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へっぽこ姫の仲良し作戦⑧ 八章 家族編
意外な人物との出会い
しおりを挟む真っ黒な状態のエメラルドの姿は徐々に肌色に戻り、頰が赤くなり息を吹き返した。そんなエメラルドの様子にユーディアライトとブラッドは
「オーロラ嬢!姫様は無事なんですね!?」
「…顔の色が戻ってきた!助かるのか!?」
そうオーロラに問いかけるものの、フルフルと首を横にふり、オーロラは難しい顔をしていた。まだ慣れない力で汗だくになりながらも必死になりながらもピーター国王達に
「ピーター国王様、レピドライト様、早く医療魔術師達を呼んできてくださいっ!私一人だけでは……姫様を助けることができませんっ」
レピドライトは首を傾げながら
「先程既に呼んでおります、オーロラ嬢、貴女のその聖女並の力で助かったように見えますが…」
「……いや……何故か魂が彷徨ってるように見える」
息を吹き返したエメラルドだが眠ったままの状態だった。そんなエメラルドをピーター国王は目が見えないままの状態にもかかわらず、そっと優しくエメラルドを抱いた。
「ピーター国王、それはどういうことですか?」
「……ふむ。体は元に戻ってるが本人の意識がどこかに飛んでしまったのじゃろう?」
そうハナナ女王が話すと、ピーター国王はコクンと頷く。ハナナ女王が扇子を持ち、目を覚さないエメラルドに向けて優しい風の魔力をエメラルドに注いだ。
「…聖女並ほどではないが、エメラルドや……早く起きておくれ」
涙ぐむハナナ女王に後ろにいたテスラはハナナ女王の肩を優しく抱き寄せた。
「……エメラルド…」
「エメラルド…僕だよ。ハウライトだよ…早く起きてきて。みんなエメラルドをまってるよ」
スヤスヤと眠る姿のエメラルドの手をガーネットとハウライトはギュッと握りしめていた。ガーネットはエメラルドを見つめながら涙を流した。
「………エメラルド……私がお前を守ってるつもりだったが…いつもエメラルドに守られていた…すまない。色々と心配をかけさせて……」
「……本当に僕達は…エメラルドに心配かけてばかりだったね。こんなに小さな女の子なのに……ごめんね。家族とピクニックいこう。だから早く目を覚まして」
そうピーター国王とガーネット、ハウライト三人はギュッとエメラルドを抱きしめた。
遠くにいたリビアングラスはエメラルドの様子を見て
「…………こんなことって……僕のせいだ…僕の…」
そう固まっていると、プリムラはそんなリビアングラスの元へいき
「違うよ!リビアのせいじゃない、…エメはね、今少し迷子になってるだけだから」
「……プリムラ…君…」
「僕は信じてるよ、エメは…かえってきてくれる」
泣きもせず、絶望感も出さず、自信満々な真っ直ぐな目を向けるプリムラにリビアングラスは、かつての小さな泣き虫なプリムラの姿を思い出していた。
「……みんな泣いてるのに君は泣かないんだね」
「……もう泣き虫は卒業したからね」
そう照れくさそうに話したプリムラにリビアングラスは、「そっか…」と笑って返した。
モルガを倒した事により、反乱軍の残党も取り押さえられ、リビアングラスを神と崇めていたところの教会も崩壊し、各国の平和は元に戻ったが、スターダイオプサイト国の国民も含めて、みんな城の中でスヤスヤと眠ったままの状態のエメラルドの心配をしていた。小さき天使の目覚めをみんなまっていた。毎日ピーター国王はエメラルドのそばにいて語りかけていた。
スヤスヤ眠っているエメラルドの髪を撫でて
「……エメラルド…今ガーネットとハウライトが二人で協力して目の見えない私の仕事を手伝ってくれている………頼りになるものだな…。そうだ、昨日の夜…久しぶりにローズの夢をみた。勿論お前達もでてきた。みんな家族と一緒にピクニックへ行った夢だった…エメラルド……今お前はどんな夢を見ている?」
フワフワと雲の上に飛んでいるような感覚…いや、水の中かな?…わからないや……でも気持ちいい。そっと目を開けると、キラキラと星があり虹色の綺麗な川の前に私はいつのまにかポツンと立っていた。川の向こうには沢山の白い花が咲いており、楽しそうな声が聞こえた。
「…人の声?ここどこだろ?」
私は確かモルガの記憶の中に居たはず。そして…
モルガの中にいた闇を弓矢で攻撃した後、何故か光輝いたんだよね??あれ?まだ記憶の中かなんかかな???フと川の向こうでは、私を手招きしていた。
「あの人達に聞いた方よいかな?」
そう私は川の向こう側へと渡れる白い橋の方へと向かおうとした瞬間、小さな石が私の背中に当たった。
「あらやだ、何処かで見たことがある、あの女の娘じゃない」
聞いた事がある声…この声は…かつて聖女候補であり、ママを殺した女であり、闇の力で作った薬を飲み亡くなったあの人だ。
私が振り向くと、サラサラのストレートでオレンジ色の髪の女性が腕を組みながら座っていた。
「おばちゃん!!」
「だから、おばちゃん言うな!!!!綺麗なお姉さんでしょう!」
ハウライト兄様の育て親である、おばちゃ、いや、ルビーだ!!?
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