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奥田すみれ編①中身はヴァイオレット
帰る場所とは
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ーー初めてキスをしたーー
それも知らない異国の者と。
「「‥‥‥」」
頭の中が真っ白というのはこういう事なのかしら‥‥。ハルマを間近で見ると、少し茶色が混ざった黒に近い瞳色が珍しい。
青や緑、赤など沢山の瞳の色の持ち主を見てきたけどこんなに深い色はーー
パッとハルマは俯いて私から離れる。
「‥‥っ行ってくる‥‥」
「あら、そう」
そうハルマは出ていった。
私は先程の感触を思い出す。
‥‥初めて異性とあんなに近くにいた事がない。周りは私を怖がり避けてばかりだったもの。ハルマは‥‥
なんだか、私らしくないわ。気にしない事にしましょう。
「犬とキスしたことにしましょう。そう考えた方が楽だわ」
そう切り替えて私は、薄い箱の正体であるテレビを見始める。
「〇〇と一緒」って母親がいないのに何故、お兄さんお姉さんが進行してやってるのかしら。
とはいえ、また情報が毎日盛り沢山で伝達をするこのテレビ、我が国にも欲しいわ。
掃除もルンバという、小さなメイドもいる。
お昼にハルマが帰ってくると聞いたのに、あの者は‥‥遅いわ!!
「暇ね」
家にいても、やる事がない。やはり異世界に来たのであれば、、、、外の世界を歩いてみるべきね。
私は、家にある自分でも、着れそうな物を探して着替えてみた。化粧はお母様から少し借りてみてしたけど、まあまあな顔立ちね。
「ふふ、これぐらいの服ならば外にでても恥ずかしくないわ」
【←ヴァイオレットが着ていたものは、結婚式用の紺色ワンピース】
そう私は歩いてみた。少し歩いてみると、公園があった。この世界の公園は遊ぶ乗り物らしきものがある。
「お兄ちゃああん!まってぇ!私もー!」
「ばか!お前は小さいから来るなよー」
小さな兄妹の姿が見え、私は足が止まる。
その兄妹は兄が自分についてくる妹を、邪険にしていた。
「‥‥私達とは反対ね」
‥‥兄である、セシリスはいつも私を追いかけていた。そう考えていた時だ。
「ねえねえ、お姉さんライ〇でも交換しない?」
「かっわい!ね、俺らと遊ばない?」
目の前に見知らぬ男達が私に声をかけたので、私はその男達を無視して歩こうとすると
「まってまってー無視はよくないなー?」
ガシッと腕を掴まれた拍子に、私は転んでしまった。
「ぶはは!だいじょうぶ?お姫様抱っこしよかー?!」
「‥‥っ!この不届き者がーー」
そう男の顔面を叩こうとした時、男は誰かから後ろで蹴りを入れられて倒れてしまう。
「いってぇー?!なんだよーー?!」
「‥‥は?この子、ウチの者なんすけど」
ハルマだった。ハルマの圧に負けたのか、男達はすぐに逃げていく。なるほど、下僕1号は、騎士に向いてるかもしれないわね。
ハルマはキッと私を睨んで、この私に頬をつねる。
「‥いっ、いひゃい!!」
「はあ、あんた馬鹿?何その格好。大人しくしてれよ、大体今ーー」
ハルマの長いお説教が始まったわ。長いのよ。
お母様達が夕方帰ってくると、お母様は今日あった事で怒るのかと思いきや笑っていた。
「あははは!すみれー、あんた初めてナンパされたんだー!さすが我が子!」
「‥‥紗代子さん笑い事じゃない」
「春馬君ありがとうねー!しっかし、ふふ、なんか今のすみれと話すと、亡くなった母を思い出すわあ」
「‥‥お祖母様?」
「うん、昔から変わっててさあ、すみれ思い出さない?可愛がれてたじゃない、今度おばあちゃんの家にでもいく?」
‥‥私のお祖母様からもらった手鏡と同じく、スミレにも手鏡を渡した人‥‥まだわからないけれど‥‥わかる事があるかも。
真夜中になり、私は手鏡からスミレと連絡をとる。
ハルマの説教は家に帰ってからも、続いてたもんだから、疲れたわ。
「ねえ、あのハルマって、口煩いわよ。将来の義弟になるのならば姉として威厳を見せなかったのかしら」
『え?春馬君が?何かあったんですか?』
朝、間違えてキスをしたなんて‥‥言わない方がいいわね。
「まあ、そんな事はどうでもよいわね」
『あ、あのヴァイオレットさん、日本の生活にまだ慣れてはないかもしれませんが‥‥学校とかもう行きましたか?』
「まだよ。周りが反対をしてくるわ、まあ、私は完璧だから大丈夫よ。スミレ、お前は私らしく振る舞いなさい。あと手鏡の事で少し気になる事があるけど‥‥まあ、それはまたあとででいいわ」
何かわかったら、帰れる方法があるわ。
そう私達は話しを終える。
「‥‥帰る、ね」
向こうのスミレは、隠しているようだけど、セシリスとうまくいってるみたいだった。
セシリスは私ではなく、大人しいスミレのような妹がいいのかもしれない‥‥私の帰る場所は何処かしらね。
そう考えていた。
それも知らない異国の者と。
「「‥‥‥」」
頭の中が真っ白というのはこういう事なのかしら‥‥。ハルマを間近で見ると、少し茶色が混ざった黒に近い瞳色が珍しい。
青や緑、赤など沢山の瞳の色の持ち主を見てきたけどこんなに深い色はーー
パッとハルマは俯いて私から離れる。
「‥‥っ行ってくる‥‥」
「あら、そう」
そうハルマは出ていった。
私は先程の感触を思い出す。
‥‥初めて異性とあんなに近くにいた事がない。周りは私を怖がり避けてばかりだったもの。ハルマは‥‥
なんだか、私らしくないわ。気にしない事にしましょう。
「犬とキスしたことにしましょう。そう考えた方が楽だわ」
そう切り替えて私は、薄い箱の正体であるテレビを見始める。
「〇〇と一緒」って母親がいないのに何故、お兄さんお姉さんが進行してやってるのかしら。
とはいえ、また情報が毎日盛り沢山で伝達をするこのテレビ、我が国にも欲しいわ。
掃除もルンバという、小さなメイドもいる。
お昼にハルマが帰ってくると聞いたのに、あの者は‥‥遅いわ!!
