上 下
123 / 179
へっぽこ姫の仲良し作戦⑧ 八章 家族編

プリムラの四度目の闘い

しおりを挟む
「いででで!!」

「あの、オーロラ嬢の治療って荒くないですか!?」

「ユーディアライト様!ブラッド様!我慢して下さい!」

オーロラの癒しの力によりユーディアライトとブラッドの背中の火傷は治り二人はエメラルドを追いかけた。オーロラも慌てて

「私も一緒に行きます!」

「駄目です!オーロラ嬢はレモン姫や医療魔術師達と一緒にっ…」

そうユーディアライトは止めよとした時、
ドガン!とオーロラは壁に穴を開けてニッコリと二人に微笑みながら

「ふふ、私もお二人と一緒に行きます」

そんなオーロラの圧に負けたのかブラッドとユーディアライトは

「「あ、はい…」」
と小さく頷き一緒にエメラルドを探しに走った。


「…うっ…姫様……」

フラフラとブラッド達の背中を見送るアンに、レモン姫も教会から出てきて

「さっきから地鳴りは凄いし、なんなのよ!って何この人達凄い怪我!ハッ!アンさんも大丈夫?!」

「は、はい…私は大丈夫です。ですが…姫様達が…」

レモン姫はアンに肩を貸していた時、まだ反乱軍の一人が残っており、レモン姫とアンを襲おうとしたとき

カキン!!と大きなトンカチを持つ豚の被り物をしている男が現れ二人を助けた。

「だだだだ、大丈夫なんだな?姫様、あの」

「貴方、弟と一緒にいるターボン!ということは、私の可愛い可愛い弟がきてるの!?こんな危険な場所に!!?」

「え、あ、あああのプリムラ様は今、エメラルド姫を、た、た助けいぐって、あの、テスラ師匠はどっか行って、あ、多分、ハナナ女王様んとごがもしれねぇです。んで、、あああの、とりあえずオラはここに来て援護しようと」

「可愛い弟が危ないわ!私もエメラルド姫達を探しにいくわ!ターボン!この女性をお願いね!」

「え?!あああああの!!オ、オラ女性が、にがて…」

レモン姫はアンをターボンに託して、剣を持ち走り去った。ポツンと取り残されたターボンは、不器用ながらにアンを支えながら、慌てて

「えと、あの、オラちっと風呂はいっでねぇがら…臭いがらっ、あああの、大丈夫ですか?あ!怪我…怪我しでっから、今治して、んで包帯さがして、そんでえっど…!」

アンはターボンを見て、クスっと笑いながら

「…プリムラ王子の付き人ターボン様ですよね?私はエメラルド姫様の乳母のアンです。ふふ、お強いのですね」

そう話しかけるアンに、ターボンは耳まで真っ赤になり照れていた。




可愛いらしい笑顔で私に微笑むプリちゃんが現れた。プリちゃんは、私の顔を覗きこんで

「…エメ、また泣かされた?」

そう心配そうにしていた。なんか突然現れてビックリしたから、ドキドキしちゃったよ!

「や、ううん!大丈夫!泣いてないよ!」

Vサインをしながら、ニッコリとそう答えるとプリちゃんはホッとしていた。プリちゃんの隣にいるロングコートチワワ、いや、黒い子犬は前手紙で話してた子かな?

「ミャー❤︎」

「………」

とマシューは黒い子犬の子が好きみたい!お友達になりたいみたいだね!でも、黒い子犬君はすっごいマシューをガン無視してる!うん、空気を読まないマシューはそんなの気にしないでスリスリと子犬君に甘えたり、ぐるぐるとまわって遊ぼうぜ!みたいなキラキラした瞳で訴えてます。
この黒い子犬…普通の子犬じゃない感じがする。

「こら、クロ!マシューに挨拶しなきゃ」

「クロ?その子の名前?えと、もしかして精霊さんなの?」

「うん!そう!エメ当たり!この子はクロ、ちょっぴり恥ずかしがり屋さんだけどいい子なんだ」

「うわあー!そうなんだ!クロ、よろしくねぇ!さっきは助けてくれてありがとう!!」

「……」

あ、またガン無視。恥ずかしがり屋さんなんだね!マシューは相変わらず、頑張ってクロに自分と遊ぼうと誘ってたみたいだった。
私とプリちゃんがキャッキャッと話していた時

「あり得ないだろ!!!」

プリちゃんと私は、プルプルと顔を真っ赤にしているマートルを見上げた。マートルはクロを指差して

「…その精霊は…《闇の精霊》だぞ?!普通人間と契約なんてしない!いや、そもそも滅多に現れない!!お前…頭おかしいぞ!!?」

え!?クロは闇の精霊さんだったの!?普通人間と契約しないって、あれれ?プリちゃん契約したの?私はプリちゃんを見るとプリちゃんは照れながら

「へへ」と誤魔化して笑った。

マートルは苛々しながら、
「…お前もヘラヘラしてて、本当ムカつくわ!」

そう叫びながら炎の玉を何発も攻撃してきて、プリちゃんは素早く私の手を握り、私をおんぶしたまま素早くマートルの攻撃をかわしていった。

「なっ!?いつのまに、逃げるのが早くなったんだよ!!弟弟子は兄弟子敬えと前に言っただろ!」

「やだよ!それ痛いに決まってるじゃん!」

べーと舌を出しながら攻撃をかわすプリちゃん。
え…!プリちゃん凄いよ!?
プリちゃんは軽やかな足取りで私を下ろして、マートルの方をキッと見つめる。マートルは

「……お前も…その《目》本当気に食わないや…ムカつく。お前達は本当ムカつくわ!」

マートルはまたプリちゃんに攻撃するものの、プリちゃんは水の精霊で作りだされた小さな魔法陣を出して攻撃を止めたりしていた。何個も何個も器用に魔法陣を細めにだしてる…プリちゃん…凄い強くなってる。沢山…頑張ったんだね!

