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へっぽこ姫の仲良し作戦③三章 オドントクロッサム国編

虫歯君とは仲良しなれない

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とある雪国の暗い森の先に古ぼけた城がある。
そこに集まる信者達は椅子に座っている男の子を見ては崇めていた。その椅子に座っていたのは白い髪で左右目の色が違う、リビアングラスだった。

マシュマロ一号を肌身離さず持ち、ただ自分の前に大勢の大人達が膝まついて頭を下げている光景をただ何も言わず黙っていた。

リビアングラスの前に、父モルガが現れた。

「お前の次の仕事だ」

「…はい…父上…」


「モルガ様!私の美しい顔はまだ治せないのかしら?!ほら!見てちょうだい!」

ルビーが突然現れて、モルガに言い寄り、モルガは
「次の子供の心臓でも食らえば治るだろ」
と二人は話していた。

ギュッとマシュマロ一号を持ちながら、歩いていくリビアングラスはある部屋へ入った。
そこには痩せこけて、髪が栗色の女性の前に立ち、リビアングラスは以前エメラルドにもらったシャボン玉を見せた。

「母上……あの…シャボン玉はご存知ですか?…友達が…くれたもので、とても綺麗な…」

バシッ!

リビアングラスの母は興奮しながら、睨んで泣きながら

「私のリビアングラスは何処!?お前ではない!私の可愛い息子を返して!化け物などくるな!」

「……体調が優れないようなので…またきます」

ペコと頭を下げてリビアングラスは自分の部屋に戻っていった。

マシュマロ一号の手足を動かしながら、
「……仲良し…難しいね。エメ……」

そう呟いて、マシュマロ一号をギュッと抱きしめていた。






「今日の朝ごはん!エメのすきなやつ!クロワッサン!」

毎朝食べたいくらいの、サクサクふわふわクロワッサンだ!しかも今日は朝からデザートもある!なんて贅沢な朝食!毎日作ってくれてるシェフさんに感謝だね!

「いただちまーす!」

パクッと甘くてバターたっぷりのクロワッサンを食べた瞬間

ズキンッ!!!!


「……ぴゃ!?」

固まっている私を心配したパパやガーネット兄様、ハウライト兄様は首を傾げながら

「…どうした?食べないのか?」

「………」

「エメラルド?調子でも悪いの?」

「………」


ガーネット兄様はジーッと私の顔を見て

「なんだ、虫歯か」

バッと私はガーネット兄様の方を見て驚いてしまった!え?なんでわかったの!?いや、とにかくものすごく痛いです!奥歯痛いです!!

「…へへ…エメ…ちがーよ!ほら、こんなにたーくさん、たべれーっつ…っっ痛!!!」

うああたああ!?しみる!痛い!とにかく痛い!毎日歯磨きしてるのに!あ、あれかな?マシュマロ禁止されて我慢して解放された時食べ過ぎたのかな?やばいやばい!こんな事アンに知られてはいけない!!

「…レピドライト、アンリは何処にいる?」

パパさんや!アンには言わないで!またマシュマロ禁止される!いや、お菓子全般禁止だよ!?

「アンリさんは本日都で買い物をするとの事で、夕方まで帰ってきませんね」

ホッ…アン怒ると怖いからね。レピさんはニッコリと
「とりあえず歯を治療いたしましょうか。午後から医療魔術師を呼ぶように手配いたしますので、みなさんくれぐれもエメラルド姫様に甘い物を食べさせてはいけませんからね」

この瞬間…レピさんが悪魔に見えました。

「パパ…もちかしたら…また…マシュマロ…」

パパは私から目を逸らし、

「…今日一日治るまで我慢だな」

次にハウライト兄様に袖をクイッとしながら、
「ハウアイト兄たま…エメ…たべえないの」

ハウライト兄様は困った顔をしながら
「…うーん…しょうがないよね?いいこだから我慢しよっか」

向こうに座っているガーネット兄様に助けを求めるが
我慢しなさいと無言の圧力をかけられた。

朝食も結局柔らかい物やスープだけ食べて、私の両頬はおたふくのようにぷっくりとふくらみ少しでも痛みを抑える為、タオルを顔に巻いて冷やして歩く。

チラッと私はキッチンの中へ覗くと、シェフが何人かいた。何故かみんな私を見ては、目を逸らし

「ひ、姫様?!…な、なんの用でしょうか?」

「へへ、エメね、今お腹ペコペコなの!」

「…うっ…!」

だから、甘いの一つで良いから下さいな!シェフよ!!私の願いはただ一つ!マシュマロチョコ!

シェフは何故か目を逸らしながら

「も、申し訳ありません!!」と追い出されてしまった…。

はあとため息をしたら、メイドが何人かいたのでダッシュして走っておねだりをしてみた。

「すいまてーん!みなさんにしちゅもんでーす!」

「ひ、姫様!あの…どうなさいましたか?」

「エメの、いちばんすきなものはなんでそーか!」

「うっ…可愛い…いや…あの!姫様!ごめんなさいぃい!!」

あ!お姉さん達よ!!逃げないで!私にギブミーマシュマロチョコ!!!!ほんの少しくださいな!
やっぱり駄目か……うん、我儘だったね、みなさんごめんなさい。私は大人しくするよ…。大人気ない行動だった。

「つおいこは…虫歯にまけちゃだめだもんね」

マシュマロ二号と遊んでいたら後ろから

「エメラルド、我慢してるみたいだね」

「ハウアイト兄たま!」

な、なんだ!?いつのまに!!ハッ!パパもいる!こうして私は囚われた宇宙人のように逃げられないように医療魔術師達が待っている治療室へ連れていかれました。
に、逃げないよ!?歯医者苦手だけど!ギィーって音やキュイィーンって音は怖いけど!嫌な音だけど!

「さあさあ、姫様、薬を飲んでくださいませ」

「えっ!?」

銀色の玉を一つ渡されてこの薬を飲むだけ…?!拍子抜けしちゃった…。

治療は歯医者さんみたく道具は使わない。魔力で作られている薬を飲むだけで大丈夫らしいんだけど…とりあえず飲むだけなら楽勝ではないか!!そう思い勢いよくゴクンとのんだ。

「ぎょ!!?にゃ!?」

その薬はとてつもなく…苦い!!!不味かった!!!
でもこれで虫歯治るなら我慢!我慢!我慢よ!

マシュマロチョコ食べたいもの!!

「うぅ…エメ、虫歯さんとだけはなかよちなれない…」

プルプル震えて飲み終えたら、パパ達はよく飲んだなと褒めてくれた。
もう二度とあんな恐ろしい物は飲みたくない!大人用なんて涙出るくらいらしいし…
因みにアンは自分の確認不足だと落ち込んでました。
もうならないように気をつけるよ!!






「…ところで…レピドライト…お前も虫歯か…」

「なんのことです」

「右頰がはれているし、朝から何もたべていないだろう。涙目になりながら仕事をするな。私が虐めているみたいだ」

「…ふっ、大人の虫歯って子供よりも厄介ですからね」

「何遠くみている。格好つけても意味はない。薬を飲め」

レピドライトはコッソリと虫歯を治療する薬を飲んだ。大人用のは何十倍もエメラルドが飲んだ薬より苦くて不味い。そんな薬を飲んだレピドライトは、一粒の涙を流していた事はピーターだけが知っている。



みんな虫歯には気をつけていこう!歯を大切にだね!


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