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アデライト  逆行復讐編

アデライトの探し物

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蝶よ花よと大切に育てられていた私。

美しいは正義であり私だけの言葉。


昔から体が弱く、部屋に引き篭もってばかりの毎日だったけれど特に文句もなかったし、物心がついた時から私には家族や周りに対して何も『感情』が湧いてこなかった。

ただ自分が一番でないと気がすまないのはわかる。
誰かを愛しいという気持ちがよくわからなかった。何故そこまで人を愛しているのかわからない。

お父様、お母様の望み通りに見本となる子供を演じておければ親は気が済むし余計な感情を抱かないもの。

「あの子は病弱で可哀想だ。私達で可愛がってやろう。オスカー君の婚約者は無理だ。ソフィアにしよう、あの子は言う通りにしてくれる」

「可哀想なアデライトだわ」

私は可哀想、だけどとても可愛らしい女の子。だから、私より可愛くなるソフィアが邪魔だった、私より先に趣味を見つけてたジェイコブお兄様に腹が立っていた。

私より先に進むのは『間違い』なのだから。

私が二人に正しい事を教えなきゃいけないの。


9歳の夏、私の風邪が長引き、心配したお父様とお母様は友人が経営している病院へ行こうと勧めてきた。


病院へ行き、私は一週間そこへ療養することとなった。あの時だ、ルカと初めて出会ったのは。


「コホコホ‥‥外にでましょう」

「アデライトお嬢様っ、まだ風邪が長引いてるのですから‥‥!」

何故かいつもそばにいるメイドのナタリアはついてくる。仕事はあまりできないくせに私に唯一口がうるさいから嫌でしょうがない。私のお母様と同い年なのだから、さっさと結婚すればよいものの‥‥。

私はニッコリと微笑みかけてナタリアにお願いをした。

「ごめんなさい。どうしても風に当たりたくて、少しだけ一人にしてくれる?お願い、ナタリアにしか頼めないの」

ナタリアは渋々と承諾し、15分後また迎えに来ると言った。

「‥‥本当グズなナタリア。空気を読んでほしいわ‥」

私は真っ直ぐ花壇の方へと歩くと、私専用のベンチがあるのにそこに座っていたのは薄い茶色のストレート髪と緑色の瞳をしていた少年が座っていた。多分、それなりにお金がある平民ね。

「失礼、そのベンチは私の場所ですわ」

大抵この可愛いらしい微笑みで馬鹿は引っかかる。早くどきなさい。男の子はキョトンとした顔をしながらニッコリ笑った。

「えっと、どこに君の名前があるの?ここは病院にいる沢山の人が使うところだよ?」

「‥‥は?」

しまった‥!あまりにも腹が立って声を出してしまったわ。私が慌てて口を隠すと男の子は私を見てまた笑った。

「へへ、意地悪言ってごめんね?僕はもうお部屋に戻るから、お姫様どうぞ!あ!君の名前は?」

「‥‥アデライト・マカロンですわ」

「僕はルカ!マカロン家!僕のお父さんと君のお父さん友達なんだよ!じゃあまた会えるね!バイバイ」

「‥‥えぇ、さよなら。あ、本を、忘れてますわ!」

そう彼は立ち去るものの、彼は自分が読んでいた薬草学などの本を置き忘れていった。

ルカとの出会いはそうだった。

そこからよく会うようになり、この病院へ行くのが楽しみになっていた。

初めて私の居場所があると感じたのだから。

「アディー!見て!イモムシだよ」

「そんなものひねり潰したほうがよいわ。汚いし醜いわ」

「え!アディーにそっくりだよ」

「‥‥ルカ、私はイモムシじゃなくてよ」

イモムシが私に似てるって何?私がそのイモムシを殺してあげようかしら。ルカの手に乗っていること自体図々しい。ルカはムスッとした私の頭を撫でて楽しそうに話しだす。

「このイモムシはね、やがて綺麗な蝶々になるんだよ!アディーは今可愛いから、あとは大人になったら綺麗な女性になるってこと」

可愛い笑顔を私に向けるのは反則だわ。そのイモムシを殺し損ねてしまったじゃない。
そうそっとイモムシを元に戻すルカを私は見つめた。

「僕、早く大人になりたいなあ」

「なって何になるの?」

「薬屋さん!お金とかあまりない人達を少しでも助けてあげたいし。お父さんのように立派になるんだ」

「‥‥なれるわ。ルカなら」

「へへ、ありがとう!アディー!アディーも大人になったら僕の薬屋で働こうよ!」

「私は貴族よ。そうね、私を雇うなら、お給料は500000アイビーくらいね」

「えー!」

「ふふ。さあ、一緒にまた勉強をしましょう」

穏やかで幸せな時間だった。家族とも会わずに済む。ずっと私はルカがいればよかった。良かったのに‥。


だけど11歳の夏、ルカは亡くなった。

いや、亡くなったわけではない。

17歳の時知ったのだから、ルカは臓器売買により殺されたのだから。

それも実の父とマカロン家が関わっていた。

私はルカの心臓がどこに、誰の手に入ったのか探し続けていた。見つけたら、心臓をえぐりとり私だけのものにしなきゃならいもの。裏の情報を手にいれるのならば、私は演じ続けれる。人は私を花の女神だと崇めているんだもの。

探し終えたら、親も全てルカを苦しめた者に復讐するつもりだった。

「‥ルカの心臓はどこ」




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