59 / 179
へっぽこ姫の仲良し作戦⑤ 五章 ペラルゴニウム国編
パパの恋
しおりを挟む
ピーター国王はかつて王妃が使っていた部屋へきていた。沢山の薔薇と綺麗なアクセサリーが並ぶのを眺めてベッドへ横たわる。
「ローズ…お前に会いたいものだな…」
薔薇の香りをいつもつけている愛しいローズ。この国の聖女だった女性…いつだったろうか。彼女に惹かれていたのは…
「ピーター王子って…次期国王だよな?それなのにいつも黙ってばっかでよくわからない人だよな…」
違う。今凄く緊張をし、お腹がきりきりして痛いだけだ…。
「そっとしときましょう?お一人が好きなのよ」
一人が好きというわけではない。むしろ沢山の人と話をしたいのに…あぁ、まただ。父のように優しく朗らかになりたいのにいつも眉間にシワを寄せてしまう。
一人で学園の裏庭でこっそりと本を読んでいたら…
「あぶない!どいてぇえ!!」
「…??」
声がする方へ上を向くと金髪で瞳は緑色の……綺麗な天使が空から降ってきた…。そう本当に思ってしまったんだ。
フワッと魔力を使い彼女を受け止めて助けてあげると彼女は笑顔で
「ふふ、びっくりしたわよね。木から落ちてきたところを助けてくれてありがとうっ!」
「……」
そう元気よく挨拶をしてくれた。どういたしまして、と言うべきなのだろうか?なんと声をかけるべきだ?怪我はないかと聞くべきなのだろうか。
彼女は私を見てから少し考えて
「ピーター王子、お詫びとして私の好きなお菓子をあげるわ」
「……菓子など食べないが…」
「お詫びですわっ、さあ手をだして」
そっと手のひらを広げ、彼女の綺麗な手が私の手と重なった。
「………先程君は菓子といったな」
「えぇ!そうよ!お詫びに私のお菓子をあげるわ。これも縁だもの、お友達の印よ」
「………キノコだが…」
「キノコね!栄養たっぷり!」
可愛いらしい笑顔だった。これが彼女との最初の出会いだ。彼女と関わってから、沢山の人達と出会った。友人もできた。彼女は本当に太陽のようにキラキラとしている。
夕方になり、帰る頃彼女は夕陽を眺めていた。とても悲しい顔をしていたような……何処か遠くへ行きそうな…そんな感じが少しした。
ローズは不思議な歌を歌っていた。
「夕やけ♪小やけの 赤とんぼ♪
負われて見たのは いつの日か♩
山の畑の 桑の実を
小篭に摘んだは まぼろしか♪
十五で姐やは 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた♩
夕やけ♪小やけの 赤とんぼ♪
とまっているよ ♪竿の先♪」
とても綺麗な歌声でだけど悲しそうな君の背中がどこか…どこか守ってあげたくなる。
「…ローズ…その歌はなんだ?」
パッと振り返るローズは私の顔を見てクスッと笑いながら
「…ふふ、夕焼けをみたら子供の頃歌うものよ…私の故郷の歌かしら」
「不思議な歌だな」
故郷?故郷はここなのに、何を言っているんだろうと首を傾げた。
「…ねえピーターはもし、もしここではない世界があると信じてる?」
「……?そんなものないだろう…世界はたった一つ。ここだけだ」
そう言うと彼女はただ笑って、一緒に綺麗な夕焼けを眺めていた。
薔薇とキノコが好きな君にもう一度会えたらどんなにいいことだろう。君がいたら、どんなに良かったか…
「会いたい……」
そっと現実に戻ろうと目を開けると
「おや?私もピーター国王に会いたかったですよ。さて、夕方まで何ゴロゴロ怠けてるんです」
「………レピドライト…いつからいたんだ」
「そうですねぇ。かれこれ貴方が思い出に浸っているところからです」
「……最初からだな…」
窓から歌声が聞こえてきた。レピドライトはクスクス笑いながら
「おやおや、姫様が可愛いらしい自作の歌を歌ってますね」
窓から娘と息子達の様子を眺めた。
「ゆうやぁ~♩けこやけえ~の赤とんぼぉ~♪」
「あはは、エメラルドその歌何?」
「夕焼けときたら、このお歌よ!」
クスクスと笑うハウライトと黙って見守るガーネット…
不思議な懐かしい歌を娘が歌っていた。…何故だ??
