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マリアとエリオス

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私はうさぎさんの馬に乗せてもらい南の森へ向かった。
その途中、カナちゃんとレオ君に出会った。

「カナちゃん!レオ君!」

カナちゃんは走ってたのか、
「はぁはぁ…ス、スクアーロが足…早くて…追いつけなくて…」

レオ君も普段運動しないので
「病院から…きて、会長と…バッタリあったけど、すぐ南の森へいくって…早くて追いつけなかったよ…」

二人共、ゼーゼーと疲れてるみたい。無理もないか、スクアーロもクロも並外れた身体能力だもんねぇ。

「キル、ラウル、馬を乗せてやれ。マリアの友人だ」

カナちゃん達と合流し、カナちゃんは私に
「マリア、ゲームとは色々違うけど…南の森で悪役令嬢マリエは死刑にされちゃうのよっ、それになんだかあんた達の家が悪いことになってるしっ…だいたいあの筋肉馬鹿一人で突っ走って、、チョロアーロのくせにっ…」

カナちゃんは色々プチパニック状態。

キル君達は
「スター国とサン国の境である南の森だ!大勢の軍が対立してるぞ!」

「アスラ王子!ご命令を!」

少し上の崖から様子を見ていると、姉様や父様、母様、トムまでも兵に縛られていた。

「あわわわっ!ねねねね姉様!!みんなっ…」

今すぐにでも首チョンパ状態じゃない!なんてことなの!!私の推しであり大好きな姉様に!家族に!なんてことを!!縛られてる姉様素敵だわ…じゃない!もう怒ったわ!
これはアレだわ!制裁しなきゃならないわね!!
私には改良した武器があるもの!あの国王達にギャフンさせなきゃ!


うさぎさんは私の頭を撫でて
「…落ちついてマリア」
そううさぎさんは私に微笑む。

ハッ!と気づいた私。

「…う、うんっ、ごめんなさい。我を忘れるところだった…」

フと私はエリオスを探しすぐに見つけた。
とても会いたかった彼。

謝りたかった彼。エリオスを見つけて感極まり、泣きそうになったけど、

「エーリーオース!!」

精一杯、エリオスの名前を呼んだ。
エリオスは私を見て驚いて、そして…笑ってくれた。

「さあ、行ったほうがよい、私は私の仕事もあるから」

うさぎさんは私の背中を押してくれた。
そばにいたレオ君とカナちゃんには
「危ないから二人はここでまってて!!」

レオ君は私の腕を掴み

「マリア嬢!危ないよ!!君は女の子なんだから!僕は!僕は君が心配で、それで、ここは大人達にー……って…はあ、、、その顔いくんだね」

コクンと頷く私にレオ君は手を離した。

「エリオスにね、伝えたいことあるからねっ」

私は崖から飛び降りる!ことはせずに、少し遠回りだが道があったのでそこから降りて走った。
息が切れるまで、たくさん走って、エリオスの元へ走った。
沢山の兵に囲まれていたエリオス、そしてスクアーロとクロ。

ある一人の兵が私の腕を掴み

「クリスタルティーン家の者がここにもーっ…ぐはっ!!」

後ろからクロはその兵を気絶させた。

「マリアお嬢様!ご無事でしたね」

涙目で私を心配してくれていたクロ。
「うん、いっぱい心配かけさせてごめんね…」

クロは笑顔でコクンと頷き私がエリオスのほうへ向かうたびに周りにいた兵を次々と気絶させてくれた。

「マ、マリアっ!」

「スクアーロ!心配かけてごめー」

「お、落ちつけ!まず落ちつけ!絶対その道具は使うな!!」

青ざめながら私の方を揺さぶるスクアーロ。え?何が?なんかスクアーロもプチパニック状態!大丈夫かしらっ!?
「スクアーロ!大丈夫よ!任せて!」

「え、ちょっ!?ちがっ…」

私はもう一歩前にでて走った。

目の前にはエリオスがいた。

「エリオスっ!」

めいいっぱい、久しぶりのエリオスに沢山私はぎゅーっと抱きしめた。

「エリオス!ごめんなさいっ!あのね、沢山エリオスに話したいことがあって……エリオス?」

エリオスは顔を隠して、何故か固まっていた。

「不意打ちに…これはズルいっ」

「え?ズルいって!?あー!そうだうさぎさんのお父さんが色々ズルして私の家に濡れ衣させてるんだよねっ」

エリオスが頰を赤らめながら何故か照れているもんだから、あれ、なんだろ。私も照れてきてしまった。勢いで抱きしめて興奮してたけど、本当に久しぶりのエリオスなんだもん。いつものエリオスだ。

「えと、あの…お久しぶり…でございます」

「うん」

なんだろ、ふにゃんとしたエリオスだけど…

…なんか話さないと!

なんか、あれよ!あれだわ!そう!

「とととりあえず!国王達にはお仕置きが必要だわ!」


そう、私が大きな声で言っているのを聞いていたサン国の王は私を睨みつけて

「兵よ!私を侮辱した罪は重いぞ!!あの娘も王子達も邪魔だ!殺せ!」


私はすかさず、両方ポケットにしまっていた納豆爆弾(改良版)を王に投げつけようとしたら、後ろからスクアーロは私を止めてきた。

「だーから!マリア!やめろ!それだけはやめてください!おい!エリオスお前も止めろよ!?この世が終わる!」

「ふふ、僕は今幸せをかみしめてるから。いいんじゃない?爆弾のひとつふたつ。」

「おまっ!周りにいる兵達が次々ときてるのにっ!何へにゃへにゃしてんだよ!?クロ!クロもマリアを止めてくれっ!」

「私は我が主のおもうままに従いますから」

「だあー!!急に役にたたねー!あ、レオ!何空に向かって祈ってんだよ!?」



「…くっくっ、本当に馬鹿なやつら…」

と、ワイワイマリア達を見ていたスター国の王はクスクス笑い始めた。そんなスター国の王を腹ただしいのかサン国の王は目の前にいる人質クリスタルティーン家のマリエ達に自ら剣を持ち切ろうとしていた!


「きゃあああ!!姉様!!!」

「マリエ嬢!」


マリエの胸倉を掴みサン国の王はブルブルと顔を真っ赤にしてブツブツといいはじめた。

「みんな、みんな、悪いんだっ…!胸くそが悪い!まずはお前からだ!」


「…あらまあ、なんて、愚王なのかしら」

胸倉を掴まれても目をつぶらず、馬鹿にしたような目でマリエはサン国の王をみつめていた。

「マリエお嬢様をはなせ!」

トムはマリエを助けようと動きだしたがすぐに取り押さえられ

スター国の王はクリスタルティーン家を援護するため騎士団を呼びすぐに助けようとしたがもう既に遅かった。



「だだだ断罪っ…っ!姉様!」

来るべき時がきた!姉様が断罪される!いやだ!走っても兵達が邪魔してくる!やっぱり納豆爆弾をっ!!!


やるしかないの!!?



私はなきじゃくったまま納豆爆弾を投げようとした瞬間。


「そこまでだ!!!サン国の王!!」


うさぎさん達とうさぎさんに仕えている兵達がわらわらとやってきてうさぎさんは王を捕まえてこう叫んだ。



「お前はもうこの国の王ではない!!もう終わりだ!」



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