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へっぽこ姫の仲良し作戦⑧ 八章 家族編
リビアの告白とエメラルドの秘密
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淀んだ空気と暗い森の奥の古城にモルガ達はひっそりといた。軍が着々と増えていくその光景をモルガは満足そうに見ていた。そんなモルガの様子をひっそりと後ろで、やつれた顔で見つめていた女性、リビアングラスの母がいた。
「………モルガ……」
そうモルガに掠れた声で話をかけるとモルガはその存在に気づき、煩わしそうな顔をしていた。
「……ガーベラ。なんだ?」
「…私の息子は…どこ?」
「………ハッ。死んだだろう。忘れたのか?化け物だと毎日アイツに向かって叫び続けてたのに正気に戻ったか」
「…ち、違う……私は…っ…うぅ…私の子を…返して頂戴…私…あの子を傷つけたの…いい母になれなかった……沢山叩いてしまった。沢山の罵声をあの子に…何も悪くないあの子に……モルガ…私達はもう一度あの子と向き合うべきよ………私…貴方の事も……大切なの…だから…お願いだから…」
ペタンと弱々しくモルガに頭を下げるガーベラにモルガは笑いながら
「あぁ、でももう少しで何もかも上手くいく。もう一度全て消せば、私が一番の神になれば、何もかも上手くいく」
そう語るモルガにガーベラはただ泣いていた。その時、マートルが現れた。グスグス泣いているリビアングラスの母、ガーベラを見てペコリと頭を下げてからモルガの方へ向きなおる。
「モルガ様、ピーター国王を捕らえました。案外簡単でしたよ。ちょっと金髪の王子に手こずりましたけどねー」
「よくやった」
「闇の力を倍以上飲ませみたら、今はぐったりですね。てか何故国王を選んだんですか?最初はあの赤い髪の王子を生贄にしてリビアングラス様の糧になるようにしてたのに」
そうマートルは不思議そうに質問をするとモルガは
「マートル、お前はこの世界は好きか?」
「……クソ大っ嫌いですね」
「私もだ。そしてあの第一王子もそうだったと思うが……一番深い闇を抱えてるのはあのピーター国王だ。力は私よりあり、真っ向に闘ったら負けるが、少し手を加えれば扱いやすいのはあの国王だ」
ニヤリと笑うモルガにマートルは感心したように
「なるほど!素敵な化け物になるんですね!化け物になった姿をあのチビ姫に見せたら、どんな顔するか楽しみになりました!…あぁ、自ら自分の国を滅ぼす姿は、見ててゾクゾクしちゃうわぁ…」
そんな二人の会話を聞いていたガーベラは震えながら、その場を立ち去った。ふらふらと歩き、自分の胸ポケットにしまっている、透明の液体を飲みながら正気を保ちながら
「……リビ…っ!」
そう呟きながら急いで何処かへ向かっていた。
スターダイオプサイト国の全国民は避難の為各それぞれ、協力してくれている同盟国へと向かう準備をしていた。沢山の兵の数と騎士団達はバタバタとこのお城を…国を守る準備を慌ただしくしていた。
「……本当に戦争がはじまっちゃうんだ」
私は城の一番高い塔の上から、景色を見つめていた。その時フワッとリビアが現れた。
「…リビア!」
ニコッと優しい笑顔で私と一緒に景色を見るリビアは
「不安な顔をしている」
「うん、怖いからねっ」
「…だけど、エメは逃げないね。みんなにエメだけでも国民と一緒に避難するよう言われてたのに、ここに残るんだもの」
「兄様達が闘うんだもん!私が兄様達を守らなきゃ!あ、マシュマロ食べる?へへ、アンにね、マシュマロ一個から10個までお許し貰えたんだあ~♩」
私がマシュマロをあげると、リビアはクスクス笑いながら何かを決意したかのように
「…僕…もう一度父上と…会って話してみるよ。前みたいな力はないけど。怖がらずに…そして間違ってると。母上と一緒に…家族三人で罪を償おうと話してみるんだ」
「…うんっ!大丈夫だよ!リビアに3つマシュマロあげる!パパとママとリビアでマシュマロを仲良く食べて!」
「…ありがとう」
リビアは頰を赤らめながら
「…僕ね、この前のデビュタントでエメと踊れて本当に嬉しかった」
「うん!私も!マシュマロのお菓子も沢山食べれてハッピーだしね!」
「ふふ、マシュマロもそうだけど……エメが…初めてデビュタントで踊る相手が僕だということが一番嬉しかったんだ」
リビア…そんなに踊るの好きだったかのかな?うん、リードも上手だったしね!