《ねえピーターはもし、もし…ここではない世界があると信じてる?》
「…そうだな…あるかもしれないな…」
もし…願うとすれば…違う世界があるとすれば…また君に出会えるだろうか。また君に恋していいだろうか。
「あるかもしれないとは何がです?早く書類にサインして下さい」
「………ベッドに押し倒すのをやめろ…レピドライト」
「ローズ…お前に会いたいものだな…」
薔薇の香りをいつもつけている愛しいローズ。この国の聖女だった女性…いつだったろうか。彼女に惹かれていたのは…
「ピーター王子って…次期国王だよな?それなのにいつも黙ってばっかでよくわからない人だよな…」
違う。今凄く緊張をし、お腹がきりきりして痛いだけだ…。
「そっとしときましょう?お一人が好きなのよ」
一人が好きというわけではない。むしろ沢山の人と話をしたいのに…あぁ、まただ。父のように優しく朗らかになりたいのにいつも眉間にシワを寄せてしまう。
一人で学園の裏庭でこっそりと本を読んでいたら…
「あぶない!どいてぇえ!!」
「…??」
声がする方へ上を向くと金髪で瞳は緑色の……綺麗な天使が空から降ってきた…。そう本当に思ってしまったんだ。
フワッと魔力を使い彼女を受け止めて助けてあげると彼女は笑顔で
「ふふ、びっくりしたわよね。木から落ちてきたところを助けてくれてありがとうっ!」
「……」
そう元気よく挨拶をしてくれた。どういたしまして、と言うべきなのだろうか?なんと声をかけるべきだ?怪我はないかと聞くべきなのだろうか。
彼女は私を見てから少し考えて
「ピーター王子、お詫びとして私の好きなお菓子をあげるわ」
「……菓子など食べないが…」
「お詫びですわっ、さあ手をだして」
そっと手のひらを広げ、彼女の綺麗な手が私の手と重なった。
「………先程君は菓子といったな」
「えぇ!そうよ!お詫びに私のお菓子をあげるわ。これも縁だもの、お友達の印よ」
「………キノコだが…」
「キノコね!栄養たっぷり!」
可愛いらしい笑顔だった。これが彼女との最初の出会いだ。彼女と関わってから、沢山の人達と出会った。友人もできた。彼女は本当に太陽のようにキラキラとしている。
夕方になり、帰る頃彼女は夕陽を眺めていた。とても悲しい顔をしていたような……何処か遠くへ行きそうな…そんな感じが少しした。
ローズは不思議な歌を歌っていた。
「夕やけ♪小やけの 赤とんぼ♪
負われて見たのは いつの日か♩
山の畑の 桑の実を
小篭に摘んだは まぼろしか♪
十五で姐やは 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた♩
夕やけ♪小やけの 赤とんぼ♪
とまっているよ ♪竿の先♪」
とても綺麗な歌声でだけど悲しそうな君の背中がどこか…どこか守ってあげたくなる。
「…ローズ…その歌はなんだ?」
パッと振り返るローズは私の顔を見てクスッと笑いながら
「…ふふ、夕焼けをみたら子供の頃歌うものよ…私の故郷の歌かしら」
「不思議な歌だな」
故郷?故郷はここなのに、何を言っているんだろうと首を傾げた。
「…ねえピーターはもし、もしここではない世界があると信じてる?」
「……?そんなものないだろう…世界はたった一つ。ここだけだ」
そう言うと彼女はただ笑って、一緒に綺麗な夕焼けを眺めていた。
薔薇とキノコが好きな君にもう一度会えたらどんなにいいことだろう。君がいたら、どんなに良かったか…
「会いたい……」
そっと現実に戻ろうと目を開けると
「おや?私もピーター国王に会いたかったですよ。さて、夕方まで何ゴロゴロ怠けてるんです」
「………レピドライト…いつからいたんだ」
「そうですねぇ。かれこれ貴方が思い出に浸っているところからです」
「……最初からだな…」
窓から歌声が聞こえてきた。レピドライトはクスクス笑いながら
「おやおや、姫様が可愛いらしい自作の歌を歌ってますね」
窓から娘と息子達の様子を眺めた。
「ゆうやぁ~♩けこやけえ~の赤とんぼぉ~♪」
「あはは、エメラルドその歌何?」
「夕焼けときたら、このお歌よ!」
クスクスと笑うハウライトと黙って見守るガーネット…
不思議な懐かしい歌を娘が歌っていた。…何故だ??
《ねえピーターはもし、もし…ここではない世界があると信じてる?》
「…そうだな…あるかもしれないな…」
もし…願うとすれば…違う世界があるとすれば…また君に出会えるだろうか。また君に恋していいだろうか。
「あるかもしれないとは何がです?早く書類にサインして下さい」
「………ベッドに押し倒すのをやめろ…レピドライト」
11
お気に入りに追加
4,871
あなたにおすすめの小説
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。