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へっぽこ姫の仲良し作戦④四章 聖女編
エメラルド5歳なりました!
しおりを挟むガーネットはエメラルドの後ろにいるオーロラを見て
怪訝な顔をし、
「貴様は誰だ」
ガーネット兄様!ヒロインだよ!!早くも一目惚れしたの?!
「ガーネット、そんなに圧をかける態度はレディに対してよくないよ」
ハウライト兄様!優しく接しているということは…惚れた!?ヒロインとヒーローだもん!
ヒロイン、ヒーロー、悪役である彼らが一気に揃ってしまった!!こんな事ってある?!わあ…改めて見ると、三人のオーラが…半端ない気がする!
「若き栄光の国、ガーネット王子、ハウライト王子。
可愛いエメラルド様と楽しくお喋りをしていただけです」
ニコッと微笑みながら二人に挨拶をするヒロインよ!あ、この笑顔はもうイチコロだわ。兄様達の様子は…チラッと様子を見るとガーネット兄様は相変わらず無表情のままでハウライト兄様はいつも通りニコニコと対応している。うん、いつも通り。
ガーネット兄様はヒロイン・オーロラのドレスが濡れている事に気付いたのか魔術で風を起こして乾かしてくれた。
「ガーネット王子、ありがとうございます」
「…エメラルドの前で無様な格好をするな」
隣にいたハウライト兄様はクスッと笑いながら
「……お節介になってきたね。ガーネット」
「……貴様も風で吹き飛ばすか」
うん、以前のガーネット兄様ならあまり人に関わらない…ハッ!!やっぱり可愛いから一目惚れしたのかな!?うああ!でもでも傷つくガーネット兄様もハウライト兄様もみたくないよう!ど、どうしたらいい!?
「ガ、ガーネッ兄たま…エメ…あの!と、とにかくエメからね、はなれあいで!エメ味方だから!」
「……よくわからんな」
「エメラルドはガーネットだけかな?僕は?」
「ハウアイト兄たまも!エメは味方!だからエメからはなれあいで!!おー!」
二人はクスッと笑い私の頭を撫でてくれた。
「さて、帰ろうか」
「う、うん」
ハウライト兄様に抱っこをしてもらい、私はヒロインのオーロラに手を振った。オーロラはニコと私に笑顔を向けてくれて頭を下げた。やっぱり可愛い子だけど…あれ?二人共ガン無視だよ。ヒロイン無視?ハウライト兄様は挨拶程度はしたけど…ガーネット兄様なんて本当に興味なさそうな顔をしている。
…まだ子供だから恋とかそーいうのは早いってことかな?!わからない!二人の心境がわからない!
「…ガーネッ兄たま、ハウアイト兄たま…さっきのこすごくかあいかったね?」
「ん?そう?エメラルドの方が世界一可愛いよ」
ニコッと笑いかけながら話すハウライト兄様に無言でコクンと頷くガーネット兄様。まだ泥沼関係にならないのであれば仲良く関係を築きたいとこだけどなあ。
「…おとこのこは、わかあない」
そう呟くエメラルドにガーネットとハウライトはまた首を傾げていた。
「「エメラルド姫様お誕生日おめでとうございま
す!」」
可愛らしいレースの白いドレスに花冠を身につけるエメラルドがピーター、ガーネット、ハウライトと一緒にパーティー会場へ登場すると、皆エメラルドを見ては
「可愛いらしい!やはりエメラルド姫様は天使ですわ!」
「聖女候補らしいけど、もう天使でいいのでないか?」
「癒しだわ。もう癒し過ぎて幸せ」
「王様や王子達も一緒に歩くなんて仲がよろしいんですわね!」
「みなさん!きょうはエメのおたんじょうびにきてくださり、ありあとーございます!パーテー、たのしんでください!」
ニコッと笑い挨拶をするエメラルドにみんな頬を赤らめながら見つめていた。そんな見つめている人達をピーター、ガーネットとハウライトは周りに圧をかけているのにはエメラルドは知らないで、手を振って挨拶をしていた。
花火が打ち上がり、沢山のご馳走と、煌びやかなダンスホールに素敵な音楽!!オスッシンもあるし、マシュマロのお菓子が沢山ある!!凄く楽しいパーティーが開かれた!そう、今日は私の誕生日だ!!また一つ大人になったね!
「姫様お誕生日おめでとう!」
「ユー君ありあとー!わあ!絵本とマシュマロお菓子だ!」
「エメ誕生日おめでとうな、これプレゼント!」
「あ!エメの好きな、ひまわりさんだ!ありあとー!」
「可愛いらしいエメラルド姫様、お誕生日おめでとうございます。これは私からのプレゼントです」
「レピさん!ありあー…ってこれ…おおきい!ん?これはエメ?」
レピさんは眼鏡をクイッとしながら自信満々に
「おや、驚かれましたか?ふふ、そうです、姫様ですよ!」
うん、なんだろー私の肖像画なんだろうけど…デカイね。うん、デカイよ。大きな絵過ぎて何処に飾ればいいのかな??レピさんよ?
アンからは、可愛らしいリボンをプレゼントされて、オカマさんには素敵なふりふりのお手製のワンピースをプレゼントされて嬉しい!やっぱりお誕生日会って嬉しいよね!!
