【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

アデライト 逆行復讐編

お祭りの前準備

「アデライトお嬢様？あまり体調がよろしくないのにこんな田舎町まで足を運んで大丈夫ですか？旦那様や奥様に内緒でこんな‥‥」

ナタリアは私の後ろに控えつつ小言を言う。私は王都から少し離れている田舎町へやってきた。
逆行前はよく『そこ』へ足を運んでいったもの。

「ハァハァ‥‥‥ついた‥‥ナタリア。お願いがあるの。向こうにある行列できているパン屋さんあるじゃない？あそこのお店凄く有名で‥‥ルカや病院の子達に美味しいパンを食べさせたいの」

「でも‥お嬢様‥‥汗が」

「平気よ。私はここのお店の前で休んで待ってるわ。ね、お願い」

ナタリアは渋々納得しつつ、護衛に私をお守りするようにとお願いしパン屋へ向かった。

ナタリアがいると面倒なのよね。私はポケットからお金を護衛の男に渡して笑顔で話しかける。

「いつもご苦労様。今から私はこのお店に入るけれど‥‥ナタリアやお父様達には内緒よ。お願いね」

そうニッコリと微笑むと護衛の人は、顔を真っ赤にしながらコクンと頷き、私は目の前にある骨董品屋の扉を開けた。

「‥‥ふふ、11歳の子に翻弄されるなんて護衛騎士失格よね」

骨董品屋‥‥ここは逆行前で私がルカの心臓を探すキッカケとなった場所でもあり、そしてここの店主は、自分の娘があの病院に殺されたと訴えても全て証拠は消されていき、骨董品屋をしながら裏では殺し屋専門店なのよね。

古ぼけた椅子に座っている紺色の髪をしている若い男性がタバコを咥えながら店に入ってきた私を見た。

「ん？貴族の女の子か？‥わりぃな、小さな女の子でも貴族は好きじゃないんだ。帰れ帰れ」


「‥‥『壺に押し付けるより出せばよい』」

そう私が声を出すと男はピタッと手を止めてタバコの火を消して私を睨む。

「‥‥おいおい。その合言葉は最近俺達がつけたものだ。なんで貴族のお嬢様が知ってんだ？」


「ふふ、この頃のあなたはまだ若いのね。‥マックス、あなたにとって素晴らしい情報があるの。聞きたくなあい？」

「俺の名前も知ってんのか‥‥ハッ！なんだ？おままごとは外でしろ」

私はゆっくりとマックスに近寄るとマックスは警戒して今にでも私を殺そうと胸倉を掴もうした。私はただジッと見つめると、マックスは少し戸惑いながら話す。

「‥‥‥なんでまだ小さな女の子なのに、そんな死んだ目をしてやがんだ。名前は？」

「アデライト・マカロンよ」

「は？‥俺が今会ってるのはあの有名なマカロン家の可愛い女神さんとは程遠い感じだな？」

「あら、可愛いくて美しいのは当たってるわ」

マックスは手を離し、腕を組みながら私が何者でなんの用なのかを探るような目をしていた。

「あまり時間がないから、コレを貴方にあげるわ」

私はとある書類を彼にあげた。

「は？なんだこれは？お、おい！？」

「もう時間だわ。中身を見ればわかるわ。好きにしてちょうだい。あぁ、それと‥今夜ね、聖スピカ病院でお祭りがあるのよ。院長や全ての病院に所属している医者や貴族達も来てるわ。楽しみよね」


そう私は言い残しお店をでた。以前彼はボヤいていた。

『年に一度のあの祭りが子供達の臓器を品定めする日だったんだ。俺の娘は‥それで奴らに。祭りのたびに顔を出そうとも、俺を病院の中へいれてくれなかった。あいつらに関わっている貴族達もいたからな』


彼らは多分今夜来るはずだもの。





「ゴホ‥‥ゴホ！」

「まあ！アデライトお嬢様！大丈夫ですか？！パンを沢山買ってきました！早く帰って少し休みましょう」

「ナタリア‥‥うるさいわ」

「私はいつまでも小言を言ってあげるのが役目だと思っております！さあ！行きましょう」


アデライトがナタリアと護衛に連れられて馬車に乗る姿を、マックスは慌てた様子で追いかけるものの馬車は既に走り出していた。

マックスは溜息を出しながらタバコに火をつけて吸い出す。


「‥‥女神と呼ばれている少女、ねぇ」

そう馬車を見つめながら呟いていた。






「アディー！起きてる！？お祭りが始まったよ！」

ルカは嬉しそうな顔をしながら私の病室まで会いに来てくれた。

「嬉しそうね」

「アディーだって嬉しそうじゃん。ほら！いこう！」

ここ聖スピカ病院は我がマカロン家が支援している病院でもある。表向きは身寄りのない子供やお金が無い子共達の病気を治療してくれていると人望があり有名な病院だけど、裏では子供達の臓器売買をして闇の取引を行っている。

この年に一回ある祭りこそが、病院の子供達を品定めしている。ねぇルカ、私が嬉しそうだと言ってたけど祭りが始まるから嬉しいんじゃないわ。


「ルカ！ここにいたのか。アデライトお嬢様と一緒だったんだな」

「おや！アデライトお嬢様、体調はどうですかな？」


ルカの父親であるペイル先生とこの病院を我が物のように裏金を運用している病院の院長のフレディ・リンク院長達だわ。

あぁ‥‥そうよ、そうね。楽しみよ。この病院で働いてる者達はルカの敵。

これから始まる彼らの絶望と死物狂いで、死にたくないと懇願する顔を早く見たいんだもの。