上 下
135 / 179
へっぽこ姫の仲良し作戦⑧ 八章 家族編

運命の別れ道

しおりを挟む
私が口をポカンと開けてルビーを見つめていると、ルビーは私の顔から下まで確認するかのように、ぐるっと一周まわりながら

「不思議ね。以前は薄い茶色の髪の毛だったのにいつのまに髪の色があの女と同じ色になったわけ?まあ《私の》可愛い息子であるハウライトの色と同じだけど…容姿はあの女にそっくりだわ」

ちょっとまって!あれ、ルビーって亡くなったよね!?なんで亡くなった人が今目の前にいるわけ!??ま、まさかここは…

「わ、わわわ私死んだの!!?」

死亡フラグ折れなかったの!!?やっぱりそういう運命だったの!?

「ふふ、そうね。死んだわ」

ルビーはクスクスと笑いながら意地悪な顔をしてそう私に話しをしていた。

「えー!!私まだ食べてないマシュマロのお菓子があるのに!ここ三途の川!?」

「キーキーうるさいわね。サンズノカワって何わけわからないことを、あぁもう、顔を真っ青にならないでちょうだい。気分が悪るくなるわ。……かろうじて死んでないわよ。運が良いわね」

「よ、よかったあぁ……」

ルビーは川の向こうに指を指しながら説明をした。

「貴女が川の向こうに行かなければね。まだ死んではいないわ」

私はバッと後ろに振り向いて確かめた。キラキラと光り優しい声がする方向で私は危うく向こう側の方へ行こうとしていた!危なかった!!ルビーが声をかけてくれなかったら、今頃私は……

「…私を助けてくれたんだね?ありがとう!」

「は?何言ってるの。貴女がどうなろうと正直どうでもいいのよ。……でもハウライトが悲しむわ。ただそれだけよ」

「へへ。でも、結果的におばちゃんは助けてくれたよね?」

ニッコリと笑って話したら、ルビーはプイッと顔を背けた。なんだかんだハウライト兄様を心配してたのかな??以前のようなトゲトゲしさがないような気がするなあ。
ところで、何故ルビーはここにいるのだろう?いや、亡くなったルビーがいるということはあの世?でも私は死んでないみたいだし。不思議…。私は、もう一度、周りを見渡すと、確かに川の向こう側は星がキラキラと散りばっており綺麗な場所だった。私が今立っている場所は石だらけで、川の向こう側へ渡れる白い橋への道と真っ暗な闇へと向かう二つの道がある事に気づいた。

ルビーはキッと私を睨みながら

「いつまでここにいるつもりかしら?早く私についてきなさい」

「へ?」

「…そのマヌケ面はローズに似てムカつくわね」

「えへへ、それは嬉しいっ」

「……ふん、嫌味言っても効かないのね。ムカつくわ」


ルビーはスタスタと暗闇の道の方へと歩いて行く。私はルビーについていくと、さっきまで光り輝いていた場所が一気に暗くなりはじめた。ルビーは一度私のほうへ振り返り、手から光の玉を出した。…もしかして道の先や足元が見えないから、光を出してくれたのかな?

少し歩くと、また二つの道が分かれていた。ルビーは首を傾げながら

「あらやだ。どっちだったかしら。元に戻る道」

「えと、おばちゃん」

「ルビーよ。おばちゃんじゃないわ、もう一度言ってみなさい、本当に殺してあげるわよ」

私は右側の道が帰る道っぽいかなあと感じたので、ルビーに

「よし!大丈夫だよ!多分右側だと思う!!」

そう右側の道へ行こうとした時、誰かが私の足を引っかけ私は転んだ。私がおばちゃんと言ったからルビーのせいでは!?と思いルビーの方を見たけれど、ルビーは転んだ私を見て笑いながら

「ふふ、あらやだ。私じゃないわ、私ならそんな優しく貴女を転ばせないもの」

「えと、じゃあ、誰?」

キョロキョロと暗闇の中を見渡すと小さな炎がポツンと出てきた。この小さな炎は……

「おい、チビ姫。何こっちにきてるの」

聞いた事のある声だ。青い髪色で灰色のマントを羽織っている人物は…

「マートル!!?」

マートルは溜め息を出しながらルビーの方に話しかけていた。

「おばさん、相変わらず頭悪いの?右側は完全に駄目なとこだろ。鏡ばかり見てないで、頭をもう少し鍛えてたら?」

そんなマートルにルビーは頭に来ていたのか

「あら?随分私に口を出せる身分なったわけ?《リビアングラス様ー!》っていつもあの子を追いかけていたヒヨッコがっ」

「ふん、だから大人なんて嫌いなんだ」

二人は何やら言い争ってるけど、えーと…この二人は私を助けようとしてくれてるのかな??マートルは私の方をジロッと睨みつつ指をパチンと鳴らした瞬間、暗かった左側の道には、小さな炎が照らしはじめていた。遠くの先までずっとずーっと、続いていた。これなら迷子にならないね!

「早くそっちいけ」

「マートル!!」

「なに」

「あのね、ありがとうっ!」

私がそうお礼を言うとマートルは深い溜め息を出しながら

「…お前、まだ《みんな仲良し》なれると思ってるわけ?世の中そんな甘くないから」

「うん」

「俺はお前が嫌いだ」

「うん、でも助けてくれたよね?だからマートルもルビーもありがとう!」

マートルとルビーは、私を見て呆れた顔をしていた。なんでだろう?助けようとしてくれたんだから、とりあえずお礼は言わなきゃね!それにしても、何故この二人はここにいるのかな?

「因みに、二人はなんでココにいるの??えと、死んでるんだよね?」

そう私が質問をすると、二人は一瞬固まった。少しだけ沈黙になった後ルビーはクスクス笑いながら

「…ふふっ、私達は何処にも行けないのよ。いえ、行かせてもらえないのよ。私達はどちらにもいけない、中途半端なココにいるしかないわけ」

「良い事をした人はさっきの白い橋を渡り綺麗な場所へ行く。で、今お前が行こうとしていた暗い右側の道は悪い事をした奴らが通る道」

面倒くさそうに話すマートルと、笑っているルビーの二人……ルビーは私のママを殺した人…マートルも…二人は沢山の人を殺していた…。それは許されない事、でも、何処にもいきようがないこの場所で二人は彷徨よい続けるのかな?それって一番残酷な気がする…誰よ!?そんなこと決めたのはー!?そう私が悶々と考えていると、ルビーは私のほっぺをつねりながら

「これは私達の《罰》よ。さあ、そのムカつく顔を見たくないから、さっさと帰ってちょうだい」

「それに関しては俺も同意。早く行け」

「え?あ、ちょっとまって!二人ともー」

私の背中をぐいぐいと押すマートル、左側の道へ一歩踏み出した私は、もう一度二人にお礼を言おうと後ろを振り返ると二人の姿はもう何処にもいなかった……さっきまでいた場所ではなく、右側に見えた道も見えない。ただマートルが残してくれた小さな炎がポツポツと見えるだけ………

ゴクンと唾を飲み込みながら私は迷子にならないように炎を目印にゆっくり歩き始めた

「……パパ…」

この先どのくらいかかるのだろう

「ガーネット兄様…」

沢山ギュッと抱きしめてほしいな

「ハウライト兄様……」

家族に…早く会いたいな!!
みんなに会いたい!!


私は段々と足早になり、暗がりが続く道を走り続けた。


「それに、まだ食べてないマシュマロのお菓子達が待ってるもんね!」











しおりを挟む
感想 419

あなたにおすすめの小説

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。