「エメラルド…これは私からだ」
「パパ!」
パパから渡されたのは綺麗な宝石が埋め込まれているティアラだった。私は花冠からパパにプレゼントされたティアラを頭にのせてみせた。くるくるまわり、礼をした後
「へへ、エメお姫様みたい!パパありあとー!」
「おや、おかしなこといいますね、姫様は姫様ですよ」
レピさんにそう言われて、ちょっぴりみんなに笑われて和やかな雰囲気になった時
『くるっぽぽー🎵』
突然青い鳥が私の目の前に飛んできて、プレゼントが届いた。手紙も一緒に添えてある…青い鳥ということは…
「プリちゃんからだ!」
手紙のやりとりをするとき、この青い鳥が届けてくれるんだよね!プリちゃんからは、キラキラした星の形をした耳飾りだった。
“エメへ
おげんきですか!おたんじょうびおめでとう!ぼくはげんきだよ!プレゼントはね、おほしさまのキラキラ、かわいくてエメみたいだよ!
ぼくとね、かたっぽずつのおそれいだよ!
おめでとーう!おげんきで!
いま、おやまのてっぺんでがんばってる!ターボンはいま、プルプルふるえてます!!おししょーさま、すごくやさしいよ!こわいよ!でもがんばるよ!
エメもがんばってください!
おたんじょうびおめでとう!!はっぴーたんじょーび!
プリムラより”
…山のてっぺんって…今プリちゃんは何してるの??え?大丈夫??どういうことなのか、そっちのほうが凄く気になるよ。
「……プリムラは元気そうみたいだな」
「へへ、プリちゃんはねー、ガーネッ兄たまみたくつおくなりたいってがんばってるの!」
「……そうか」
プリちゃんはガーネット兄様に憧れてるみたいだからね!プリちゃん頑張ってるみたいだなあー。私も頑張らないとね!!
「さあ!姫様に飛びきりのプレゼントがありますよ!!ガーネット王子とハウライトからです!二人の初めて☆の共同作業ですよ!」
「……ユーディアライト…その言い方はやめろ」
急にユー君はニコニコと何やらガーネット兄様とハウライト兄様からの誕生日プレゼントがあると説明してくれた。
「ガーネ兄たまとハウアアイト兄たまから?」
そう私の目の前には大きな大きな、グラグラと倒れそうだけど、マシュマロやフルーツが沢山飾られてる少し不格好な特大ケーキだった。
「ふあああ!マシュマロケーキだ!うわああ!おおきい!」
「ハウライトはまあ大丈夫でしたが、ガーネット王子はもう本当に大変でしたよ。ガーネット王子のケーキ作りは命がけでしたね!」
そうユー君が話すとうんうんと、腕を組みながら納得するブラッドと、
「うん、確かに大変だったね…」と遠い目をするハウライト兄様だった。ガーネット兄様は…お料理苦手っぽいからね!でもでも!それよりも
「ガーネッ兄たまとハウアイト兄たまが仲良くエメのために作ってくれた!うれしい!すごくね!うれしい!」
ニコニコとガーネットとハウライトにギュッと抱きしめるエメラルドに二人は頬を赤らめながら照れていた中、ピーターは少し羨ましそうに三人の子供達を見つめていた。そんなピーターの隣にいるレピドライトは
「おや、そんなに仲良いいのが羨ましいなら、私達も一緒に何か作ればよかったですかね?」
「………いや…いい…」
ガーネット兄様とハウライト兄様が作ってくれた特大ケーキ!!美味しそうだね!
「へへ、みんなで半分こずつ食べよー!」
そう私はケーキをちょんと指でつついたら…
”ぐらっ”
「……へ?」
グラグラと揺れて私をめがけて倒れてきた。
「「「「エメラルド!!!」」」」
目をつぶった瞬間、ふわっと私を抱き抱えたまま…
頭には少し生クリームがかかって立っているガーネット兄様がいた。
周りにいるみんなは驚いてガーネット兄様を見つめる。
ハウライト兄様もビックリしながら
「え?ガーネット…立つだけでなく、えと…歩けるようになったんだね」
ガーネット兄様は立ったまま自分の足を動かしながら少し考えてから
「……そのようだな」
ガーネット兄様自身も驚いてるみたい。ユー君やブラッドも周りも驚いている。パパは固まったままの状態だった。レピさんはそんなパパの頬をペシペシ叩いてるけど、私もビックリだよ!?え?つい最近立っても少ししか歩けなかったよね?!!
私はガーネット兄様の頬っぺたをムギュとしながら
「…お足…もうだいじょうぶなの?」
「…あぁ」
「い、痛くない?あるけるの?」
「…大丈夫みたいだ」
「また、エメ達おさんぽいける?」
コクンと頷くガーネット兄様。
目の前には崩れている特大ケーキ、なんだかビックリして、ガーネット兄様の足が治ったのが嬉しくて私はポロポロ涙が沢山でた。
「…ガーネッ兄たま…エメ…いちばん…いちばん…うれしいよ!ぐすっ…お足なおって…またおさんぽいけるもん!パパとハウアイト兄たまとね、なかよくまたピクニックいきたい!」
ガーネット兄様はニコッと笑いながら、おでことおでこにコツンと合わせて
「…そうだな…」
「あいっ!」
爽やかな笑顔をエメラルドに見せたガーネット王子のとても貴重なスマイルを見た令嬢達は密かに悶えていた。
エメラルド5歳になりました!!
因みに倒れてぐちゃぐちゃになったケーキはレピさんが綺麗にしてくれてみんなと一緒に食べました!
美味しかったです!
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