57 / 179
へっぽこ姫の仲良し作戦⑤ 五章 ペラルゴニウム国編
リビアの誕生日
しおりを挟む
目を覚ますと自分の周りには見知らぬ子供達の遺体と真っ赤な血が地面に滴り、広がっていた。
「お前の名前は”リビアングラス”。それ以上でもそれ以下でもない。よいか、神の子となれ」
父と呼ぶべき人がそう僕に言った。
隣にいた茶色でお団子頭をしている優しそうな女性はプルプル震えながら、僕を見て吐いた。
「あぁ…貴方、なぜ…このような…酷い事をっ!私は…病気の…リビアを…あの子を治したくて…こんなっ…沢山の子供達の体を使ったのなんて!
私の息子じゃないわ!!!リビアではない!」
そう叫んで泣き崩れていた。
あれから何もわからないまま、僕は沢山の人を殺した。それが正義だと、良いことだと教えてもらったから。
頑張れば、父上は褒めてくれるから…
誰もが僕が絶対的な存在だと崇めてくる。
これは良いこと。良い子になる。
ある村を訪れた時
「とーちゃん!かーちゃん!」
知らない男の子と父親と母親が仲良く畑を耕していた。
家族………いいな。あの少年は凄くあの両親達に愛されている。
僕は……僕達はどうだろう。まともに話したことないな。母上は僕を見ると発狂して話しをしてくれない。
でもいつか振り向いてくれる。ちゃんと良い子にすれば抱きしめてもらえる。父上に頭を撫でてもらい、母上に抱きしめてもらい、家族仲良く一緒に畑を耕してみたいな。
ある国の教会の隠れ家にいて、外の空気を吸いたくて監視も誰もいないこの隙にヒョッコリと外へ出てみた。
うん、いい天気だな。お昼寝に最適。
そうウトウトと寝ていたら、急に体を揺さぶられ何だろうと目を開けると小さな女の子が
「ちゃいへん!だいじょーぶ?!」
僕を起こしにやってきた。一瞬…そう一瞬キラキラした可愛い天使ってこんな感じなのかなあと思った。
「えと、おにーたん…寝てたの?ごめんたい」
「…君…だれ?」
「エメラルド!」
「…知らない子」
「エメもおにーたん知らない!あ!でも今日からおしりあいよ!」
ニコニコと笑いかける、君がとても可愛いくて、守りたくて、そばにいたいなと初めて感じた。この感情はよくわからないけれど、ずっと隣にいたら幸せなんだろうなと思う。
エメラルドと出会い、僕は僕の意思で動くようになった。今まで自分がしてきた事は、とても酷いことをしていたと。
会うと、悲しい顔ばかりさせてしまいごめんね。
「もう少し…もう少し僕が壊れない内に君のお兄さんを…家族を助けてあげるから」
マシュマロ一号はまだ返してない。いつか笑いあいながら返したいな。
僕の最初のお友達エメラルド。
とても可愛いくて守りたい小さなお姫様。
無人の小さなボロボロの小屋に一人でひっそりとマシュマロ一号を抱きしめたまま目を瞑った。
「お誕生日おめでとう。僕」
今日は僕が生まれた…創り出された日…お誕生日。
「アン!マシュマロ!エメ、キャラメル味がね、すき!」
「あら、そんな可愛いらしい顔でねだっても駄目ですよ。マシュマロ食べすぎです。また虫歯になりますからね」
「うっ…」
アンよ、最近ますます厳しくなりました!!マシュマロ食べ放題とか誰かお店作ってくれないかなあー。
「お前の名前は”リビアングラス”。それ以上でもそれ以下でもない。よいか、神の子となれ」
父と呼ぶべき人がそう僕に言った。
隣にいた茶色でお団子頭をしている優しそうな女性はプルプル震えながら、僕を見て吐いた。
「あぁ…貴方、なぜ…このような…酷い事をっ!私は…病気の…リビアを…あの子を治したくて…こんなっ…沢山の子供達の体を使ったのなんて!