「もし」
「うん?」
「…もし、全てが終えたら……もう少し僕もエメも大人になったら…ずっと僕の隣にいて欲しいな」
サアと暖かい風が吹いた。
「ふぁ?」
ポロッと食べていたマシュマロを落としてしまい、私はリビアを見た。
え?えーと……ずっと?ずっとっていつまで?なんかこれって…いや、まさか。リビアはオーロラが好きなはず?よね?あれ??これは、あの、
「like」でなく、「love」なほう??うん???!
私が混乱していると、リビアはクスクス笑いながら
「いつか…エメとマシュマロ屋さんをしたいからね。君は僕にとって特別な子だから」
「私は、えーとマシュマロ屋さん」
「うん、エメの夢だね。僕の夢は君の隣にいたい事」
「…えと…あのー、うん、リビアはオーロラが好きなはずだよね?」
「あははっ!違うよ。あの子はいい子だけど…エメはさ、周りをもう少し見てみなよ。マシュマロだけじゃなくてね」
私の鼻を人差し指でツンとしたリビアは、ニコッと笑い、フワッとまたその場から立ち去った。えーと…私は約30分立ったままボーゼンとしていた。
「…………ハッ!マシュマロ一個勿体ない事しちゃった!」
そう私はマシュマロを拾って兄様達の元へ向かった。リビアの話は、えーと…とりあえずまたリビアに会ってからにしよう!!私はガーネット兄様とハウライト兄様にどうしても話したい事があるからね!
「ガーネット兄様!ハウライト兄様!」
二人はパパの書斎で手分けをして、色々と話し合いやら作戦を立ててたみたい。レピさんは、現在同盟国への王達と連絡をしているようで不在だった。
「やあ、可愛いエメラルドはどうしたんだい?あまり、むやみやたらに動き回らないでね」
「うん、ハウライト兄様とガーネット兄様にね、えとね……大事なね、すごーく大事なお話があるの!」
二人に話さないといけない事がある。本当はパパもいたら、、きちんと話さなきゃいけないんだよね。今なら…今話すべきだと思った。
私の前世の記憶のお話…。
ガーネット兄様達は何かを察してくれたのか近くにいた執事や騎士団達に下がれと命じて、三人だけの話しあいを作ってくれた。
「……話とはなんだ?」
「エメラルドが真剣な表情で僕達に話って気になるね」
二人に話したら、頭がおかしいって思うかな?実はこれ、前世で見た小説にめちゃくちゃそっくりなんですー!私は違う世界の前世の記憶覚えてまーす!なんて…言ったら…引いてしまうかな。
「…変な子と思われるかもしれないけどね…」
モジモジとして、なかなか話せない私を二人は黙って待ってくれていた。
「……き、嫌わないで聞いてね、ほしいことなんだけどね…」
私は口に出した。今までの事、前世の記憶の事。本来私は死ぬキャラだった事、など。
多分、一時間くらい私は話した。ガーネット兄様もハウライト兄様も何も言わずただ黙って聞いてくれた。
「…で、終わりですっ!」
話終えると、私は二人の顔を見る勇気はなく目をつぶったままだった。やっぱり、頭おかしい子って思われるかな?そう思っていた時ガーネット兄様が
「……エメラルドはこの世界が嘘だと思うか?」
「え!違うよ!嘘じゃない!!現実!みんな大好き!!」
「ならば問題ない」
え?すんなりと受け入れてくれた??ガーネット兄様は私を真っ直ぐ見つめてくれた。
ハウライト兄様は私の頭を撫でてくれて
「……僕達が不甲斐ないばかりに、エメラルドに沢山迷惑かけちゃったね。一人で…よく耐えてたね」
「………おかしな子だと……思わないの?」
二人は私に笑いかけながら
「「可愛い妹で大事な家族なのは変わりない」」
そう言ってくれて、私は何故かポロポロと涙が出て二人を抱きしめた。
怖かった。死ぬ事も家族に嫌われる事も。力もなく自分や周りを守る事が出来ない自分に苛立っていた。みんなで仲良く!って無理かもしれないかと心の奥で自信がなかった。マートルに前言われた事がどんなに悔しかったか、、、
だけど…やっぱり、私はこの世界に生まれてきて家族に出会えてとても嬉しくて、幸せなんだ。
「…へへ。やっぱりガーネット兄様もハウライト兄様も私の自慢の兄様だね!」
ハウライト兄様はクスクス笑いながら
「あ、でも僕はヒーローなんだよね?で、ガーネットが悪役だっけ」
「…ふん、貴様の方が悪役が似合うと思うけどな」
「二人共、カッコいいよ!」
ガーネット兄様は
「…三人で父上を助けよう」
「うん、そうだね。絶対に…」
「また家族でピクニック行こうね!!」
そう私達は笑いあいながら話した。
「それにしても、やっぱり最初にこのお話をしてくれたのは僕達が一番ってことだね!」
そう嬉しそうに話していたハウライト兄様に、私はピンと思い出した。
「あ。最初じゃないよ?うーんとね、プリちゃんが一番かも!あまりわかってないかもだけど!」