「んー、師匠は僕の目は、饅頭みたいでいいよ!って褒めてくれたけどなあ」

「うるさい!死ね!」

ドン!とまたマートルは火の玉の攻撃をしていた。チラッとプリちゃんは私の様子を見てるけどどうしたのかな?

その時

「いた!エメ!」

「姫様無事ですか!?」

「エメラルド姫様!!」


ブラッドとユー君にオーロラだ!三人は私を見つけて良かったと抱きしめてくれた。プリちゃんの存在に気づいたブラッドとユー君は驚いていた。

「え?!プリプリ王子か!なんか背が伸びてる」

「複数の精霊の力を使って、また規格外な…ん?プリムラ王子の肩に乗ってる黒い犬はなんですか?」

「ユー君、あの子クロっていうの!闇の精霊さんだって!!」

「「「闇の精霊!!!?」」」

そう私が教えると、三人共驚いて固まっていた。

「ねえ!エメ、あのね、お願いがあるんだけどいいかな?」

「なにー?」

プリちゃんは照れながら
「えっとね…あまりエメを怖らせたくないから、ブラッドやユー兄達のそばにいて、エメは目と耳を閉じててくれるかなあ…?」

「でも…プリちゃん…」

「大丈夫!僕勝てるから!」

ニッコリ笑うプリちゃんは自信満々だった。だからなのか、私はコクンと頷くとプリちゃんは嬉しそうにしていた。そばにいてくれたオーロラは私が見えないようにギュッと抱きしめてくれて、私は耳を塞いだ。これでいいのかな?大きな音とかもう大丈夫だけど、でもプリちゃんのお願いだからね!



「プリムラ!!俺らに後は任せろ!」

「そうですよ!私とブラッド君でそのお馬鹿さんを倒します!」


そうブラッドとユーディアライトはプリムラの前に出ようとした時、プリムラはニッコリと二人に笑いかけながら

「大丈夫だよ!さあ《相棒》思う存分に暴れるよ」

そう肩に乗っているクロに語りかけた。

ゼーゼーと息を切らし、独り言を言ってるマートルは、胸ポケットから黒い瓶を取り出した。

「…それ!闇の力が加わってるヤバイやつじゃん!」

そうブラッドが剣を取りだし、ユーディアライトと一緒にマートルを闘おうとした時、プリムラは無言で二人を止めた。いつもニコニコしているプリムラでない事に気付いた二人は首を傾げていた。

「…俺はまちがってない。正しいんだ……ッ。みんな…悪いんだ!」

ゴクンと飲み干すマートルの目から血の涙が出てきて、マートルは甲高い笑い声で

「あははは!プリムラ!おまえも、そのチビ姫も泣かせてやって殺してやる!!ギタギタにね!!こんな世界は無くなってしまえばいい!!!」

「………エメを泣かせるの僕許せないよ」

「は?知らないね!お前、闇の精霊と契約したかもしれないけど、俺だって今闇の力を手にいれたんだ!!死ね!全員死ね!」

プリムラはクスッと笑った。そばにいたブラッド達は段々とプリムラの周りに黒い稲妻がパチパチと出てる事に気づいた。

「な、なんか…プリプリ王子の様子おかしくないか!?」

「シー!ブラッド君!よくわかりませんが…直感です!今動いてはいけません!」


「…闇の力?それは紛い物に過ぎないんだよ」

「うるさい!お前はこの世界の救世主にでもなるつもりか!?それともご立派な、精霊士になったつもりか!!?そのチビ姫の騎士様か!?」

「僕は別に救世主でもないし、精霊士になるつもりないし、騎士でもないよ」

そうプリムラは目をそっと閉じ、右手から黒い印が浮かび上がってきた瞬間プリムラの肩に乗っていたクロは大きくなった。すぐにパッと消えたと同時に黒い魔法陣がプリムラの背後に出てきた。マートルをキッと睨むプリムラは

「僕はプリムラ・オドントクロッサム。

オドントクロッサム国の第一王子であり、王になる男だ!」

そう叫んだ瞬間黒い魔法陣からドス黒い稲妻が出てきてマートルを攻撃した。

そんなプリムラとマートルの様子を見ているブラッドは

「…おい、あれは誰だ」

「そりゃ、プリムラ王子ですよ…あのプリムラ王子…お漏らしさんの…」

そう固まっていたまま話していた。




目を閉じてるけど、プリちゃん大丈夫かな?泣かされてないかな?!!

「オーロラ姉さま、プリちゃん泣いてない?」

「…えと、笑ってます!はい、大丈夫みたいです!」










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】公女が死んだ、その後のこと

杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】 「お母様……」 冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。 古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。 「言いつけを、守ります」 最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。 こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。 そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。 「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」 「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」 「くっ……、な、ならば蘇生させ」 「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」 「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」 「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」 「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」 「まっ、待て!話を」 「嫌ぁ〜!」 「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」 「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」 「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」 「くっ……!」 「なっ、譲位せよだと!?」 「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」 「おのれ、謀りおったか!」 「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」 ◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。 ◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。 ◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった? ◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。 ◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。 ◆この作品は小説家になろうでも公開します。 ◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ! 

タヌキ汁
ファンタジー
 国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。  これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

転生したらチートすぎて逆に怖い

至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん 愛されることを望んでいた… 神様のミスで刺されて転生! 運命の番と出会って…? 貰った能力は努力次第でスーパーチート! 番と幸せになるために無双します! 溺愛する家族もだいすき! 恋愛です! 無事1章完結しました!

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。