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へっぽこ姫の仲良し作戦⑨ 九章 恋愛編

王位継承式・小さなへっぽこ姫と出会った

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あれから三年が経ち、明日は王位継承式……。
ガーネット兄様が新しい王としての式典!

私は二つある満月を眺めた…

「……ガーネット兄様が新国王…」

それまでハウライト兄様を国王にと反対派だった貴族達の説得や、ガーネット兄様の仕事ぶり、民からの信頼、そして婚約者である次期この国の王妃となるレモン姫が親交のある隣国の姫であり聖女でもあるという事もあり、皆納得していった。ごく一部では、私を女王に!という声も上がってたみたい。

私はベッドのそばにあるマシュマロのお菓子が入っている瓶を手にとる。

「……本当に…原作と違う結果になったんだ」

昔湖に溺れて前世の記憶を思い出してから、本当に色々あったなあ。

明日は賑やかになりそう!…それにしてもなんか忘れてる事があるんだよね。昔、何かを忘れてるような……。私は眠たくなったので、マシュマロ人形とマシューとクロに似た人形の頭を撫でて深い眠りについた。



次の日、各国からの来賓客がお祝いにきてくれた。
プリちゃん達は勿論だけど、ハナナ女王やナグサ王も!

「エメラルド姫!」

「ん?」


呼ばれる声の方へと振り向くと、ナグサ王の隣にいた小麦色肌の青年で、肩には小さなサソリを乗せてる。目は好き透るような青い目……服装は白い服装に白い麻布を腰に巻いている…あれ?この青年はもしかして…

「ロータス皇子?」

そう私が話すと彼は嬉しそうに私の手の甲にキスをして挨拶をしてくれた。

「エメラルド姫!とても美しくなられて…俺あれからずっと君を思っーーって、痛い!父上!なんだよ!?」

「ロータス!何度も言うが、死にたくなければ俺についてこい!」

「ちょっ!いたたた!わかったから!エメラルド姫!ま、また!夜のパーティーで!!!」

「うん、来てくれてありがとう」

そうロータス皇子と軽く挨拶を交わした後、私は昨夜から何かを忘れてるようなそうでもないような事をずっと考えていた。気のせいかな?

「エメラルド」

「あ、パパ。もう始まるんだね」



王位継承式が始まった。綺麗な薔薇が沢山飾られて、沢山の人達に囲まれながら、パパは王冠をガーネット兄様の頭へと被せる。ユー君は号泣しており、そんなユー君を呆れた顔で少し離れて騎士達と並ぶブラッドの姿もみかけた。

レピさんは安心したかのように、進行を進めてくれて、オーロラ嬢も式典に参加しており、嬉しそうにしていた。

パパもガーネット兄様も相変わらず無表情だと大抵の人は思ってるだろうけど、パパは少し緊張君でガーネット兄様はパパが何かしでかさないかハラハラしている状態の顔だった。

私の隣にいるハウライト兄様はクスッと笑いだしながら

「なんだかんだ、ガーネットも緊張はしてるみたいだね」

「ふふ、そうみたい」

無事王冠を譲りうけたガーネット兄様は、壇上に立ち上がりみんなに姿を見せ、ワァと貴族達や騎士達、各国の王達からのお祝いの言葉が沢山聞こえた。

私はなんとなくチラッと拍手をしているハウライト兄様を見た。嬉しそうにしていて、ハウライト兄様は私の視線を感じたのか、ポンポンと頭を撫でてくれた。

「ハウライト兄様…未だに頭を撫でられるのって結構恥ずかしいよ?」

そう私がハウライト兄様に話をしていると、小さな女の子と男の子が新しい王となったガーネット兄様に沢山の薔薇の花束を渡しお祝いをしていた。

「んー、エメラルドは今でも小さなお姫様なんだけどね」

そう、からかうハウライト兄様に私は頬を膨らませる。小さなお姫様…うん、私もアレぐらいの時はあったなあと、なんとなく小さな女の子を見てハッ!!と思い出した。


「…あれ!?」

私……昔、小さな頃不思議な体験しなかったかな?そう考えた時、城のメイド数人が私の方へ話しかけてきた。

「あ、あの、姫様、変なお話かもしれませんが、少しよろしいですか?」

「ん?うん、式典はもう終わって後はガーネット兄様が国民に顔をだすぐらいだし…どうしたの?」

「城内が少し騒ぎがありまして、メイド長のアン様は今育児休暇中でご不在な為、確認が出来ないのですが…どうも姫様に似た女の子がウロウロと歩いてるみたいなんです。遠いご親戚の方でしょうか」


ん???


私は完全に思い出した!!!

昔小さかった頃、古びた時計を触った瞬間未来らしき場所へと行ったことがあるんだった!
今が…それ!?


「ねえ、その女の子!どの辺でみかけたの!?」

私が慌てるとハウライト兄様は首を傾げながら声をかけてきた。


「え?エメラルド、何処へいくの?」

「ハウライト兄様!ごめんなさい、私用事があるわ!パパ達に少し遅れると伝えて!」


そうハウライト兄様に言い残してメイド達に案内されるものの、その女の子はすでにいなかった。

「……エメ?」

「…あれ?リビア。式典には参加しなかったの?」

沢山古い本を持っていたリビアと偶然出会い、リビアは話した。

「僕は参加するべきの立場じゃないし…それにどうしてもこの借りていた本を早く図書室に返しておきたくて……ガーネット王子が新しい王となった機会に…僕は母上と旅をしようと思ってる」

「……旅?」

リビアはニッコリと笑いながら、頷く。

「…マシュマロ屋さん…マシュマロ屋さんを開きながら旅をするんだ。沢山傷つけた国、人々への懺悔…マシュマロ屋さんはいいアイディアでしょ?」

「…昔…私が言ってたの覚えてくれてたんだね」

私の昔の…小さな頃の夢はマシュマロ屋さんだった。その事をリビアは忘れていなかったんだ……。


「ハッ!図書室だったんだ!」

私はリビアが図書室へ行こうとしていた姿を見て、昔私は図書室にある部屋に入り時計を見つけたんだ!

「エメ?どうしたの?」

「よくわからないけど、多分《私》がいるかもしれないの!」

「??」

私が慌てた様子で走るのをリビアは追いかけてきてくれた。図書室へ入り、古びた本が置いてある部屋へ入ると、錆びれた時計がひび割れて床に転がっていた…そして何故か…小さなマシュマロが一つ二つ…廊下へと続いていた。私はコロコロと転がっている甘い香りがするマシュマロを追っていく。


廊下の方へと落ちているマシュマロを一つ一つ拾っていく先には、とても懐かしい姿が見えた。

瞳は緑色で薄い茶色のくるくるとした髪の毛の小さな女の子を見つけたと同時に城内や町は賑やかで歓声が聞こえてきた。

“新国王の誕生だ!“

“バンザイ!新国王バンザイ!“


そんな歓声が聞こえたからなのか、その小さなお姫様は驚いていた様子の表情をしていた。

「新国王ー??えー?」



私はゆっくりとビックリさせないようにゆっくり歩き話かけた。

「あら、ここにいた迷子さん」

小さなお姫様は振り向き私を見て固まる。

「…ママ…?」


過去の私があの錆びれた時計の魔力で、時を超えてきたようだ。今更思い出して、なんで忘れてしまったんだろう?

私はただニッコリと、小さな私に微笑みかけた。


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