そう二人に話していたら、何やらショックだったのか固まっていた。とりあえず私はお仕事で疲れている二人に美味しい紅茶をメイド達に頼み、マシュマロお菓子も沢山用意した。
ハウライトは横にいたガーネットに
「……ねぇ、ガーネット。一番無害そうな、あの隣国の王子こそ手強い気がしてきたよ」
「…なるほど。プリムラか」
そう二人は、フゥとため息を出し何やら呟いていた。
「………モルガ……」
そうモルガに掠れた声で話をかけるとモルガはその存在に気づき、煩わしそうな顔をしていた。
「……ガーベラ。なんだ?」
「…私の息子は…どこ?」
「………ハッ。死んだだろう。忘れたのか?化け物だと毎日アイツに向かって叫び続けてたのに正気に戻ったか」
「…ち、違う……私は…っ…うぅ…私の子を…返して頂戴…私…あの子を傷つけたの…いい母になれなかった……沢山叩いてしまった。沢山の罵声をあの子に…何も悪くないあの子に……モルガ…私達はもう一度あの子と向き合うべきよ………私…貴方の事も……大切なの…だから…お願いだから…」
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「あぁ、でももう少しで何もかも上手くいく。もう一度全て消せば、私が一番の神になれば、何もかも上手くいく」
そう語るモルガにガーベラはただ泣いていた。その時、マートルが現れた。グスグス泣いているリビアングラスの母、ガーベラを見てペコリと頭を下げてからモルガの方へ向きなおる。
「モルガ様、ピーター国王を捕らえました。案外簡単でしたよ。ちょっと金髪の王子に手こずりましたけどねー」
「よくやった」
「闇の力を倍以上飲ませみたら、今はぐったりですね。てか何故国王を選んだんですか?最初はあの赤い髪の王子を生贄にしてリビアングラス様の糧になるようにしてたのに」
そうマートルは不思議そうに質問をするとモルガは
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「……クソ大っ嫌いですね」
「私もだ。そしてあの第一王子もそうだったと思うが……一番深い闇を抱えてるのはあのピーター国王だ。力は私よりあり、真っ向に闘ったら負けるが、少し手を加えれば扱いやすいのはあの国王だ」
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「なるほど!素敵な化け物になるんですね!化け物になった姿をあのチビ姫に見せたら、どんな顔するか楽しみになりました!…あぁ、自ら自分の国を滅ぼす姿は、見ててゾクゾクしちゃうわぁ…」
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そう呟きながら急いで何処かへ向かっていた。
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「……本当に戦争がはじまっちゃうんだ」
私は城の一番高い塔の上から、景色を見つめていた。その時フワッとリビアが現れた。
「…リビア!」
ニコッと優しい笑顔で私と一緒に景色を見るリビアは
「不安な顔をしている」
「うん、怖いからねっ」
「…だけど、エメは逃げないね。みんなにエメだけでも国民と一緒に避難するよう言われてたのに、ここに残るんだもの」
「兄様達が闘うんだもん!私が兄様達を守らなきゃ!あ、マシュマロ食べる?へへ、アンにね、マシュマロ一個から10個までお許し貰えたんだあ~♩」
私がマシュマロをあげると、リビアはクスクス笑いながら何かを決意したかのように
「…僕…もう一度父上と…会って話してみるよ。前みたいな力はないけど。怖がらずに…そして間違ってると。母上と一緒に…家族三人で罪を償おうと話してみるんだ」
「…うんっ!大丈夫だよ!リビアに3つマシュマロあげる!パパとママとリビアでマシュマロを仲良く食べて!」
「…ありがとう」
リビアは頰を赤らめながら
「…僕ね、この前のデビュタントでエメと踊れて本当に嬉しかった」
「うん!私も!マシュマロのお菓子も沢山食べれてハッピーだしね!」
「ふふ、マシュマロもそうだけど……エメが…初めてデビュタントで踊る相手が僕だということが一番嬉しかったんだ」
リビア…そんなに踊るの好きだったかのかな?うん、リードも上手だったしね!
「もし」
「うん?」
「…もし、全てが終えたら……もう少し僕もエメも大人になったら…ずっと僕の隣にいて欲しいな」
サアと暖かい風が吹いた。
「ふぁ?」
ポロッと食べていたマシュマロを落としてしまい、私はリビアを見た。
え?えーと……ずっと?ずっとっていつまで?なんかこれって…いや、まさか。リビアはオーロラが好きなはず?よね?あれ??これは、あの、
「like」でなく、「love」なほう??うん???!
