩を過ごし……。
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