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奥田すみれ編①中身はヴァイオレット
義理の姉と呼ぶべき人※春馬視点
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「は、はじめまして‥‥奥田すみれ、です」
目を逸らして挨拶をする同い年の少女、奥田すみれとの出会いだった。親同士が再婚をしたいという話に、父さんが幸せであればいいと思っていたけど、彼女はどうやら再婚に反対をしていたようだった。
病室で過ごす事が多かった、すみれさんは、俺も人の事言えないけどあまり話さない人だった。
突然同い年の男や中年男性が家族だと言われるのが嫌なのだろう。だから、距離を置くようにしていた。
彼女が事故にあった日から、全てが変わった。
目の前にいる彼女は‥‥ある意味苦手なタイプだ。我儘、傲慢、とにかく自分勝手という言葉が似合う。
風呂をいれろと、わけのわからない事を言いだす‥‥今の彼女はある意味危険であり、危なっかしい‥‥無視をすれば良いものの、何故か世話をしてしまう。家族になるのは当然だと自分に言い聞かせる。
「え、風邪を引いた?」
「なんでもびしょ濡れのまま過ごしてたらしいぞー、紗代子さんも仕事をなるべく家でするようにするんだってさ」
‥‥お風呂に放り投げた俺の‥せいだよな?
学校帰り、コンビニに寄り彼女が好物だというプリンを買っていく。
「あ、紗代子さん」
「春馬君、ちょうどいいところに!私今から車で買い物に行ってくるから、すみれの様子見ててくれる?朝からずっと寝ててさー」
そう言い紗代子さんは出ていく。あまり女性の部屋には入らない方がいいと思い、リビングの方に行こうとした時
「‥‥めんなさい‥‥うぅ」
苦しんでいる声が聞こえたので、そっと部屋を開けると彼女はうなされていた。タオルを冷たくして彼女のおでこに置くと気持ちよかったのか、うなされなくなった。
「‥‥セシリス‥‥お兄様‥‥?」
セシリス??そう彼女は俺をその人と勘違いしたのか、何かの夢を見ていたのかわからない。
「誰、それ」
彼女は俺を見て「なんだ、お前か」そう顔に書いてあった。
薄いベーコンに文句を言う女。
テレビや物を知らない女。
そして間違えてキスをしてしまった女。
なのに彼女は平気な顔をしていた。
普通、恥ずかしいはずだろう!?俺だけか!!?
「くそっ!」
妙に苛々をして、マンションに帰った時、鍵は開けっぱなしだった。俺は焦って彼女を探しまわった。
「スマホもお金も何も持っていないはずなのに、どこにいるんだよ!?」
少し走ると公園前で男に絡まれていた彼女を発見した。
キョトンとする顔が、あ、やっぱり腹が立つ。
そして説教をするものの、彼女は聞いてなどいなかった。
我儘で傲慢で変な女が将来義理の姉となる。
誕生日が向こうがさきだから、姉らしい。
「‥‥なんか面倒くさくなってきたかも」
そう深いため息を吐いてベッドで眠りについた。
目を逸らして挨拶をする同い年の少女、奥田すみれとの出会いだった。親同士が再婚をしたいという話に、父さんが幸せであればいいと思っていたけど、彼女はどうやら再婚に反対をしていたようだった。
病室で過ごす事が多かった、すみれさんは、俺も人の事言えないけどあまり話さない人だった。
突然同い年の男や中年男性が家族だと言われるのが嫌なのだろう。だから、距離を置くようにしていた。
彼女が事故にあった日から、全てが変わった。
目の前にいる彼女は‥‥ある意味苦手なタイプだ。我儘、傲慢、とにかく自分勝手という言葉が似合う。
風呂をいれろと、わけのわからない事を言いだす‥‥今の彼女はある意味危険であり、危なっかしい‥‥無視をすれば良いものの、何故か世話をしてしまう。家族になるのは当然だと自分に言い聞かせる。
「え、風邪を引いた?」
「なんでもびしょ濡れのまま過ごしてたらしいぞー、紗代子さんも仕事をなるべく家でするようにするんだってさ」
‥‥お風呂に放り投げた俺の‥せいだよな?
学校帰り、コンビニに寄り彼女が好物だというプリンを買っていく。
「あ、紗代子さん」
「春馬君、ちょうどいいところに!私今から車で買い物に行ってくるから、すみれの様子見ててくれる?朝からずっと寝ててさー」
そう言い紗代子さんは出ていく。あまり女性の部屋には入らない方がいいと思い、リビングの方に行こうとした時
「‥‥めんなさい‥‥うぅ」
苦しんでいる声が聞こえたので、そっと部屋を開けると彼女はうなされていた。タオルを冷たくして彼女のおでこに置くと気持ちよかったのか、うなされなくなった。
「‥‥セシリス‥‥お兄様‥‥?」
セシリス??そう彼女は俺をその人と勘違いしたのか、何かの夢を見ていたのかわからない。
「誰、それ」
彼女は俺を見て「なんだ、お前か」そう顔に書いてあった。
薄いベーコンに文句を言う女。
テレビや物を知らない女。
そして間違えてキスをしてしまった女。
なのに彼女は平気な顔をしていた。
普通、恥ずかしいはずだろう!?俺だけか!!?
「くそっ!」
妙に苛々をして、マンションに帰った時、鍵は開けっぱなしだった。俺は焦って彼女を探しまわった。
「スマホもお金も何も持っていないはずなのに、どこにいるんだよ!?」
少し走ると公園前で男に絡まれていた彼女を発見した。
キョトンとする顔が、あ、やっぱり腹が立つ。
そして説教をするものの、彼女は聞いてなどいなかった。
我儘で傲慢で変な女が将来義理の姉となる。
誕生日が向こうがさきだから、姉らしい。
「‥‥なんか面倒くさくなってきたかも」
そう深いため息を吐いてベッドで眠りについた。
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