私が混乱していると、リビアはクスクス笑いながら
「いつか…エメとマシュマロ屋さんをしたいからね。君は僕にとって特別な子だから」
「私は、えーとマシュマロ屋さん」
「うん、エメの夢だね。僕の夢は君の隣にいたい事」
「…えと…あのー、うん、リビアはオーロラが好きなはずだよね?」
「あははっ!違うよ。あの子はいい子だけど…エメはさ、周りをもう少し見てみなよ。マシュマロだけじゃなくてね」
私の鼻を人差し指でツンとしたリビアは、ニコッと笑い、フワッとまたその場から立ち去った。えーと…私は約30分立ったままボーゼンとしていた。
「…………ハッ!マシュマロ一個勿体ない事しちゃった!」
そう私はマシュマロを拾って兄様達の元へ向かった。リビアの話は、えーと…とりあえずまたリビアに会ってからにしよう!!私はガーネット兄様とハウライト兄様にどうしても話したい事があるからね!
「ガーネット兄様!ハウライト兄様!」
二人はパパの書斎で手分けをして、色々と話し合いやら作戦を立ててたみたい。レピさんは、現在同盟国への王達と連絡をしているようで不在だった。
「やあ、可愛いエメラルドはどうしたんだい?あまり、むやみやたらに動き回らないでね」
「うん、ハウライト兄様とガーネット兄様にね、えとね……大事なね、すごーく大事なお話があるの!」
二人に話さないといけない事がある。本当はパパもいたら、、きちんと話さなきゃいけないんだよね。今なら…今話すべきだと思った。
私の前世の記憶のお話…。
ガーネット兄様達は何かを察してくれたのか近くにいた執事や騎士団達に下がれと命じて、三人だけの話しあいを作ってくれた。
「……話とはなんだ?」
「エメラルドが真剣な表情で僕達に話って気になるね」
二人に話したら、頭がおかしいって思うかな?実はこれ、前世で見た小説にめちゃくちゃそっくりなんですー!私は違う世界の前世の記憶覚えてまーす!なんて…言ったら…引いてしまうかな。
「…変な子と思われるかもしれないけどね…」
モジモジとして、なかなか話せない私を二人は黙って待ってくれていた。
「……き、嫌わないで聞いてね、ほしいことなんだけどね…」
私は口に出した。今までの事、前世の記憶の事。本来私は死ぬキャラだった事、など。
多分、一時間くらい私は話した。ガーネット兄様もハウライト兄様も何も言わずただ黙って聞いてくれた。
「…で、終わりですっ!」
話終えると、私は二人の顔を見る勇気はなく目をつぶったままだった。やっぱり、頭おかしい子って思われるかな?そう思っていた時ガーネット兄様が
「……エメラルドはこの世界が嘘だと思うか?」
「え!違うよ!嘘じゃない!!現実!みんな大好き!!」
「ならば問題ない」
え?すんなりと受け入れてくれた??ガーネット兄様は私を真っ直ぐ見つめてくれた。
ハウライト兄様は私の頭を撫でてくれて
「……僕達が不甲斐ないばかりに、エメラルドに沢山迷惑かけちゃったね。一人で…よく耐えてたね」
「………おかしな子だと……思わないの?」
二人は私に笑いかけながら
「「可愛い妹で大事な家族なのは変わりない」」
そう言ってくれて、私は何故かポロポロと涙が出て二人を抱きしめた。
怖かった。死ぬ事も家族に嫌われる事も。力もなく自分や周りを守る事が出来ない自分に苛立っていた。みんなで仲良く!って無理かもしれないかと心の奥で自信がなかった。マートルに前言われた事がどんなに悔しかったか、、、
だけど…やっぱり、私はこの世界に生まれてきて家族に出会えてとても嬉しくて、幸せなんだ。
「…へへ。やっぱりガーネット兄様もハウライト兄様も私の自慢の兄様だね!」
ハウライト兄様はクスクス笑いながら
「あ、でも僕はヒーローなんだよね?で、ガーネットが悪役だっけ」
「…ふん、貴様の方が悪役が似合うと思うけどな」
「二人共、カッコいいよ!」
ガーネット兄様は
「…三人で父上を助けよう」
「うん、そうだね。絶対に…」
「また家族でピクニック行こうね!!」
そう私達は笑いあいながら話した。
「それにしても、やっぱり最初にこのお話をしてくれたのは僕達が一番ってことだね!」
そう嬉しそうに話していたハウライト兄様に、私はピンと思い出した。
「あ。最初じゃないよ?うーんとね、プリちゃんが一番かも!あまりわかってないかもだけど!」
そう二人に話していたら、何やらショックだったのか固まっていた。とりあえず私はお仕事で疲れている二人に美味しい紅茶をメイド達に頼み、マシュマロお菓子も沢山用意した。
ハウライトは横にいたガーネットに
「……ねぇ、ガーネット。一番無害そうな、あの隣国の王子こそ手強い気がしてきたよ」
「…なるほど。プリムラか」
そう二人は、フゥとため息を出し何やら呟いていた。
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