私の息子じゃないわ!!!リビアではない!」
そう叫んで泣き崩れていた。
あれから何もわからないまま、僕は沢山の人を殺した。それが正義だと、良いことだと教えてもらったから。
頑張れば、父上は褒めてくれるから…
誰もが僕が絶対的な存在だと崇めてくる。
これは良いこと。良い子になる。
ある村を訪れた時
「とーちゃん!かーちゃん!」
知らない男の子と父親と母親が仲良く畑を耕していた。
家族………いいな。あの少年は凄くあの両親達に愛されている。
僕は……僕達はどうだろう。まともに話したことないな。母上は僕を見ると発狂して話しをしてくれない。
でもいつか振り向いてくれる。ちゃんと良い子にすれば抱きしめてもらえる。父上に頭を撫でてもらい、母上に抱きしめてもらい、家族仲良く一緒に畑を耕してみたいな。
ある国の教会の隠れ家にいて、外の空気を吸いたくて監視も誰もいないこの隙にヒョッコリと外へ出てみた。
うん、いい天気だな。お昼寝に最適。
そうウトウトと寝ていたら、急に体を揺さぶられ何だろうと目を開けると小さな女の子が
「ちゃいへん!だいじょーぶ?!」
僕を起こしにやってきた。一瞬…そう一瞬キラキラした可愛い天使ってこんな感じなのかなあと思った。
「えと、おにーたん…寝てたの?ごめんたい」
「…君…だれ?」
「エメラルド!」
「…知らない子」
「エメもおにーたん知らない!あ!でも今日からおしりあいよ!」
ニコニコと笑いかける、君がとても可愛いくて、守りたくて、そばにいたいなと初めて感じた。この感情はよくわからないけれど、ずっと隣にいたら幸せなんだろうなと思う。
エメラルドと出会い、僕は僕の意思で動くようになった。今まで自分がしてきた事は、とても酷いことをしていたと。
会うと、悲しい顔ばかりさせてしまいごめんね。
「もう少し…もう少し僕が壊れない内に君のお兄さんを…家族を助けてあげるから」
マシュマロ一号はまだ返してない。いつか笑いあいながら返したいな。
僕の最初のお友達エメラルド。
とても可愛いくて守りたい小さなお姫様。
無人の小さなボロボロの小屋に一人でひっそりとマシュマロ一号を抱きしめたまま目を瞑った。
「お誕生日おめでとう。僕」
今日は僕が生まれた…創り出された日…お誕生日。
「アン!マシュマロ!エメ、キャラメル味がね、すき!」
「あら、そんな可愛いらしい顔でねだっても駄目ですよ。マシュマロ食べすぎです。また虫歯になりますからね」
「うっ…」
アンよ、最近ますます厳しくなりました!!マシュマロ食べ放題とか誰かお店作ってくれないかなあー。
10
お気に入りに追加
4,871
あなたにおすすめの小説
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!
枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕
タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】
3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!
残り一日で破滅フラグ全部へし折ります ざまぁRTA記録24Hr.
福留しゅん
恋愛
ヒロインに婚約者の王太子の心を奪われて嫉妬のあまりにいじめという名の悪意を振り撒きまくった公爵令嬢は突然ここが乙女ゲー『どきエデ』の世界だと思い出す。既にヒロインは全攻略対象者を虜にした逆ハーレムルート突入中で大団円まであと少し。婚約破棄まで残り二十四時間、『どきエデ』だったらとっくに詰みの状態じゃないですかやだも~! だったら残り一日で全部の破滅フラグへし折って逃げ切ってやる! あわよくば脳内ピンク色のヒロインと王太子に最大級のざまぁを……!
※Season 1,2:書籍版のみ公開中、Interlude 1:完結済(Season 1読了が前提)
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。