「暇ね」
家にいても、やる事がない。やはり異世界に来たのであれば、、、、外の世界を歩いてみるべきね。
私は、家にある自分でも、着れそうな物を探して着替えてみた。化粧はお母様から少し借りてみてしたけど、まあまあな顔立ちね。
「ふふ、これぐらいの服ならば外にでても恥ずかしくないわ」
【←ヴァイオレットが着ていたものは、結婚式用の紺色ワンピース】
そう私は歩いてみた。少し歩いてみると、公園があった。この世界の公園は遊ぶ乗り物らしきものがある。
「お兄ちゃああん!まってぇ!私もー!」
「ばか!お前は小さいから来るなよー」
小さな兄妹の姿が見え、私は足が止まる。
その兄妹は兄が自分についてくる妹を、邪険にしていた。
「‥‥私達とは反対ね」
‥‥兄である、セシリスはいつも私を追いかけていた。そう考えていた時だ。
「ねえねえ、お姉さんライ〇でも交換しない?」
「かっわい!ね、俺らと遊ばない?」
目の前に見知らぬ男達が私に声をかけたので、私はその男達を無視して歩こうとすると
「まってまってー無視はよくないなー?」
ガシッと腕を掴まれた拍子に、私は転んでしまった。
「ぶはは!だいじょうぶ?お姫様抱っこしよかー?!」
「‥‥っ!この不届き者がーー」
そう男の顔面を叩こうとした時、男は誰かから後ろで蹴りを入れられて倒れてしまう。
「いってぇー?!なんだよーー?!」
「‥‥は?この子、ウチの者なんすけど」
ハルマだった。ハルマの圧に負けたのか、男達はすぐに逃げていく。なるほど、下僕1号は、騎士に向いてるかもしれないわね。
ハルマはキッと私を睨んで、この私に頬をつねる。
「‥いっ、いひゃい!!」
「はあ、あんた馬鹿?何その格好。大人しくしてれよ、大体今ーー」
ハルマの長いお説教が始まったわ。長いのよ。
お母様達が夕方帰ってくると、お母様は今日あった事で怒るのかと思いきや笑っていた。
「あははは!すみれー、あんた初めてナンパされたんだー!さすが我が子!」
「‥‥紗代子さん笑い事じゃない」
「春馬君ありがとうねー!しっかし、ふふ、なんか今のすみれと話すと、亡くなった母を思い出すわあ」
「‥‥お祖母様?」
「うん、昔から変わっててさあ、すみれ思い出さない?可愛がれてたじゃない、今度おばあちゃんの家にでもいく?」
‥‥私のお祖母様からもらった手鏡と同じく、スミレにも手鏡を渡した人‥‥まだわからないけれど‥‥わかる事があるかも。
真夜中になり、私は手鏡からスミレと連絡をとる。
ハルマの説教は家に帰ってからも、続いてたもんだから、疲れたわ。
「ねえ、あのハルマって、口煩いわよ。将来の義弟になるのならば姉として威厳を見せなかったのかしら」
『え?春馬君が?何かあったんですか?』
朝、間違えてキスをしたなんて‥‥言わない方がいいわね。
「まあ、そんな事はどうでもよいわね」
『あ、あのヴァイオレットさん、日本の生活にまだ慣れてはないかもしれませんが‥‥学校とかもう行きましたか?』
「まだよ。周りが反対をしてくるわ、まあ、私は完璧だから大丈夫よ。スミレ、お前は私らしく振る舞いなさい。あと手鏡の事で少し気になる事があるけど‥‥まあ、それはまたあとででいいわ」
何かわかったら、帰れる方法があるわ。
そう私達は話しを終える。
「‥‥帰る、ね」
向こうのスミレは、隠しているようだけど、セシリスとうまくいってるみたいだった。
セシリスは私ではなく、大人しいスミレのような妹がいいのかもしれない‥‥私の帰る場所は何処かしらね。
そう考えていた。
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